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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

広島の"日本会議支部事務局"が"産経新聞福山支局内"と同一!

2021年06月12日 | 平和憲法
 ◆ 憲法・軍事問題で政府・自民党寄り報道増すNHK (マスコミ市民)
永野 厚男(教育ジャーナリスト)

"日本会議支部事務局"の電話が"産経新聞福山内"となっているビラ

 ◆ 憲法記念日なのに改憲派集会を護憲派より先に報じる

 5月3日の憲法記念日集会の各紙報道は、朝日・毎日・東京が現憲法を守り活かす側(護憲派)の集会を先に報道し、改憲派の集会はその後で報じた。読売・産経は逆の順番であり、改憲派の集会のボリュームが大きい。新聞は各自がお金を出して購入する(ネット記事は一部無料のものもあるが)媒体だから、この順番の違い等は、多様であっていいと考える。
 しかし、公共放送を謳(うた)うNHKが、「憲法記念日 改正求める立場・守る立場 集会やフォーラム」と題する5月3日19時7分のオンラインニュース以降の報道で、
 「憲法記念日の3日、憲法改正を求める立場の人たちや憲法を守る立場の人たちが、それぞれフォーラムや集会を開きました」というリード文のもと、改憲派を先、護憲派を後の順で報じたのは、大問題だ。
 具体的にはNHKは、日本会議が深く関与する改憲フォーラム(後掲)を先に報じ、その後で護憲派の国会前からの「平和といのちと人権を!5・3憲法大行動」を報じた。
 現憲法は、国家権力を暴走させないという立憲主義に立つ。
 護憲派は立憲主義を守り広げる立場だが、改憲派は逆に、国家の権力・権限を強化し、個々人の権利を制限する主張をしているし、祝日法第2条「日本国憲法の施行を記念し」という規定からも、憲法記念日の集会についての公共放送の報道は、護憲派を先に報道し、改憲派の集会はその後で報じるべきだ。
 ◆ NHK「取材・制作過程はお答えしていない」と回答

 筆者はNHKに5月17日、こういう趣旨を伝えた上で、
   ①改憲派集会を護憲派より先に報じた理由は? 『産経』のように改憲を是と考えるからか、
   ②集会報道の順番で自民党や政府、経営委員長から指示等あったか、質問をメールした。
 これに対し、NHK広報局から翌日、
 ①については、「憲法をめぐっては、できるだけ多角的に課題や意見を明らかにするとともに、それぞれの立場を公平・公正に扱っています。なお、取材・制作の過程に関することについては、従来より、お答えしておりません」、
 ②については「ご指摘のような事実は全くありません」と、メール回答があった。
 NHKの憲法記念日集会の放映時間は、数年前は改憲派を護憲派よりかなり長く報じる偏向報道があったが、今年は護憲派・改憲派ほぼ同じ時間であり、「政治的に公平」と規定する放送法第4条に、量的には適合している。
 しかし、①への回答は、「視聴者の第一印象につながる『先』が改憲派という順番では、憲法記念日の意義に反し不適切だ」という、私の指摘に正対していない。
 読者の皆さんも、来年の憲法記念日集会のNHKの報道ぶりを注視して頂ければ、ありがたい。
 ◆ 自衛隊増強と日米軍事同盟の〝抑止力〟に固執するNHK

