らぷんつぇる**

日々のささいな出来事をつづったり
本や映画や食べ物の感想を載せてみたり
ひとりごとを言ってみたり。など。

2006年の本 ベスト5

2006年12月31日 23時21分55秒 | Books
今年はいろいろばたばたしててゆっくり本を読む時間があまりとれなかったような。
でも結構よい本に会えたと思う。
というわけで、私が今年読んだ本の中からベスト5を。
本当はこういうのって2006年に出版された本の中から選ぶんだろうけど、新刊はあまり読まないので…

今年読んだ本は79冊でした。

1.『人間の土地』サン=テグジュペリ 堀口大學 訳
今年のダントツ1位はなんといってもこの本。文章の美しさに圧倒されました。砂漠の厳しい自然の描写や、人間の尊厳を見つめる作者の視線から「人間として生きる」ことの意味を考え直すきっかけをもらえる。『星の王子様』の原点はここにあります。

2.『泥流地帯』三浦綾子
ちょっと前にレビューを書いたけど、よかったです。ひたすら貧困や厳しい環境との戦いが描かれているのでちょっと暗いのだけど、どんな金持ちにも負けない「誇り」を持って生きる人たちの姿に心を打たれる。自分に喝をいれなきゃいけない気持ちになります。ほんとに。

3.『下駄の上の卵』井上ひさし
昭和21年、戦後の混乱期の日本を描いた作品。出てくる人たちが誰も彼も逞しく、そして頭が回るので面白い。この時代の背景が細かく描かれているのもとても興味深いし。話の流れもテンポがあって、ぐいぐい読み進められると思う。山形の子どもたちが当時入手困難だった軟式野球ボールを手に入れるために闇米を抱えて東京に来る物語で、東京の人にうっかりだまされてお金を盗られたり、一文無しになったと思ったら持ち前の運の良さで大金を手にしたり、無事にボールを持って帰れるのか最後までわからないところがうまい。会話文の山形弁が最高。本当に話し声が聞こえてきそう。一押しです。

4.『デミアン』へルマン・ヘッセ 高橋健二 訳
読んだのは2回目。1回目に読んだときも良い本だなと思ったけど、今回の方がそう感じたかも。本って読む時期によっても感じ方が変わるものなんですよねえ。この本も文章が綺麗。デミアンが大人びていてすてきです。一番好きなのはやっぱり「アプラクサス」のくだりかなあ。印象に残る文章です。

5.『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』塩野七生
イタリアの歴史小説を数多く書いている塩野七生さんの本、初めて読みました。普段あまり読まないジャンルだけど楽しめました。ヴェネツィアのシステムはすごいです。頭良い。金持ちでもいばりくさっているだけじゃなくて平民以上に働いていたり、公務員の汚職は死刑!とか、世界初のパック旅行(聖地巡礼)の誕生とか、当時のヴェネツィアを旅してきたのかと思うくらいの描写で、こっちまで昔のヴェネツィアを覗いているみたい。どんどんヴェネツィアに感情移入してしまって、ヴェネツィアがナポレオンに滅ぼされてしまった章は脱力してしまった。なにしろヴェネツィアの誕生から描かれているのだから、人の一代記を見ているみたいなものです。それも、器用で頭も良く美しい主人公だから感慨もひとしお。ヴェネツィア行きたい…。

こんな感じですかね。
どれもちょっと昔の本だったりするけど。
来年もいい本に出会えるといいな。

参考までに
2005年
1.コレリ大尉のマンドリン
2.下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん
3.ホテル カクタス
4.ちいさなちいさな王様
5.はじめてのえころじい

2004年
1.24人のビリー・ミリガン
2.海辺のカフカ
3.坊っちゃん
4.イリアス
5.カラフル Colorful

それではみなさま良いお年を~

「スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡」

2006年12月25日 11時58分46秒 | Exhibitions
イブに渋谷でやってるエッシャー展に行ってきました
混むだろなーと思って朝一で。がんばった。
開場前に着いたけど、すでに並んでいた。
でもチケットを持っていたのですんなり入れて得した気分です。
入口は混雑していたけど、わりとゆったりと観ることができました。
緻密な作品が多いので人の頭越しには観られないし、朝一で来た甲斐があってよかったー!

