ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME8 3-XII:The Last Debate (4)

2007-01-12 22:52:41 | Tolkien・HoME
フーリン(鍵の番人)「勝利ならそれでよろしいでしょうが,今何を目的とすべきか,まだ聞いておりません。単純に,ここに留まるのか進むかという選択なのでしょうが。もし賢い人々が留まる事に希望がないとおっしゃるなら,私は進み,破滅を受け入れましょう。掴まれてしまう前に少なくても一捻りは与えられますから。」

ガンダルフ「フーリンの考えを承認しましょう。それが私の意図した所です。これは武器によって勝利を得る戦いではありません。指輪を使うのは負けと同じ事なので使いません。私は,デネソール侯の仰られた通り,馬鹿みたいに,敵から奪われるかもしれない所へ指輪を送りました。私達の中からそれを取る者を出すより,偉大な邪悪に送ったわけです。しかしまだ戦いは続きます。希望がある限りは戦い続けなくてはなりません。我々はもはや武器によって救済される事はありません。今は慎重さより大胆さが必要です。まだ小さな希望はあります。サウロンはまだ指輪を奪い返してなく,我々と同じ恐れを持っているのです。我々が急ぎ,彼の恐れが強まり,彼の目が力を増せば増すほど,彼の危険は近づきます。それ故,この勝利をすぐにつなげ,全ての力を東へ向けるべきと思います。」

イムラヒル「しかし,慎重さは必要ではないですか。我々の側には体力のある馬も人も少ない。しかし敵方には北にまだ戦ってない軍勢もいます。都を空にしては燃やされてしまいます。」

ガンダルフ「確かに。東へ向かう軍勢はモルドールからの全ての攻撃に耐え得るほどの強大な物である必要はありません。挑戦するに足りるなら十分です。」

これらのセリフにもトールキンさんの考え方が伺えますね。何故希望がなくても進む事を決意したのか,ようやくわかりました。

ここで,この章の初期の構成についてです。ギムリとレゴラスが都に入り,メリーとピピンに会って「楽しい時間を過ごす」と,すぐに,イムラヒルとエオメルが降りてきてアラゴルンのテントを訪ね,ガンダルフ,エルロヒア,エルラダンと一緒に,すぐにミーティングが始まるそうです。(そうそう,原作はそうでしたね。(笑)→いや,映画でギムリが当たり前のように執政席でパイプを燻らしていたのを思い出したんで(^^;))

この章は,いよいよクライマックスに向けての「踏み切り」感覚程度で読んでいましたが(汗),実際に戦争を経験したトールキンさんの考え方を伺う事ができる重要な章だったのですね。

The Field of Blood : Chapter 9

2007-01-12 00:46:22 | Athelstan・Doherty
作者はPaul Dohertyという人ですが,実は驚いた事にこの人は他にもPaul Harding,Michael Clynes等たくさんのペンネームを持っているんですね! 

彼はAthelstan(正確にはSorrowful Misteries of Brother Athelstan)シリーズの他にもオニのように(笑)ミステリーを書いてます。Athelstanシリーズと同時期に「Hugh Corbett Misteries」というのが出ていますが,これもまた中世ミステリーですよ。他にも「Canterbury Tales」とか,「Ancient Egyptian Mysteries」というのまであります。さらに驚く事に,こうしたミステリーの下調べで培った知識を活かして(というかおそらく元々こちらがご専門なのでしょうねぇ(笑)),中世関連のノンフィクション著書も多数。例えば左の本などは,Athelstanの檀家さん(^^)が,ホモではないかと話題にしていたエドワード2世についての解説です。

で,Paul Dohertyという人,何者かと思ったら「またまた」先生ですよ。ロンドンのEssexの学校の校長先生だそうです。まったく,ローリングといい,C.S.ルイスといい,トールキンといい,イギリスはホントに「先生」には要注意ですね!(笑)

この章になって,Athelstanは,かつて見習いの時に逃げて戦争に行き,兄か弟が戦死して戻って来たという話がちらっと出てきました。


HoME8 3-XII:The Last Debate (3)

2007-01-12 00:09:29 | Tolkien・HoME
ガンダルフのイムラヒル大公への言葉遣いが。。。一応,丁寧にしておこう。

「とっくにその仕事をやっておくべきだった!」とイムラヒル。「気付いた時には彼は我々の想像をはるかに超えていた。彼を滅ぼすには集められた軍勢から叩かなくては。」
「その通りです。」とガンダルフ。「デネソール侯が見た通り,彼らの数はあまりに多い。従って,この戦いには希望はない。ここで待ち包囲に続く包囲をされても,川を越えて打ち負かされるにしても。まずは慎重になる事です。そうすれば少しは生き長らえる事ができる。しかし,この戦いに指輪が加わった。これは勝利を勝ち得る物です。」
イムラヒル「噂には聞いた事があります。これはサウロンの『1つの指輪』ではないのですか? もしそれを取り返したら暗い過去の時代のように強さを取り戻すと言う‥」
ガンダルフ「それは本当です。彼のみが以前より強くなる。海の向こうからはもはや助けは来ませんからのう。」
イムラヒル「しかしもし我々は指輪を手に入れそれを扱う事ができるのなら,どうやって勝利するのですか?」
ガンダルフ「1日ではできませぬ。しかし力ある者の所へ来れば,アラゴルンとか,ここの都の殿とか,エルロンド殿とか,私の所等に来れば,その者は力を得て,指輪の主となり,誰もが彼に従うようになります。そして誰も殺す事はできません。サウロンの心すら何でもない物になる。指輪の主は彼から全ての力を吸い取るでしょう。皆が彼を敬い服従するでしょう。サウロンも完全に征服されるでしょう。しかし,一方で,暴君が力を付けるのです。」
アラゴルン「そして,さらに悪い事には,彼は西方の知恵や財産を破壊してしまうのです。」
イムラヒル「では,指輪を如何に使うのですか?」
ガンダルフ(フーリンへ変更)「少なくても戦いに勝たねばなりません。モルドールの汚い君主ではなく。」
イムラヒル「ではたくさんのマークやこの国の騎士が名乗りを挙げるでしょう。しかし更なる知恵が必要です。勝利それ自身は無意味だ。ゴンドールが正義でないなら意味がないし,モルドールが邪悪でないなら,それは勝利だ。原文は,"Victory is in itself worthless.Unless Gondor stants for some good, then let it not stand at all; and if Mordor doth not stand for some evil that we will not brook in Mordor or out of it, then let it triumph." トールキンさんの戦争に関する考え方のわかる文章です。。

Run!Run!Run!