先回の記事「マインドコントロールとはなにか」(西田 公昭)の続きです。
この本の後半に「脱会のためのカウンセリング(の仕方)」が載っています。家族や大切な方が組織に残っているという人には興味深い内容だと思います。
以下引用しててみます。
p 205 脱会カウンセリングの重要なポイント
1 生理的充
カルトでは厳しい生活をしてきた人が多い。したがってまず重要な静養をとらせる
2 介入する理由(を相手に知らせる)―反社会性の指摘をする
なぜそのカルトが問題であるか指摘する。
彼らは一見すると反社会的に見えても、もっと別の高度な基準に照らすと善であり、正しい方向に導くためのやむを得ない措置と考えている。
介入者はその高度な基準がいかなる論拠でいったい誰が与えているか理解しておく必要がある
3 動機付けの形成
彼らは自分たちの思想が絶対的に正しいと信じている。
そして組織から指導をうけ、抵抗する作戦を教えられている。
黙秘、まともに取り合わない、逃げる、納得したふりをする(などである)。
こうした状況を打開するには説得も会話も成立しない。このためだけに何ヶ月もかかることがある。
なぜ介入者が介入しているのか、なぜしなければならないのか、彼ら自身に疑問を抱かせ、考えさせなければならない。
4 敵意と恐怖心の除去
介入者は(カルト信者から)悪と認知される場合が多い。
それにこれまでに両者の間でおこった感情のもつれやトラブルが原因を深めてしまう場合もある。
(それでこの解決には)元メンバーの協力が有効であるようだ。
カルトの中には辞めることが不幸の原因になり、悲惨な生活を余技なくされると信じている場合が多い。元メンバーが現在何事もなく暮らしているといううだけでも、彼らが信じていることとは矛盾している事実をつきつけることになる。
5 マインドコントロールの説明
最近のメンバーはこの言葉(マインドコントロール)についてひとおり教わっているかもしれない。しかしそれを歪曲して取られているとこも多く、少なくとも自分たちだけはそのようなものを受けていると認知しない。
そのために他の破壊カルトが用いるマインドコントロールの実例を提示するとこが効果的である。
なぜなら、その実例の中に自集団の勧誘方法や生活と類似するものが必ず存在するのでそれに気づく可能性がある
つまり、自集団を客観的に評価する可能性が高まるのである。
6 思想の矛盾や問題点
カルトの思想は一見科学的、論理的に見えたりするように作られている
またそれは非常に難解な文章で書かれたりして、理解しがたい部分を含んでいる場合もある。またそれがその思想を深遠なものを惑わせている場合もある。
しかし、精検しながら読めば明らかに事実と矛盾する誤りやトリックによる欺瞞がみいだされる
また仲介者はそのカルトが行っている活動の全容を出来るだけ客観的な証拠とともに提示し、彼らの知らない活動や思想を示す努力をする。
このような事のために介入者はできるだけカルトの書物や察しを手に入れ、それを中心に用いる。
7 過去の記憶
カルトメンバーになる前の行動や意思を思い出せることが有効。(脱会カウンセラーのハッサンによる説)
8 元メンバーの体験
その類似性から共感を生み出すことにつながる。自分だけのことではなく、同じような経験を持つ人がいるというのは心強く辛い現在を乗り越え、新しく再出発するうえでの強い勇気を与えてくれる。
破壊カルトから脱会を決意しても、彼らはすぐ様社会復帰することはできない。人によっては十数年、様々なハードルをクリアする必要がある。
p210 後遺症とリハビリ
1 情緒的混乱
心理的な空虚感、無気力感、憔悴感が半年ほど続く人が多い。「これから何かしようという気力がなくなった」など
2 情緒不安
感情の上がり降りが激しく、自我によるコントロール感を失う。半年から5,6年つづいたという人もいる。
3 自責
長い人は5年以上続くこともある。
4 後悔
学校や仕事をやめ、将来の夢をあきらめたこと、財産や友人を失ったことへの後悔