4年前に同じ場所でやったエッシャー展にも来たけど、その時とは作品の顔ぶれが違っていました。
しかも展示にもいろいろな工夫が凝らしてあって、2回目のエッシャー展でも新鮮に楽しめました。
例えば、タッチパネルの作品を触るといろいろ絵が動く仕掛けとか、エッシャーの作品がアニメーションになっていたりとか。
特に会場の出口のところのアニメーション、チビワニがとってもかわいいのです。

「スーパーエッシャー展」ていう名前からして4年前よりずっと展示されている作品数が多いのかと思っていたけど、予想よりも少なかったような気がします。
4年前の展示+αじゃなくて、ハーグ市立美術館所蔵の作品を展示しているんですねー。
前の展示では印象に残る作品が多くて、今回なかったのがちょっと残念です…。
だまし絵とか正則分割ももちろんあったけれど、今回の展示ではそれに至る以前の作品(イタリアの風景の木版画、リトグラフなど)が多い気がしました。
ディープなエッシャーファンには日本初公開の作品ばかりでたまらない展示だと思うけれど、「エッシャーと言えばだまし絵!」と期待して来る人は、もっとだまし絵を見せてくれーと感じてしまうかも。
そう思うならハウステンボスに行けばいいのかもしれないけど。

それにしても版画でここまで表現できるのか、と驚いてしまいます。
イタリアの風景なんて写真のようだった。
正則分割について事細かに研究したエッシャーノートも必見。
オランダでは、エッシャーの作品が高校や下水道処理場や共同墓地に配置されていて羨ましく思いました。
いいなぁ。


*information*
会期:2006年11月11日(土)~2007年1月13日(土) 1/1は休館
開館時間:10:00~19:00 金・土は21:00まで、12/29,30は19:00まで(入場は閉館の30分前まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
料金:一般:1300円(当日)1100円(前売)、学生:900円(当日)700円(前売)、小中学生:600円(当日)、400円(前売)  団体割引有り
主催:Bunkamura、ハーグ市立美術館、日本テレビ放送網、NTVヨーロッパ、読売新聞東京本社
後援:オランダ王国大使館
公式ホームページ:スーパーエッシャー展

泣きわめくオーブンレンジ

2006年12月19日 12時26分44秒 | ひとりごと
ずっと思ってたのだけど、
オーブンレンジを使った後、なった後もドアを開けないと5分くらいごとにピーピーなるのって、ホントウに鬱陶しい!
終わろうが終わるまいがドアを開けられないこっちの都合だってあるんだよ!と思う。
何度もならなくてもたいがい忘れないし、逆にピーピーうるさいからドアだけ開けて、結局忘れたこともある(←お弁当…)。
もしあたためが終わった時点でそこにいなかったとしても、庫内の電気が消えてるから見ればすぐ分かるはず。
…ってもしかして視覚障害者のためのばりあふり~設計なのだろうか。
そういう人には必須の機能かもしれないけど、私はあの音がまんできない!
なんでわざわざいらいらするような音にするんだろう。
鳴らないように設定できないのかな?!
しかもこの機能、今売られている大半のレンジで標準装備らしい。
…う~、そんなに消費者をバカ扱いしなくても。

ところがバイト先のパートのおばちゃんの意見によると
「二度鳴る機能があると忘れないから便利よねー
…えっ、そうなの?!
一応一番のターゲットは主婦のはずだから、主婦がそういうならしかたがないのか??
いやでも、ON/OFFできるようにはしようよ…家電メーカーさん…。

『私の頭の中の消しゴム』

2006年12月17日 13時44分03秒 | Movies
昨日フジテレビでやってたのを見ました。
フジテレビってこの時間に映画やってたんだ。
いつもは日テレを見ているので…ひとりでエンタを見てる自分ってどうなんだろうと思いつつ。

*あらすじ*
工事現場で働く無愛想で職人肌の大工、チェ・チョルスと、お嬢様育ちのキム・スジン。
コンビニでのちょっとしたハプニングがきっかけで知り合ったふたりはまっすぐに恋に落ちる。
しかし、幸せな時もつかの間、スジンの物忘れがだんだんとひどくなる。
告げられた病名は「若年性アルツハイマー」。
肉体の死よりも精神の死が先に訪れる病気である。
ふたりは必死に病気と闘おうとするが、スジンの記憶はどんどん抜け落ちていく…。


あんまり期待してなかったけど、思ったよりよかった。
韓国もなかなかやるなあ。
どんどん記憶がなくなっていくって、切なすぎる…。
そしてそんなスジンをただ見守るしかないチョルスも痛々しい。
映画の冒頭で荒くれキャラだっただけ、よけいに。

この映画で、日本と似ているようで似ていないところが面白かった。
ファミリーマートがあったり。
スジンの友達がスジンを「キム・スジンー!」ってフルネームで呼んでたり。
特にスジンがチョルスのコーラを奪って飲み干すシーンにびっくりした。
普通そこまでやるか??
『猟奇的な彼女』を見た時は「まあ猟奇的だしなー」と思って彼女の激しさにそんなには驚かなかったけど、やっぱり日本人より韓国人の方が気が強いのかな。
その後のスジンは映画の冒頭とだいぶイメージ違うんだけど…。

