以前記事を書いた『世界屠畜紀行』も、いきものがお肉になるまでとそれに関わる人々を取り上げた本でしたが、森達也さんのこの本も、そんな感じです。
タイトルからしてまさに!ですが。
こっちは、こどもにもわかりやすい文章が心がけてあって、読みやすいです。
内容は『世界屠畜紀行』の方が詳しく工程が説明されています。
(なにしろ「世界」ってことで日本以外の屠畜についてもカバーされてるからなぁ。)
やっぱり、お肉になるまでの話と、差別問題っていうのは切っても切れない話なんでしょうか。
この本の流れとしては
みんなが食べているお肉、どこからきてるか知ってる?
↓
生きている豚や牛がお肉になるまで、その「あいだ」を知らないのはどうして?
↓
いつごろから豚や牛とのおつきあいが始まったか見てみよう
↓
じゃあ次に、豚や牛がお肉になるまでを見てみよう
(屠場やそこで働く人たちに対する差別の話も絡めて)
↓
「穢れ」と差別について、無意識に目をそらすことをやめてみない?
てな感じで、半分くらいが被差別や差別の構造についての話。
築地の魚市場はよくテレビで取り上げられるのに、食肉市場は取り上げられないのか、その理由のひとつに、そこで働く人たちを映すこと自体が差別を助長するとテレビ局側が考えている、と著者は指摘しています。
でも、そうした問題を避けて取り上げないことで、誰も傷つけずにすむと思っていることが大きな間違いだ!というのが彼の主張。
屠場から目をそむけ続けてきたからこそ、屠場で働く人たちも仕事を隠さなくてはならなくなった。自分たちがお肉を食べるためには、誰かが殺さなければいけないのだということ、もっと知ろうよ。という感じでしょうか。
「子どもの学校の宿題が『お父さんの職業』についての作文だと聞いたとき、自分は本当につらい思いをした。でも子どもは違った。作文を後から読んだ。『肉を作るお父さんの仕事は、とても大切です。だから僕はお父さんが大好きです』と書いてくれた。嬉しかった。涙が出た。この仕事をやってきてよかったと今は思っている」
お肉になるまでの話を知るのはすごく大事だと思う。
でも、差別について、子どもに教えるのってかなり難しいんじゃないだろうか。
子どもは純粋なだけに結構残酷だから、「あのへんの地域に住む人たちは昔差別されていたんだよ」なんて話を聞いたら、それをネタに差別やいじめが始まったりしないだろか。
上の、引用した話も、もしその子の周りで「食肉市場=被差別」なんて話題が出てたら、やっぱり「お父さんの仕事はお肉を作る仕事です」って書いたその子にも余波がくると思うのだよね。
被差別について、どうやって教えるか、慎重に考えた方がいいと思う。
似たような仲間と集団を作って身を守りつつ、他者との違いをあれこれ理由にして差別したがるのは、大人だけじゃなくて子どもも同じはず。
むー、やっぱり他人の痛み(←自分が経験を積むことでしかわかり得ないことだと思うけど)を知りましょう的な教育の後でしか、この話は無理なのか…。
*データ*
著者:森達也
出版社:理論社 よりみちパン!セ
定価:1000円+税
ISBN:4-652-07803-X
タイトルからしてまさに!ですが。
こっちは、こどもにもわかりやすい文章が心がけてあって、読みやすいです。
内容は『世界屠畜紀行』の方が詳しく工程が説明されています。
(なにしろ「世界」ってことで日本以外の屠畜についてもカバーされてるからなぁ。)
やっぱり、お肉になるまでの話と、差別問題っていうのは切っても切れない話なんでしょうか。
この本の流れとしては
みんなが食べているお肉、どこからきてるか知ってる?
↓
生きている豚や牛がお肉になるまで、その「あいだ」を知らないのはどうして?
↓
いつごろから豚や牛とのおつきあいが始まったか見てみよう
↓
じゃあ次に、豚や牛がお肉になるまでを見てみよう
(屠場やそこで働く人たちに対する差別の話も絡めて)
↓
「穢れ」と差別について、無意識に目をそらすことをやめてみない?
てな感じで、半分くらいが被差別や差別の構造についての話。
築地の魚市場はよくテレビで取り上げられるのに、食肉市場は取り上げられないのか、その理由のひとつに、そこで働く人たちを映すこと自体が差別を助長するとテレビ局側が考えている、と著者は指摘しています。
でも、そうした問題を避けて取り上げないことで、誰も傷つけずにすむと思っていることが大きな間違いだ!というのが彼の主張。
屠場から目をそむけ続けてきたからこそ、屠場で働く人たちも仕事を隠さなくてはならなくなった。自分たちがお肉を食べるためには、誰かが殺さなければいけないのだということ、もっと知ろうよ。という感じでしょうか。
「子どもの学校の宿題が『お父さんの職業』についての作文だと聞いたとき、自分は本当につらい思いをした。でも子どもは違った。作文を後から読んだ。『肉を作るお父さんの仕事は、とても大切です。だから僕はお父さんが大好きです』と書いてくれた。嬉しかった。涙が出た。この仕事をやってきてよかったと今は思っている」
お肉になるまでの話を知るのはすごく大事だと思う。
でも、差別について、子どもに教えるのってかなり難しいんじゃないだろうか。
子どもは純粋なだけに結構残酷だから、「あのへんの地域に住む人たちは昔差別されていたんだよ」なんて話を聞いたら、それをネタに差別やいじめが始まったりしないだろか。
上の、引用した話も、もしその子の周りで「食肉市場=被差別」なんて話題が出てたら、やっぱり「お父さんの仕事はお肉を作る仕事です」って書いたその子にも余波がくると思うのだよね。
被差別について、どうやって教えるか、慎重に考えた方がいいと思う。
似たような仲間と集団を作って身を守りつつ、他者との違いをあれこれ理由にして差別したがるのは、大人だけじゃなくて子どもも同じはず。
むー、やっぱり他人の痛み(←自分が経験を積むことでしかわかり得ないことだと思うけど)を知りましょう的な教育の後でしか、この話は無理なのか…。
*データ*
著者:森達也
出版社:理論社 よりみちパン!セ
定価:1000円+税
ISBN:4-652-07803-X