「10年という長い期間、しかも若い貴重な時期を間違ったこと、犠牲にしたものはあまりにも大きい。悲しいことが多すぎる、、、」など
5 現実逃避
あまりにも厳しい現実を考えないようにする。数年続く人もいる。
「あのままやっていれば苦しまなくてもすんだのにと思うことがあります」などという発言をする人がいる。
6 自信の喪失 自分で自分を管理することの自信を失う。
7 孤独感
カルトから脱会して、全く孤立した状態で社会へと入っていかなければならないゆえの孤独感(を訴える)
8 拒否感
カルトでの生活をイメージさせる物事へ反射的な嫌悪感
9 今後の生活への不安
人生の具体的な展望、仕事、結婚といった具体的な展望について悩む。
「ちゃんと生活できるのか、仕事が出来るのか、まともに結婚できるのか不安」など
次の2 思考的混乱
の章では気分だけでなく「考え方」も脱会前のものに(意図せず)こだわる傾向が脱会後もしばらく続く事が指摘されています。
その具体的内容は、、、、
1 意思決定の困難 依存心が強まっていて自分で決定することが難しい
2 柔軟性の欠如 常に白黒はっきりした習慣が尾を引くことが多い。
3 言葉のトラブル
カルトの言葉を用いてきたため、習慣的に漬かってしまう。「特殊な用語ばかりつかっていたので、一時的に言葉を忘れることがある」など
4 残余思考
カルトに与えられた考え方が偶発的に作動して当時と同じような行動をしてしまう。これはフローティングと呼ばれる。
5 条件反射 思想が誤りであると理解していても体が反射的に反応してしまう。
「異性と一緒に座る時は握手するときに拒否感がある」など。
以上で本からの引用を終わります。
こうやってざっと見てみるとここに書いてあることのほとんどが自分の身に起こりました。
(JWでない方はブログを最初から読んでいただけると具体例で理解していただけるかもしれまんせん。)
自分の身に起こったことはこんな風にブログに逐一記録していてもうろ覚えだったり記憶違いだったりするものだし、人に話そうとするとどこから説明するべきか??なんてごちゃごちゃになってしまうので、
こうやって箇条書きであげられると「なるほどな~。」と理解しやすかったです。
他のカルトも同じことをしている事を知らせるというやり方はJWには効かないような感じもしますが、
自分の場合は特にオウム事件の時に少しの共通性を感じ、その先にある結論を見る前に怖くなって思考を停止しました。(その共通点について考えるのをやめました)
オウムの場合は犯罪性があり、特に共通点を否定したい頑固なJWの場合には好都合な点もたくさんあって決定的な脱マインドコントロールにはつながりませんでした。
逆に比較的「良い人となりの宗教」者たちとJWとの共通点をみて心は揺さぶられました。
伝道をするのはJWだけだと教えられていましたが、キリスト教圏の国では多くの宗教がJWのように(イエスのように)家から家の伝道をしていました。
彼らはJWのように集まり合い、公の集まりのほかに書籍研究のような事もしていました。
実際めったに他の宗教者を見ることがない日本のJWにはこのブログでもあげたドキュメンタリーや映画をさりげなく見てもらうのもいいかもしれません。
一つ言えることは、共通点を考え始めてから実際の脱マインドコントロールまでにはかなりの時間がかかってしまいました。その疑念を消そうという思いが強かったようです。
条件反射などはいまだなおっていないような気がします。
これはマインドコントロールの後遺症というよりも三つ子の魂百まで、みたいな感覚ですね。2世はマインドコントロールと教育が同時に行われるので、リカバリーまで時間がかかるか、リカバリーってったて、ちゃんとした元がないんだから戻りようがない?
そうすると二世は「後遺症から元に戻る」というより「新しい自分を作ってゆく」作業をしなければいけないのかもしれません。?
それから、以前の生活を思い出させ脱マインドコントロールさせるるというのは。。。以前の生活がない2世にとっては辛いですね。。。こんなところでも2世は苦労するよ。。。