らぷんつぇる**

日々のささいな出来事をつづったり
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ひとりごとを言ってみたり。など。

『サルファ剤、忘れられた奇跡 【世界を変えたナチスの薬と医師ゲルハルト・ドーマクの物語】』

2014年06月10日 14時46分02秒 | Books
最近読んだ本の中でも内容の詰まった厚い本でした。
サルファ剤の話って知らなかったんですが、医学の歴史を変えた薬であり、医薬品開発の礎になった化合物なんですね!
これはひとりの医師を核に、奇跡の薬の発見からそれがペニシリンなどの抗生物質に取って代わられるまでの物語です。

*あらすじ*
第一次世界大戦において、細菌による感染症にかかることはほぼ死を意味した。
重症のガス壊疽になれば医師に残された手段は感染部位の切断のみであり、このようにしても生き残る者は僅かであった。
衛生兵であったゲルハルト・ドーマクは野戦病院での惨状を見て、この人類の恐ろしい敵に立ち向かうことを心に誓った。

戦後、医師となったドーマクは「細菌を痛めつける薬」を探す研究に取りかかる。
おりしも、ドイツの有力コールタール染料会社、フリードリッヒ・バイエル&カンパニーでは医薬品の開発に力をいれようとしており、医薬品研究プログラムのリーダーであるハインリヒ・ヘルラインはドーマクを主要メンバーとして引き入れることに決める。
ドーマクはここで連鎖球菌に感染させたマウスを用いた評価系を確立し、社内で合成された化合物を片っ端からこの評価系にかけていった。
しかしどれも効かず、世界的な不景気により資金が干上がってきたころに、効果を示したと思われる化合物が見出だされる。1931年の夏のことであった。
さらに合成展開を進め、得られた赤い化合物は、副作用の殆どない、まさに魔法の薬であった―


なんと、この薬のスタートが色素染料であったことにまずびっくり。
動物を染めてしまう、ってそりゃあねぇ。。
でも、染色される=タンパク質と強く結合する、つまりなんらかの薬効を示すのでは?ってところに着目したと考えると、なるほど…と思う。

この薬以前の薬は化学に基づいたというよりも民間療法に近いものがほとんどで、動物実験や臨床試験も不要、宣伝には何書いてもOK、処方箋なしでも買える、、って今から思うと怖くて使えないようなものばかりだったらしい。
あちこちで色んな種類のサルファ剤が作られるようになった結果の延長で、大規模で悲惨な薬害事件が起き、それがきっかけとなってアメリカではFDAによる医薬品の管理体制が出来上がった…ということからも、ほんとに医薬品の世界を大きく変えた薬なんだなと思った。
バイエルにおける創薬の体制もまさに今の医薬品開発の体制と同じだし、歴史を知ると同時に医薬品開発の実際も理解できるんじゃないかなーと感じる内容でした。
今と決定的に違うのは臨床試験の大変さだと思いますが。
当時は治療法がなかったり、戦時中で負傷者がたくさんいたりで、臨床試験はわりと簡単にできたんですね。
軍隊は生活がほぼ完全にコントロールされているし、傷口から感染症にかかる兵士も多かったから、絶好の試験の場だったんでしょう。
戦争が医薬品開発を後押ししたっていうのも皮肉な話ですけど。

ここの本では科学の話と、第一次世界大戦~第二次世界大戦の歴史が絡んできてるので、物語が壮大になってます。
特にナチス政権下でのノーベル賞受賞妨害、強制収容所における人体実験など、ぞっとする話も…。
ほんとは化合物の色素の部分には活性はなく、ただのサルファに活性があることに気づかなかったっぽいところは片手落ち感があるものの、最後にドーマクの仕事が認められるあたりに救われます。

*データ*
著者:トーマス・ヘイガー
訳者:小林 力
出版社:中央公論新社
ISBN:9784120044793


横浜開港祭 花火

2014年06月03日 14時21分30秒 | Travel
母が花火を見たいというので、プチ旅行してきました。
横浜に花火の日に1泊です!!贅沢ー
ホテルはリサーチしたところ、インターコンチネンタルが一番見やすそう…ということでインターコンチネンタルのベイビューを探しましたが、さすがに予約でいっぱいすごく高い部屋しか残ってない…。
で、お隣の横浜ベイホテル東急を予約しました。
ネットで調べた感じだと、目の前のインターコンチネンタルがかなり邪魔そう…見えるってはっきり言い切れない感じ。
お部屋は15階の海寄りだったけど、チェックインのときにスタッフさんに聞いたときも「毎年打ち上げ場所が微妙に変わりますので…お部屋から絶対に見えるとは言い切れません。」とのこと。うわー、ドキドキする…!