韓国映画は吹き替えじゃないほうがいいと思う。
この映画はそんなに悪くなかったけど、むしろ小西真奈美のつぶやくような感じの吹き替え可愛かったけど、やっぱり違和感がある。
顔が日本人と似ているだけに。
チョルス役のチョン・ウソンは結構かっこよかった。ていうか良い役もらったなあ。
今までの韓流ブームには正直ひいてたけど、そのおかげで韓国のいい映画が日本でいろいろ見られるようになったのはいいことだー。
にしてもタイトル、「の」多すぎ…。
韓国映画の日本語タイトル、もうちょっとどうにかならないかな…

*データ*
監督:イ・ジェハン
出演:チョン・ウソン(チョルス)、ソン・イェジン(スジン)
上映時間:117分
初公開年月:2005年10月
制作国:韓国
公式ホームページ→私の頭の中の消しゴム

Happy Birthday☆

2006年12月11日 18時31分03秒 | きょうのできごと
昨日はともだちふたりの誕生会だった。
ひとりはいつも他の人の誕生会を計画してくれるこなので、鍋とケーキで盛大に祝いましたよー☆
実は6月以来、恒例の誕生会をやっていなかったことが発覚した…。
個人的には祝ったりしてたけど。
やっぱり時間を気にせずワイワイ騒げるのって最高だー!
家パーティーだとお金も安くすむし、まったりできるし。
会場提供してくれてる人たちにはいつも申し訳なく思っていますが…。ごめんよ。

実家には実家の良さがあるとはいえ、こういう機会が減ってしまうのはやっぱりさみしい。
来年もよんで欲しいわー

『泥流地帯』

2006年12月10日 16時31分42秒 | Books
初めて三浦綾子の本を読んだ。
三浦綾子って『氷点』と『塩狩峠』しか知らなくて、高校の時『塩狩峠』の映画を見た時「ついていけん…」と思って以来敬遠してたんだけど…。
『泥流地帯』よかったです。すごく。
結構重くて、胸が締めつけられるような気持ちになるんですが。

*あらすじ*
時は大正時代。
北海道の十勝地方、日進。
石村拓一と耕作の兄弟は貧しさと親の不在にもかかわらず逞しくまっすぐに生きていた。
貧しくても思いやりを忘れない人々、逆にお金はあっても心の狭い人もいる。
お金のあるなしだけで人を判断するべきでない-
祖父母や恩師、の人々を通して様々な事を学んでいく兄弟。
しかしそんな健気に生きる人々にも大自然は牙をむくのだった。
大正15年5月、十勝岳の大噴火による泥流がを襲う。
長い時間をかけて築いた田畑や家、そして愛する人々を呑み込んで…。


かなり泣ける本です。
「真面目に生きても無駄なのか?」ということを問いかける本。
貧しさ故に夢をあきらめなければならなかったり、人の心の狭さに苦しめられたり、理不尽な搾取をされたり…報われないことだらけ。
それでも人を気遣う気持ちを忘れないところが本当にスゴイ。
食べかけのごはんを中断して人の家の馬を看病に行ったり。
時間をかけて作った薬を報酬を貰わずに人にあげたり。
そんなこと自分にできるかな…、自分ってなんてだめな人間なんだー!と思ってしまう。
石村家のじっちゃんは最高です。
一言一言が名言だし。
あと、菊川先生も素晴らしい。
こんな先生ばっかりだったら今小学校が抱えているような問題も解決できそうなのにな。


「おれはな耕作、あのまま泥流の中でおれが死んだとしても、馬鹿臭かったとは思わんぞ。もう一度生れ変わったとしても、おれはやっぱりまじめに生きるつもりだぞ」
「…………」
「じっちゃんだって、ばっちゃんだって、おれとおんなじ気持ちだべ。恐らく馬鹿臭いとは思わんべ。生れ変ったら、遊んで暮らそうとか、生ま狡く暮らそうなどどは思わんべな」



これだけの仕打ちにあってもなお「もう一度生まれてきても同じ生き方を選ぶだろう」っていう独白にものすごいプライドを感じる。
一見救いがないように見えて、心持ち一つでこうも見方が変わるものか、と。
「今度は金持ちに生まれて楽な暮らしをしたい」って思ってしまいそうなのに。
人が成功したかどうかっていうのはお金をどれだけ稼いだかじゃなくて、自分の生き方に誇りを持てたか、ってところなんだなあ。

続編もあるらしい。
気になる…。


*データ*
著者:三浦綾子
出版社:新潮社
価格:660円(文庫、Amazon)

