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詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

かけがえのない場所

2010年05月14日 | Weblog
かけがえのない場所は
いつでも どこにでもある
誰にでも どんな動物にも

子供時代のぼくのそれは
ポプラ並木道を登った先の
はるかな昔先住アイヌ民族が
そこへと鹿を追い詰めて追い落したという
断崖の上の給水タンク

十メートル以上もの給水タンクの上からは
浜に沿った街と海とが一望できて
きみが家へと帰ってゆくのを

後ろの丘を振りかえれば
そこには
いつものせせらぎと小さな木橋
まるでゴッホの跳橋と
一面のタンポポの草原

ひばり

2010年05月14日 | 
もう薄暗いというのに
まだ雲雀があちこち
空の彼方でさえずている

母が亡くなった雨の日にも
さえずっていた雲雀
濡れそぼった橋の欄干の上では
ありとあらゆる種類の鳥たちが
いつまでもうなだれたまま

ひばりの唄だけが母の葬送の歌
「美空ひばりの唄はなんだか哀しくなるね」と
いつもそっとつぶやいていた母

ひばりはいつだって
声の限りに抗議しながら
空の彼方を目指していた小鳥

黒澤映画の秘密の半分

2010年05月14日 | 日記
それは、彼の映画の原点というべき「白痴」「どん底」というロシア文学にあるのではと思う。(トルストイの「戦争と平和」は30回も読み返したとか)

前者は、僕の故郷北海道の札幌を舞台にした・・彼が一番好きだったドストエフスキーの小説の映画化で、テーマになっているのは「無垢」なのではと思う。
注目すべきなのは、若くして自殺した五歳上の兄や、最も可愛がってくれた六歳上の姉の存在が・・たぶん黒澤映画を解くカギなのかもしれない。

その兄や姉は、成長してゆく少年や少女の原型として、何度も何度も、彼の映画に登場し、彼らの成長や救済がもうひとつの主要テーマだった。特にそれは、「生きる」から「赤ひげ」までが顕著だったのではと思う。

そして、「無垢」からの成長や救済の果てに、黒澤明が最後にたどり着いた鎮魂歌は、「デルスウザーラ」や「六月の狂詩曲」だったのではと思う。