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★マインドコントロールとはなにか 西田 公昭

2009-12-24 22:07:31 | ●脱JW後の悩みとガイド
 もう読んだ方も多いと思うのですが、今まで読んだ「マインドコントロール」を説明した本の中で一番良かったので紹介しておきたいと思います。

マインドコントロールや宗教問題を扱った本は意外に俗っぽいものが多く、脱JW直後はそういう本を読んでとても嫌な気持ちになりました。

もし脱JW直後の人やこれからしようとしてる方はこの本をおすすめします。

この本で一番良い部分はp205の 「脱会カウンセリングの重要なポイント」なのですが、長いので二回に分けて抜粋したいと思います。

前半は人がなぜカルト宗教にだまされてしまうのかが分析されています。

青い部分が本書からの引用です。

p132 破壊カルトにおいて、伝道活動、募金、修行、訪問販売などその生活は非常に厳しいものが多い。しかし、厳しい入会儀式は彼らの組織に対する魅力を損ねるどころか、かえっていっそう魅力を高めてしまう効果を持つのである。


自動的にエホバの証人になった2世にはわかりにくいところですが、あれだけ要求の多い宗教に自分の親たちがなぜあえてはまってしまったのかな、、と考えることがありますが、

要求が多いから逆にはまってしまうというのはなるほどと思いました。要求が難しく多いのでそれをクリアしたからには何か特別な事がありそうだとか、自分がひとかどの人間だと思えるのかもしれません。

(実際あの要求をこなしてきた人は偉いと思いますが


だからある組織が集団の外部から見ると奇妙で風変わりなことをやっている場合も、集団の結束をはかるためには、かえってそのような奇妙なことが必要であるという側面があるのだ。


● p152 ニーズ操作とアピール

勧誘者は個人のニーズの違いに対応して適切なメッセージを選んで用いる。

たとえば。。。

1 「あなたはーしなければならない。さもないと」という強制メッセージ
2 「あなたがもし正しい人間ならば変わらなければならない」訓戒的メッセージ
3 「あなたは変わることができる。そして救われる」という治療的メッセージ
4 「あなたは変わることができて、あなたのもつ潜在能力を引き出せる」自己現実メッセージ
このうちどれかもっとも有効な影響力が与えるであろうものをうまく組み合わせて用いる。

このような勧誘メッセージがタイミングよく出されると、有効な影響力の武器となる。



伝道で使われたテクニックですね。なるほどと思った部分は次の部分です↓

そして、ニーズが低い被勧誘者には、扇動してニーズを高める操作をおこなうことがある。

つまり、不安や恐怖感を喚起しやすい社会問題を提示するとか、被勧誘者の弱点をうまく聞き出したり、調べたりしてその点を攻撃する。

例えば戦争、経済危機、環境汚染、いじめや子供の非行など、誰もが頭を悩ますような解決困難な提供し、本人に問題解決を迫り、答えの出せない状況へと追いこみ、依存心を高めるのである。



ニーズが少ない、もしくはニーズがない人というのは健全な精神を持った人とか、不幸な環境にいない人とか、2世とかだと思います。「ニーズがなければニーズを作る」ということでしょうか。


その方法とは。。。。

ニーズとメッセージの組み合わせ


1 自己変革欲求に訴える 罪悪感やコンプレックスを標的にしてもし学んだら悩みが解決できると言う。

2 自己高揚欲求に訴える 人生における有能感を与え、生きがい、社会貢献といった人生の目的、見習うべき価値あるモデルを提供するなど。「人生の目的がわかりますよ」など

3 認知欲求に訴える 自分、世界、歴史、宇宙、霊界などの超自然について理解したい欲求。特に超能力、神秘的なもの、理想的な家庭や世界、歴史の法則や世界の終末などについて正しく認知しようとする動機付けを与える。

「科学では解明されていない驚異の世界がある。」「謎に思っていること全てについて分かる、知りたいとは思いませんか」など


4 親和欲求に訴える 親密な仲間集団を求める動議がみたされていない状態。孤独感を癒し、真に心を開いて語り合う場所と人を提供する。

「同じような仲間がいるから、一緒に考えましょう」「唯一、真面目に真剣に人生を生きているすばらしい人たちがあなたの友達になってくれますし、その仲間は親よりもすばらしい」など

こうして被勧誘者は彼らの主張を聞いてみるくらいはいいのではないか、と思うようになる。だれもが気づく通り、ここに取り上げたことに関して多くの人が悩んでいたり、あるいは関心を寄せている。



こんな風にしてエホバの証人は家庭に入り込むわけです。

自分の母親もこのどれかに当てはまったのではないかなと思います。

もちろん、自分もエホバの証人を知らなかったら、もし話を長く聞いていたら信じてしまったかもしれません。

以上がマインドコントロールの始まり部分です。

次にどのように組織が神聖視されるようになり、結束が固まるのかについての説明です。


p 185 組織の強化と維持


1 外敵回避

 カルトのメンバーは常に被害者意識を煽られ、外部が自分たちを迫害し、攻撃し、組織をつぶそうとしていると考えるようにさせられている。
そして自分たちの親や友人までがその外部に操られて自分たちを拉致し、監禁し、場合によっては薬物を用いて集団からの脱利を強制しようとすると考え警戒している。