宿舎風呂

2006年12月07日 18時45分50秒 | きょうのできごと
久しぶりに宿舎のお風呂に入りに行きました。
私が住んでた時は平日10時半までだったのが12時までに延びて、より便利になったみたい。
広いお風呂はやっぱり気持ちいい。
しかも今アスベスト工事で宿舎に住んでいる人が少ないため、あんまり混んでなくて快適でした。
何より、アパートのお風呂は寒いので…。
宿舎から近いところに住んでてよかった

略奪はハイエナのごとく

2006年12月05日 20時45分05秒 | きょうのできごと
グラクソスミスクラインの研究所が閉鎖になるらしい。
先生の知り合いがそこに勤めていて、そのコネで試薬とか実験器具とかいろいろもらえることになり、昨日みんなでもらいに行きました。
ちょっとへんぴなところにあるけどすごく綺麗な建物で、こんなところが閉鎖になっちゃうなんてもったいないなーと思いながら、物品をあさる。
大学の研究室じゃ買わないようなもの(色つきエッペンとか)もあったり、面白かった。
もらいに来ていたのはうちの研究室だけじゃなくて、他の大学や他の研究室の人もいたので、みんなで仲良く(?)分けることに。
いたるところに物品が置いてあり、もってけドロボー状態。
もはや公認の火事場泥棒。(先輩曰く。)
欲しい物からいらない物まで(←おいおい)がっぽり持ち帰ってきたのでした。
その量2トントラック2台分+普通乗用車2台分。
一時研究室内は物があふれかえりカオスでしたが、人海戦術によりひととおり片づけられたのでした。
一部の人はいまだに貰ってきた冷蔵庫が実験台の前に居座っていたりという被害を受けていますが
解剖用のはさみとかピンセットとかサーモミキサーとかピペットマンとか、実用的で嬉しい物もあったけど、どうでもいいけど心惹かれるものをゲットできたのが嬉しい。
変な色のエッペン立て(黒とか赤って珍しくない?)とか、綺麗な色のPCRチューブ立てとか、色んなサイズのチューブが立てられるプラスチックのチューブ立てとか、、、ってチューブ立てばっかりかーい!
ところが私が狙っていたビビッドピンクのチューブ立てが、片づけしている間にとある先輩にキープされてしまった…。
しかも彼女はピペットマン立てとか10マイクロのピペットマン(何に使うんだろう?)とか、とりあえず欲しい物は「早い者勝ち」宣言をしてみんなが片づけている間に持っていってしまってた…。
コンチクショー!
長い間忘れていた感覚だけど、兄弟げんかってこういうことから始まるのだよな。
時間が経ったらもうどうでもよくなってきた。
グラクソの社食が素晴らしくて気分が上々なので、ちょっぴり心にゆとりのある今日この頃なのでした

『アリス』

2006年12月02日 15時23分45秒 | Movies
こんなことやってる場合じゃないよなあ…と思いながらも映画鑑賞三昧の日々。
今度は、大人なアニメーション作品を。

*あらすじ*
ベースはルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』。
この有名な物語をチェコのアニメーション作家ヤン・シュワンクマイエルが独自のセンスで映像化した人形アニメ。


とってもシュ~ルなアニメでした。
アニメーションと実写のコラボレーションなんだけど、アニメに出てくる人形が可愛くない。
どれもどことなく不気味。ウサギの前歯がなんか生々しい。
アリス役の女の子も時々表情が怖かったりする。
何より、映像の古い感(実際昔のなんだけど)が陰鬱さに深みを加えているような。
凝っているくせに人形やアリスの動きが微妙にチープだったりして…。
誰かと一緒に見てたら会話なくなるだろうなー、あらゆる意味で。
一人で真夜中に見る映画だわー(笑)。

でも決して可愛いアニメじゃないって分かった上で見ているなら、独自の世界観を楽しめると思います。
思ったよりも原作に沿ってるし。
引き出しが効果的に使われているのも面白いし、くつした虫(?)もなんか愛嬌がある。
不思議の国の住人(ウサギとかハートの女王とか)が喋るたびにアリスの口がアップで「~と言いました」って言うのはちょっとしつこいと思ったけど、、演出上しょうがないのかな…。

まあ考えてみればアリスの世界って原作からしてシュールだよねえ。
ふつう子供向けの話で「首をはねろ」なんて言うか~?
カオス&ナンセンスの世界…。

*データ*
監督:ヤン・シュワンクマイエル
出演:クリスティーナ・コトホヴァ(アリス)
初公開年月:1989年7月
上映時間:85分
制作国:スイス/西独/イギリス