らぷんつぇる**

日々のささいな出来事をつづったり
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ひとりごとを言ってみたり。など。

『ねにもつタイプ』

2008年04月27日 22時56分49秒 | Books
ひさしぶりの更新です。
えーと、どんだけぶりでしょう。。。
ソリティアを華麗に成功させる方法を編み出すべく奮闘していました。
はんぶんうそで、はんぶんほんとうです。

さて、今日読み終わった本。
岸本佐知子さんの『ねにもつタイプ』。翻訳家として活躍する彼女のエッセイ集です。
はまりましたー。
なんか、自分とおなじニオイがします。

まず、「馬鹿と高いところ」。
文章がかわいくて秀逸。
はじめて富士山に登ることになったときのこと。
プリンのような、ゼリーのような不思議な形。色は下が青、上が白で、境目がぎざぎざしている。頂上が雲より高いところにある。なんと素敵な山だろう。登ったら、その青い土をたくさん袋につめて帰るのだ。雲にも触ってみたい。“五合目”というのは、どのあたりだろう。うまくして青と白の境目のあたりだったら、不二家の三色アイスクリームの境目のところをスプーンですくうみたいに、ちょうど色の変わるあたりを持ち帰れるかもしれない。

当然、富士山の土は青でも白でもなく、“見渡すかぎり茶色と灰色の世界”で、幼いキシモトさんはがっかりしてしまうのです。
さらに、東京タワーに登ることになったときも、「あの針のように細い天辺に立つのは、どんな気分だろう」と期待し、心配してしまう彼女。

私も、昔親に「東京ドームは、野球をするところなんだよ」と言われた時に、いくら広いとはいえあんなとこで野球やって、選手は落っこちないのかなぁ、ボールは飛んで行っちゃわないのかなぁ、なんで平らなところでやらないんだろう?って思っていました。
東京ドームの近くに住んでいて、ドーム自体は何度も見ているのに、テレビであまり野球を見ない家だったので。。
はじめて中に入った時(野球観戦ではないけど)、長年の謎がとけたかんじでしたねー。

あと、「じんかん」。
それまで普通に使っていた言葉がきゅうにへんな響きに思えてくることってないですか?
私は一時期、「アメリカ」「イギリス」あたりが、きました。
アメリカって、あんな広大な国のくせになんて安っぽい名前なんだろうー、イギリスも、「イ」のつぎに「ギ」がくるなんてありえねぇー、って。
キシモトさんは、肘の“折り曲げ線”や“妹という存在”にきたらしい。
わかる、わかる。

「目玉遊び」
これ、私もやったことある。
そして、心配されたこともある。
小さい時に親に「見えるよね?」って聞いたら「まつげでしょ」と言われ、そうかー見えないのかーもしかして私ビセイブツが見える特殊体質では??と思ったこともありました。

ともかく、なんだかすごく親近感を覚えたのです。
あ、やっぱりいるんだ!仲間!って思った。
もちろん発想力とか想像力とか飛んでる度とか、すべてにおいて私はこの大先輩に若かないのですが。
これでキシモトさんがB型だったら最高、ぜひとも一緒にB型共和国を立ち上げたい。
翻訳した本の中にこないだ読んだ本とか、わりと好きな作家・ミルハウザーの著書があって、さらにさらにびっくりしました。

*データ*
著者:岸本佐知子
出版社:筑摩書房
定価:1500円+税
ISBN:978-4-480-81484-5