開港祭とのことで、臨港パークでは屋台が出てたり、消防車の試乗をやってたり、舞台でパフォーマンスしてたり、盛り上がってる様子でした。
花火直前になったら混むんだろうな~と思いながら、少しお散歩。
おなかは満たされていたので、特に目ぼしいものは無かったかな…。
飲み物を買いに入ったクイーンズモール内のコンビニが花火に向けて臨戦態勢で、冷蔵ラック1ケース分がまるまるビールだったり、異様に店員さんが多かったり、夜の混みようが目に浮かぶようでした。

ホテルの部屋でまったりお菓子をつまみながら待っていたら、だんだん暗くなり、人が多くなり…いよいよ花火の時間
ちなみにインターコンチネンタルのパークビューの客室は灯りのついてない部屋が結構多く、花火の見えない部屋はやっぱり空いてるのか、外に見に行ってるのかって感じでした。



さあ花火は見えるのかっ!?



見えたー!
すごくいい感じ。
このホテルはベランダに出られるので、飲み物を持って外で花火観賞♪



開港祭の花火は、花火だけでなく音楽やレーザービームとのコラボレーションだそうで、メイン会場の臨港パークステージ(写真左下の明るいところ)でもなにやらレーザーで演出している様子。
ほんとはメイン会場のほうが満喫できるんだろうけど、ホテルからでも十分ライティングしてるの見えるし、音楽も聞こえてきたので問題なし。
何より、帰りの人混みに巻き込まれずに済むのがありがたい…。
案の定、帰りの人混みはすごかった。

翌日は朝から山下公園まで散歩しました。
横浜は何度も来てるし、今さら観光って感じでもないのでのんびり過ごせてよい感じ~でした。

フエルサ ブルータ

2014年05月31日 21時14分51秒 | Theater
新聞で見かけて興味を持ったパフォーマンスに行ってきました。
上からプールが降りてくる!?とか、体験型パフォーマンス!?とか、なんのこっちゃって感じでしたが、あまり事前情報がないほうが楽しめるかな~と思いあまり調べずに会場へ。
会場は特設会場…だけどやたら天井高い。
開場までは建物の外で待ちます。
タオルなんかのグッズ売ってるおねえさんがいたけど、そんなに濡れるのかっ!?とドキドキ。
タオルはともかく、50円で売ってるカップ(プラスチックの使い捨てっぽいやつ)は何に使うのか…!
開場すると、、中はなんかライブハウスのような…



ちなみに座席はなく、オールスタンディングです。
来てる人の年齢層は比較的若かったかな。昼間の回はわからないけど、こどもはほぼいませんでした。
始まる前のアナウンスでは、「観客のかたにも演出に伴って移動していただきます」とのこと。

で、、まずはドラムと歌で始まり、そのあと空中を飛ぶ男女が。



さらに、ひたすら歩き続ける男、すれ違う人々、やかては同じ方向に歩き出したり…。


そして、壁がこの男性に向かって迫ってきた~!と思ったらかなりの勢いでぶつかり、壁をぶちやぶったー!

このへん、きっとストーリーがあるんだろうけど、細かい設定はよくわからず。
しばらく空中のパフォーマンスやらダンスやら歌やらあったあとに、ついに頭上にプールが!
プールというか、水を張ったアクリル板??お姉さんたちが水遊びしたり、泳いだり。
さらにはプールがだんだん降りてきて、手でさわれるくらいのところまできました。
そんな間近でおねえさんが顔を近づけてきたり、倒れてきたり。





そしてクライマックス、あ~ここでずぶ濡れになるのね、って演出がありました。真ん中にいなければ濡れないけど。

感想。楽しめました…が、もうちょっと真ん中で見たかったな~(最後以外)、やっぱりオールスタンディングだと見えないことも多々あるし疲れました。チケットちょっと高いな~。一度観れば満足かも。
パフォーマンスというカテゴリでいうなら、やっぱり「水と油」がピカイチです。私のなかでは。
フエルサブルータにもストーリー性があればもっとよいのにな。
結局、カップはなんだったのか最後までわからず。純粋なおみやげ??


