らぷんつぇる**

日々のささいな出来事をつづったり
本や映画や食べ物の感想を載せてみたり
ひとりごとを言ってみたり。など。

『サルファ剤、忘れられた奇跡 【世界を変えたナチスの薬と医師ゲルハルト・ドーマクの物語】』

2014年06月10日 14時46分02秒 | Books
最近読んだ本の中でも内容の詰まった厚い本でした。
サルファ剤の話って知らなかったんですが、医学の歴史を変えた薬であり、医薬品開発の礎になった化合物なんですね!
これはひとりの医師を核に、奇跡の薬の発見からそれがペニシリンなどの抗生物質に取って代わられるまでの物語です。

*あらすじ*
第一次世界大戦において、細菌による感染症にかかることはほぼ死を意味した。
重症のガス壊疽になれば医師に残された手段は感染部位の切断のみであり、このようにしても生き残る者は僅かであった。
衛生兵であったゲルハルト・ドーマクは野戦病院での惨状を見て、この人類の恐ろしい敵に立ち向かうことを心に誓った。

戦後、医師となったドーマクは「細菌を痛めつける薬」を探す研究に取りかかる。
おりしも、ドイツの有力コールタール染料会社、フリードリッヒ・バイエル&カンパニーでは医薬品の開発に力をいれようとしており、医薬品研究プログラムのリーダーであるハインリヒ・ヘルラインはドーマクを主要メンバーとして引き入れることに決める。
ドーマクはここで連鎖球菌に感染させたマウスを用いた評価系を確立し、社内で合成された化合物を片っ端からこの評価系にかけていった。
しかしどれも効かず、世界的な不景気により資金が干上がってきたころに、効果を示したと思われる化合物が見出だされる。1931年の夏のことであった。
さらに合成展開を進め、得られた赤い化合物は、副作用の殆どない、まさに魔法の薬であった―


なんと、この薬のスタートが色素染料であったことにまずびっくり。
動物を染めてしまう、ってそりゃあねぇ。。
でも、染色される=タンパク質と強く結合する、つまりなんらかの薬効を示すのでは?ってところに着目したと考えると、なるほど…と思う。

この薬以前の薬は化学に基づいたというよりも民間療法に近いものがほとんどで、動物実験や臨床試験も不要、宣伝には何書いてもOK、処方箋なしでも買える、、って今から思うと怖くて使えないようなものばかりだったらしい。
あちこちで色んな種類のサルファ剤が作られるようになった結果の延長で、大規模で悲惨な薬害事件が起き、それがきっかけとなってアメリカではFDAによる医薬品の管理体制が出来上がった…ということからも、ほんとに医薬品の世界を大きく変えた薬なんだなと思った。
バイエルにおける創薬の体制もまさに今の医薬品開発の体制と同じだし、歴史を知ると同時に医薬品開発の実際も理解できるんじゃないかなーと感じる内容でした。
今と決定的に違うのは臨床試験の大変さだと思いますが。
当時は治療法がなかったり、戦時中で負傷者がたくさんいたりで、臨床試験はわりと簡単にできたんですね。
軍隊は生活がほぼ完全にコントロールされているし、傷口から感染症にかかる兵士も多かったから、絶好の試験の場だったんでしょう。
戦争が医薬品開発を後押ししたっていうのも皮肉な話ですけど。

ここの本では科学の話と、第一次世界大戦~第二次世界大戦の歴史が絡んできてるので、物語が壮大になってます。
特にナチス政権下でのノーベル賞受賞妨害、強制収容所における人体実験など、ぞっとする話も…。
ほんとは化合物の色素の部分には活性はなく、ただのサルファに活性があることに気づかなかったっぽいところは片手落ち感があるものの、最後にドーマクの仕事が認められるあたりに救われます。

*データ*
著者:トーマス・ヘイガー
訳者:小林 力
出版社:中央公論新社
ISBN:9784120044793


横浜開港祭 花火

2014年06月03日 14時21分30秒 | Travel
母が花火を見たいというので、プチ旅行してきました。
横浜に花火の日に1泊です!!贅沢ー
ホテルはリサーチしたところ、インターコンチネンタルが一番見やすそう…ということでインターコンチネンタルのベイビューを探しましたが、さすがに予約でいっぱいすごく高い部屋しか残ってない…。
で、お隣の横浜ベイホテル東急を予約しました。
ネットで調べた感じだと、目の前のインターコンチネンタルがかなり邪魔そう…見えるってはっきり言い切れない感じ。
お部屋は15階の海寄りだったけど、チェックインのときにスタッフさんに聞いたときも「毎年打ち上げ場所が微妙に変わりますので…お部屋から絶対に見えるとは言い切れません。」とのこと。うわー、ドキドキする…!

開港祭とのことで、臨港パークでは屋台が出てたり、消防車の試乗をやってたり、舞台でパフォーマンスしてたり、盛り上がってる様子でした。
花火直前になったら混むんだろうな~と思いながら、少しお散歩。
おなかは満たされていたので、特に目ぼしいものは無かったかな…。
飲み物を買いに入ったクイーンズモール内のコンビニが花火に向けて臨戦態勢で、冷蔵ラック1ケース分がまるまるビールだったり、異様に店員さんが多かったり、夜の混みようが目に浮かぶようでした。

ホテルの部屋でまったりお菓子をつまみながら待っていたら、だんだん暗くなり、人が多くなり…いよいよ花火の時間
ちなみにインターコンチネンタルのパークビューの客室は灯りのついてない部屋が結構多く、花火の見えない部屋はやっぱり空いてるのか、外に見に行ってるのかって感じでした。



さあ花火は見えるのかっ!?



見えたー!
すごくいい感じ。
このホテルはベランダに出られるので、飲み物を持って外で花火観賞♪



開港祭の花火は、花火だけでなく音楽やレーザービームとのコラボレーションだそうで、メイン会場の臨港パークステージ(写真左下の明るいところ)でもなにやらレーザーで演出している様子。
ほんとはメイン会場のほうが満喫できるんだろうけど、ホテルからでも十分ライティングしてるの見えるし、音楽も聞こえてきたので問題なし。
何より、帰りの人混みに巻き込まれずに済むのがありがたい…。
案の定、帰りの人混みはすごかった。

翌日は朝から山下公園まで散歩しました。
横浜は何度も来てるし、今さら観光って感じでもないのでのんびり過ごせてよい感じ~でした。