詩人PIKKIのひとこと日記&詩

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『土曜日は灰色の馬』恩田陸(晶文社)読了

2010年09月26日 | 日記
彼女の本は初めてだったけど・・鋭い時代批評は素晴らしい!特に社会へ出る前の若い人たちに読んで欲しいなと思う本だった。

『土曜日は灰色の馬』から少しだけー
《現代は「娘の時代」であると思う。
少なくとも、日本はそうだ。正確に言えば、息子には多くを期待しなくなり、誰もが娘を頼る。結果として、娘が息子を兼ねなければならなくなっている。》

《かつての1970年代の青春はヒリヒリするものだった。『十九歳の地図』も、認められず、何者にもなれず、社会の底辺で欝屈とした毎日を過ごしヒリヒリした青春を過ごす青年の「青春映画」だったはずだった。
 そぁそ。現在の若者たちはそうではない。柳町監督はそのことを看破し、見事に活写している。
「恵まれて」はいるが、無菌室の中でつるつるしたガラスの表面に爪を立てるような青春。彼らには、その日がくるまで、すべての現実を隠蔽されている。
その日とはつまり、社会に出るその日までだ。彼らはいきなり梯子を外されて、現実を突きつけられる。
その恐るべき「現実」がすぐそこまで迫っていることを察知しているものの、とりあえず日常は穏やかであり、飢えることもなく、若さを満喫している。「ひりひり」はしていないが、「じわじわと」真綿で首を絞められていくような、緩慢な閉塞感、窒息感に外堀を埋められているのである。》



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