へんないきもの展

2014年05月24日 22時26分00秒 | Exhibitions
すっかり間があいてしまいました…。
ブログお休み中の1年色々ありました。
今年の1月におちびが生まれて、やっと落ち着いた感じ。
母乳だけでは体重の増加が思わしくなく、ミルクを足すようになったことで、家族に預けて出かけることができるようになり、家族のお言葉に甘えてリフレッシュのちょこちょこ予定が入っています。
で、かなり久しぶりにサンシャイン水族館に行ってきました。
今「へんないきもの展」をやってるのです。
以前、「へんないきもの」っていう本がヒットしましたが、その著者の早川いくをさんとのコラボ企画だそうです。
で、、夕方チケット売り場前に行ったら、物凄い行列が…。
水族館は左手奥だったので、この右側の行列はなんだ?と思ったら、へんないきもの展は水族館の中の展示ではなかったらしく、この列がまさにへんないきものに会う人たちの列。
70分待ち!とのことなので、とりあえず先に水族館を見てきました。
が、、出てきても列は短くなっておらず。
並び始めたのが18時45分くらい、閉まるのが20時、入場は閉場の30分前までということで、大丈夫かっ??と思ったのですが、案の定入れる頃には20時過ぎてました。
私たちの後ろにも並んでたけど。
小さい子連れも結構いたけど、おちび連れてこなくてよかった…。

中身ですが、たしかにへん…というか、キモチワルイ(というのも失礼だけど)生き物たちが揃ってました~。
展示自体はそんなに広くなくて小規模でしたが、出会ったら泣きそうナンバーワンは私的にはウデムシかなぁ…。
ポスターにも出てるハダカデバネズミちゃんはほんとに生まれたてのラットの赤ちゃんみたいだったけど、すごく可愛かったよ~!
ハダカデバネズミには女王を頂点とした序列があって(なんと赤ちゃんを暖める「布団係」もいるらしい!)ここに来てたのはしたっぱどもだったらしいんですが、女王がいないからだらけ気味とのこと(笑)可愛い。

いきもののへんさもさることながら、早川さんの書いてる生き物紹介文が面白い。
本に載ってたオオグチボヤとかカイロウドウケツとかも見たかったなぁー。

人気のため会期を延長して6月1日までやっているそうです。

岡山・香川アートツアー 3日目

2013年03月28日 21時27分45秒 | Travel
3日目の目的地は大島。
高松から比較的近い島です。
ここは島全体が青松園という元ハンセン病患者のための施設です。
ハンセン病はらい菌の感染によって起きる病気ですが、感染力が非常に弱いためうつる危険がほとんどなく、遺伝病でもないにもかかわらず、症状が進行したときの見た目から長い間隔離政策が行われてきた病気です。
患者は強制的に郷里から隔離されたばかりでなく、結婚は許されていたもののこどもを成すことが許されなかったため、こどもは病気ではないのに堕胎が行われ、生まれてくることができなかった命が多くあったとのことです。
最近両親ともにハンセン病患者であった女性が書いた本(『生まれてはならない子として』宮里良子)を読んだので、島を訪れたタイミングはかなりタイムリーでした。
今島にいる元患者さんは全員治療を終えており、後遺症と高齢者のためのケアを受けながら暮らしているので、患者さんではなく入所者さんと呼ぶそうです。

島は1時間ほどツアーでまわり、その後1時間ほど船が来るまでの時間フリータイムです。
島全体に音楽が流れているのですが、目の見えない入所者が曲がり角を識別できるように曲がり角のところにスピーカーがあるそうです。
居住棟は海沿いの平地にあるけど、教会・お寺などの宗教施設や慰霊碑、納骨堂は急な坂を登ったところにあって、目の見えない人や障害のある人がここまでくるのは大変だなぁ。。と思いました。

今入所者の方は80人弱(?)くらいで、職員の方が人数は多いんだとか。
島では職員は見かけたけど、入所者の方には会いませんでした。
(基本的に居住エリアは立ち入り禁止なので、それもあるかも。)