2 離脱の恐怖


 カルトは集団の外部にいると何か不幸なことや危険が生じるといった恐怖感、今しか機会がないという切迫感、自分の力ではどうすることもできないという無力感を与えることがある。


これによってメンバーは情緒的な混乱状態に置かれる。
そして同時にその破壊的状態から救う唯一の教祖への依存心や忠誠心を高めるメッセージを提供される。

事実上、行動の選択肢をなくしてしまうのである。

これらの情緒的混乱が信者に教義に背くような思考を生じにくくさせ、もし生じても恐怖ですぐに打ち消させてしまい、信仰の強化、維持に機能してゆく。ハッサン(カウンセラー)はこれを「思考停止の技術」と呼んでいる。


3 カルトのアイデンティティー

 個人はカルトに入ることによって社会的なアイデンティティーを取得する。つまり、個人が非個人化して所属する組織のメンバーとして自己を同一化することにより、自分が所属する集団とそれ以外の外集団との区別が明確化する。


4 迫害感をマゾヒスティックなまでに与える

メンバーだけで助け合うなかで、あたたかさ、思いやり、純粋な人といった対人的魅力やわれらという仲間意識をもった集団の雰囲気が形成される。こうした集団のまとまりの良さを集団擬集性というが、それを高めるものは自己愛(ナルシズム)に満ちた優越感や誇りである。


つまり自分たちだけが特別な指名をもった選ばれたエリートであると考えること、格別のこと(真理)を知った唯一の集団と信じさせるのである。


したがって外部の人を知性が低く、邪悪なものと軽蔑したり、救ってあげなければならないという使命感を感じる。この高い目標をもった自己愛が外集団との区別を先鋭化させ、批判は根拠のない中傷と考えるようになる。



エホバの証人でいてこの中で強く感じたことは

1の「外からの攻撃」を無からつくりだして、それに対しての恐怖を感じさせる点と、3の「アイデンティティー」の部分です。(もちろん他のどれもしっかり使われていましたが)


この中ですごくなるほど!と思った部分は

「こうした集団のまとまりの良さを集団擬集性というが、それを高めるものは自己愛(ナルシズム)に満ちた優越感や誇りである。」

ってところでした!


自分のその一部だったわけですが、エホバの証人というのは時にものすごく傲慢なんですが、もとから自己愛よりの人が惹かれる体質なんですね。。。。そして教理の中でそれがいつも刺激されているので増長してゆくという。。

今もJW現役の人と話し合う際にまいるのはこの強いエゴ部分です。


次にカルトに参加し始めた人がどんなふうにどんなふうにコントロールされてゆくかについて書かれています。

p188 行動の管理


 新しいメンバーは組織によって与えられた役割を一生懸命演じてゆくうちに、自己の態度がその役割にそって変化する。


カルトのメンバーは自集団の思想についてまだ全部を理解していないという認知があり、常により深い理解をしようとする。

そのために一番良いのは、その集団で様々な活動に奔走することであると指示される。

また新参者に対して「今は分からなくともやっているうちに理解してくる」という。



何か付け加えることもないくらいです。エホバの証人の教理は膨大で何十年やっていてもまだ学びきれていない。等と考えます。

実際には神学というのは一生の学問ですし、エホバの証人の場合歴史に沿ってまなんだり、一つのテーマを深く掘り下げる研究をするかわりにあっちからすこし、こっちの歴史からすこしと

あちこちつまみ食い的な学習を(わざと?)するのでさらに難解なイメージを与えるのでしょう。


生理的剥奪を生活の管理

 生理的なストレスを与えることがマインドコントロールを助長するという考え
サーガンと、リフトンをはじめとする洗脳の研究において明らかになっている。

1 単調な生活

 カルトの生活はパターン化され単調である。そんな中でメンバーは常に上のものに相談し、指示を与えられることが多いため、解決方法の未知な問題に遭遇しにくく、意思決定に迷うことがない。


2 異性感情の抑制

 カルトメンバーは異性への性的欲求などを極端に抑制することを求められることが多い。


3 肉体的疲労

 メンバーに激しい活動を強いているとこが多い。あるカルトの例ではメンバーは日々課題目標をたてて、その目標を決死の覚悟で達成すべく行動し、達成しない場合は時間を延長してでもおこなう。


4 切迫感


 どんなに厳しい活動であっても、いまこそ集団で活動に邁進してゆかなければならない状態にあると強調される。あるカルトは聖書の終末論にそって世界の終わりが近づいてきているとされている。

そして今がハルマゲドンのために人間が神に協力する最後の機会であるから、一生懸命活動しなければならない。このような切迫感により常に活発に活動することを余技なくされる。(緊急事態)

そして緊急事態における人間の意思決定では情報を幅広く取り入れる能力が低下することが分かっている。

(カルト団体は)このような操作をして常に「自ら考えたように感じさせる。選択の自由があるがことくに思わせる」


はい。



なにもJWにあてはめたコメントがいらないくらい、そのまま当てはまります。


次回に続く。