悲しい歴史のある島だけど、海はすごく綺麗だし、いい場所でした。
瀬戸内海の島って複雑な歴史のある島が多いですね。
前日に行った豊島も今はアートの島になりつつあるけど、少し前まで産業廃棄物の不法投棄と野焼きが大きな問題になり、最近やっと廃棄物の運び出しと処理が始まったところだし(豊島に向かう途中、まさに処理場が見えるところでフェリー内のテレビにそのニュースが映ってびっくり。まさか録画?!)。
以前行った大久野島も戦時中に毒ガスを作っていた歴史があるし。。
瀬戸内海の島々もただただ風光明媚で景色のいい場所、ってわけではないんですねー。

高松からはフェリーで神戸へ。
15時出港ですが、4時間以上かかるので到着は夜です。
この航路、明石海峡大橋の下を通る上に神戸に着く頃には夜景が見られるはず!なので楽しみにしてたのです。
で、とった写真がこちら☆


月とライトアップされた明石海峡大橋。あと2日後に満月をむかえる上弦の月です。


神戸の夜景!山に錨と神戸市のマークが見えます。

他の乗客の人たちもすごいはしゃいでました。
ほんとに、夢のテーマパークのよう。
風がすごく強くて花粉症の身にはつらかったけど、綺麗に撮れてよかった!

岡山・香川アートツアー 2日目

2013年03月27日 23時53分56秒 | Travel
2日目はバスで宇野港へ。
宇野へは電車も通ってて、3年前に芸術祭に来たときは電車で来たんだけど、時刻表を調べたらなんと7時40分発の次が衝撃の15時15分!
最近「電車は1時間に1本」くらいには慣れてきたけど、想像を遙かに超えてました。。。
スマホ君にお問い合わせしてみたところ、なんと「バスがあるよ」とのありがたいお言葉が。
バスだと30分に1本くらいあるんですね!すばらしー!

意気揚々とバスで宇野にたどり着くも、豊島行きフェリーの時刻表が思っていたのと違う。。。あれ??
ちゃんと芸術祭公式ガイドブックで調べたはずなのに??
なんとよくみたら時刻表の下に「この時刻表は4月1日からです。3月中の時刻表はウェブページでご確認を」てなことが書いてある-!
そんなわけで宇野をぶらぶらしながら2時間近く時間をつぶしました。


静かな港町には不似合いな派手派手看板。

宇野にはアラーキーデザインの派手派手看板が掲げられていたり、派手派手デコ車から哲学者の格言が流れていたり、かなりカオスなアートがちりばめられてました。


チヌにも再会

で、この日の目的地、豊島唐櫃(からと)港へ。
目指すのはここからほど近い豊島美術館。
近いんだけど、なにしろ上り坂だし帰りの船まであまり時間がないのでバスで移動。
この場所には3年前にも来てたんですが、そのときはまだ美術館は建設中で入れなかったんです。。。

この美術館、白い楕円形の建物で、作品はたったひとつだけ。
というか、たぶんこの環境自体もすべてアートなのでしょう。。
建物に入る前に靴を脱ぐのですが、「足下に陶器やガラス、水などありますがすべてアートです。壊さないようにお気をつけ下さい」と言われ、なんのこっちゃ??と思ったのですが、まさしくそれがすべてでした。
最初は建物のスケールにびっくりし、それから水たまりと、それをしゃがみこんで観察している人たちが、、、これのどこがアート?と思ったけど、よく見てみたらすごかった!
いくらでもいられそうです。
是非また行きたい!


美術館の写真を取り忘れたよ。美術館横の道から海を見下ろした図。左手には棚田がありました。

この日はここから宇野に戻り、預けた荷物を回収してカフェに寄り、フェリーで高松に移動。
高松に泊まりました。
高松も結構おしゃれな街で、香川県はじめ四国や日本各地のヨイモノを扱っているお店「まちのシューレ963」などなど見てるだけでも楽しかったし、お土産を買うのにも最適でした。

岡山・香川アートツアー 1日目

2013年03月27日 23時36分50秒 | Travel
アートを巡る旅に行ってきました。
まず行きたかったのは倉敷の大原美術館なんですが、今瀬戸内の島々で瀬戸内国際芸術祭をやっているということもあり、倉敷から岡山の宇野港を経て豊島(てしま)→高松→大島→高松というルートにしてみました。

倉敷は大原美術館に行くのにものすごく迷いました。。
スマホの地図が大原美術館の別館(本館から少し離れている)を指しているので、そのへんをうろうろし続け。。。
有名な美術館のわりに周辺に案内図がないのは私設の美術館だから??
ともかく、無事に入れましたが。
ここにエル・グレコの「受胎告知」があるんですね~すごいなぁ。
フレデリック 「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」は宗教がかりすぎて好きな絵ではないけど、その描き込みの細かさには圧倒させられますね。。
大原家と親交の深かった児島虎次郎って、名前は初めて知りましたが、結構素敵でした。
朝顔と浴衣の女性の絵が好きです。まさに初夏の朝、って感じで、見ているとまだ寒い時期なのに夏の空気を思い出す。

倉敷の美観地区はその名の通り綺麗な町並みでした。
ここの一角にある「林源十郎商店」もアートなお店で可愛かった!
自分用に真鍮のスプーンを購入。


昼の美観地区


備前焼のお店の看板娘??

ちょうど行ったときには夜のライトアップもやっていて、和傘がこんなにおしゃれなことに!


かなり人だかりしてました


夜の町並みはこんな感じ

3日くらい前にホテルを探し始めたせいか、倉敷のホテルはどこも満室でした。
そんなに人気があるとは!
どちらにせよ次の日には岡山駅に行く必要があったので、夜景を見てから岡山に移動、一泊。

『桐島、部活やめるってよ』

2013年03月09日 23時17分43秒 | Movies
日本アカデミー賞が発表されました。
で、最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞したのがこの作品。
個人的にはつまらん。。と思ったので、ちょっとびっくり。

*あらすじ*
とある高校のとある一日。
いつもどおりの平凡な時間が流れていたが、その日の放課後、バレー部のスターである桐島が部活をやめるという噂が校内を駆け巡る。彼女でさえ桐島と連絡が取れないまま、桐島と直接接点のない生徒たちまで騒動に巻き込まれる事態に。。。


一番特徴的な演出としては、「桐島がいっさい出てこないこと」です。
桐島がどんな人間なのか、なぜ部活を辞めることになったのか、そもそもそれは真実なのか、観ている側からは桐島を取り巻く人たちが語る言葉の中でしか推察できないのです。
同じシーンが、異なる人間の視点から何度も繰り返されるのも特徴的。

どうやら監督(原作者?)は「学校内のヒエラルキー」と「桐島がいなくなったことによる人間関係の変化」に焦点を当てたかったみたい。
前者に関しては確かに色々考えさせられるところはあったかな。
学校って、同じ年の人間が狭い場所に押し込められて同じことを強いられる環境なわけで、必然的に「上」の人間と「下」の人間が生まれてしまうんですよね。
あー、たしかにそうだなー、それで、そういうところが学校のやなとこだったな。と思い出した。
「人気者」「癒し系」「カワイイ系女子」「エンターテイナー」「マドンナ」みたいな役割がいつの間にか振られていて、それに沿った行動を求められていたような。

桐島は「上」の人間なので、彼がいなくなったことによって直接的なダメージを受けるのはその周囲の「上」の人たち。
でもそこだけにとどまらず、その影響が「中」や「下」の生徒たちにも波及していくのがこの映画の面白さというか売りっぽいんだけど、そんなにそこ波及してなかったし、面白いかったのかなぁ??と思ってしまった。
「上」のひとたちが、観客の視点ではすでに存在していないも同然の桐島の名前を連呼し、桐島に翻弄され(ていると思っている)、あげく桐島事件に夢中になるあまり、桐島の存在に関係なく平和な
一日を過ごしている無関係な人たちにまで迷惑をかけてしまう、というだけの話に思えた。
人間関係別に変化してないし。
「校内の人間関係に緊張感が張りつめる中、桐島に一番遠い存在だった“下"に属する映画部前田が動きだし、物語は思わぬ方向へ展開していく。」ってパンフに書いてあったので、前田が場外から面白いことを仕掛けるのかと思いきや、前田はただ単に学園ホラー映画が撮りたかっただけだったし。。。

最終的に思ったのは、誰もが狭い世界に生きてるんだな、ってことかも。
桐島は校内では有名人だったから彼がいなくなったのは学校全体の大事件だ!と関係者は思った訳だけど、学校全体のレベルで言えば彼がいようがいまいが、ましてや部活を続けようがやめようが関係ない人もいるのに、そういう広い視野を桐島騒動の中心になった人たちは気づいてなかった。
現実世界でも、有名タレントや有名実業家が亡くなってメディアが騒いでも、大多数の人にとっては明日の生活が変わるわけではない。っていうのと似てるかも。
ラストに登場人物のひとりがそのことにちょっと気づいた風な余韻はあるけど、こういう解釈でいいんだろうか。

うーん。。

*データ*
監督:吉田大八
出演:神木隆之介(前田)、橋本愛、大後寿々花、東出昌大 他
上映時間:103分
初公開年月:2012年8月
制作国:日本

銀谷のひな祭り

2013年03月03日 22時42分02秒 | きょうのできごと
思い立ってプチ旅行に行ってきました。
場所は兵庫県朝来市の生野。
朝来は前フォレストアドベンチャー(フィールドアスレチックみたいなやつ)で来たけど、その時は車でした。
今回は電車。
車で来たときも山深い印象はあったんだけど、電車で来ると「…遠いなぁ。」と改めて実感。
姫路から播但線に乗り換えて、途中からはさらに電車が小さくなって、電化されてない…ってことはディーゼル車か!しかも、一駅の区間がえらく長い!

ここで何をやっていたかというと、、生野駅周辺の銀谷(かなや)地区で、有志で家庭のおひな様を一般公開し、来た人たちに楽しんでもらおう、という試み。
前からやっていたみたいだけど、初めて知りました。
参加している家庭や事業所はかなり多くて、駅から近くの口銀谷地区では100件、少し離れた奥銀谷でも50件というからかなりの規模です。
参加している家はピンク色ののぼりを立てているので、それを探しながら歩くのがなんかウォークラリーみたいで面白い。

おひな様は古くから受け継がれている年代物や、最近生まれた子の為に買ったもの、手作りの品など様々でしたが、基本的に3人官女や5人囃子はもちろん、合計7段あるものばかりで、おひな様とお内裏様しかいなかった身からすると羨ましい(笑)
これが外から見えるように飾られているんですが、玄関先に飾ってあったり窓を開けないと見えないところにあったりするので、「どうぞお入りください」「戸を開けてご覧ください」とか書いてありかなりアットホームなおもてなしの気持ちが感じられました。


なんて豪華な!

もっと混んでいるのかと思いきや、駅前は不安になるほど人気がなく、どっちの出口からでたらいいのか焦りました。
駅前に何か案内あるだろう。と思っていたけど何もなく、地図の配布を行っているホールも駅から少し離れているのでほんとにスマホがあってよかった。。。と思った。
町の中心街が駅からちょっと離れているんですねー。

お祭り的に来た人にお金を落としてもらおう!みたいな風でもなく、ほんとに来たい人が来て楽しんでくれれば~みたいな雰囲気でした。
どこかメインの会場にミニ出店みたいの出して、朝来名物鹿カレーとか生野のハヤシライスとか本気で売ったら結構儲かるんじゃないかしら。。途中で雪(!)がぱらついてきたりして結構寒かったし。
でもそういう商売っ気が薄いところもいいのかもね。

ところで、雛壇で右大臣・左大臣の下にいるこの方々は何の役なんでしょう?

なんか酔っぱらってるふうだったりとか、くずれた座り方だったりで、不思議な空気を放っていたのですが。

ぼけぼけ

2013年03月02日 21時37分23秒 | きょうのできごと
先日出張に行ったのですが、そこは1時間に1本くらいしか来ない新幹線に乗らなければいけないところで、行きはまあ予約して時間に合わせて乗ればいいんだけど、帰りは電車に遅れそうで慌てて切符を買って乗ったのですが、、、後日会社で精算しようとして領収証を見ると妙に高い?!実は行きの切符を買うときに、前もって帰りの分の乗車券も買っていたのです。。。それでポケットからまさかの未使用復路乗車券が。。。まだ乗車券が期限内だったので無事払い戻してもらえましたが、払い戻し手数料がかかったのと、乗車券に往復割引(1割引)がきいていたのでそれのお得分がなくなったので、千円単位で損失が出てしまった。沈。

こんな感じで最近ぼけぼけです。