 4月12日夜の「安全保障政策のこれから 日米首脳会談を前に」と題する『時論公論』で、田中泰臣(やすおみ)解説委員は、集団的自衛権の行使を可能にした安保法(戦争法)施行で、自衛隊が〝平時の活動〟として米軍の艦船や航空機を、武器を使って守ることができる〝武器等防護〟が、2017年は2件、18年は16件、19年は14件、20年は25件というグラフを示し、増加の要因を「政府関係者は、対中国を念頭に日本周辺で共同訓練が増えてきているのが大きいとしている」と述べた。
 そして田中氏は、
 (1)河野克俊(かわのかつとし)自衛隊統合幕僚長が「米軍幹部から『日本は変わった。とても助かる』と言われた。以前は自衛隊がアメリカ軍に守ってもらうことはあっても、こちらができることは限られていた。この活動のおかげで日米同盟は確実に強化された」と言った、
 (2)柳澤協二(やなぎさわきょうじ)元内閣官房副長官補が「この活動で平時から作戦上の日米一体化が進んだ。米中対立が激しくなっている今、意図しない衝突がないとは言えず、自衛隊が巻き込まれてしまうおそれがある」と危惧を抱いている――と、ここまでは両論併記で伝えた。
 しかし田中氏は、「北朝鮮のミサイルの発射で米朝関係がかつてないほど悪化していた17年、統合幕僚長だった河野氏は、アメリカ軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長と頻繁に連絡を取り合っていた。そして密(ひそ)かに数人の部下に対し、有事に備え、集団的自衛権行使や重要影響事態の後方支援などで、自衛隊として何ができるか検討するよう指示したという。その後、米朝両国が対話に転じたため、それ以上の検討はしなかったとしている」という、自衛隊トップだった河野氏の〝暴走〟については、反対意見を紹介しなかった
 田中氏はこの後、「中国海警局が尖閣(せんかく)諸島周辺で領海侵入を繰り返している問題への対応は、安保法の整備の際にも検討され、自衛隊に迅速に治安出動などを命じることができる見直しが行われた。しかし中国が2月、海警局に武器の使用を認めた海警法を施行したことで、自民党内などから、それでは不十分との声が出ている」と発言。
 続けて、
   ①国防部会などは先週、菅総理大臣に直接、必要な措置を早急に検討するよう求めた、
   ②別の議員連盟は陸上自衛隊を事前に展開させる法整備などを提言、
   ③野党の国民民主党は、自衛隊による海上保安庁への支援を明確にする法改正を求めている、
   ④一方で共産党は、「自衛隊が出ていけば一触即発の状態になる」と法整備に反対(注、フリップに反対の政党名を明記せず)、
   ⑤自民党内にも「事態をエスカレートさせるおそれがある」と慎重な意見がある、
   ⑥政府内でも具体的な検討は進んでいないが、今後の中国の動向によっては、法整備の議論が高まることも予想される、と述べた。
 田中氏に反論する。
 まず、④の反対は共産党だけでなく、立憲民主党や社民党、れいわも反対、もしくは慎重なのではないか。田中氏は取材し放送の中で明らかにするべきだ。
 また⑤は、4月6日付『産経』が「自民尖閣提言玉虫色の決着」という見出しの下、「海上保安庁は全力を尽くしており、海上保安庁法改正は必要ないという意見もある」との平口洋(ひらぐちひろし)自民党国土交通部会長の発言を報じている(【注】参照)。一(いち)議員の意見ではなく、①の国防部会と同格の、自民党の国交部会という組織としての発言だ。しかし田中氏は国交部会の動きを紹介せず、フリップにも明記せず。偏っている。
 ◆ 改憲フォーラムに日本会議深く関与

 冒頭の改憲派の〝公開憲法フォーラム〟は、「この憲法で国家の危機を乗り越えられるのか! ― 感染症・大地震・尖閣―」と題し、登壇者は主催者代表の櫻井よしこ氏と、自民・下村博文(はくぶん)、維新・足立康史(やすし)、国民民主・山尾志桜里(しおり)の各衆院議員、財界から日本経団連の井上隆氏、日本青年会議所の佐藤友哉(ゆうや)氏らに、前掲の河野克俊氏も。
 武装集団である自衛隊トップだった人物が、19年4月1日の退官後2年で憲法9条を敵視する改憲派集会に登壇したのは、自民党総裁名でビデオメッセージ出演した菅義偉(よしひで)氏と共に、政治的中立性が問われてしかるべきだ。
 ビラには〝民間憲法臨調・美しい日本の憲法をつくる国民の会〟の共催とあるが、「日本会議」でネット検索すると、10の地方組織が「東京・砂防会館会場からオンライン中継を視聴」し、自民党衆参両院議員の講演等とセットにした集会を開催。
 10のうち多くが〝美しい日本の憲法をつくる××県民の会〟主催となっているが、新潟県長岡市と静岡県富士市の会場は、〝日本会議支部〟が共催や主催と明記している。
 〝広島県第7選挙区国民投票連絡会議〟主催で、〝日本会議広島福山支部〟後援の〝憲法フォーラム〟のビラを見て、筆者が驚いた、というより「やっぱり」と思ったのは、問い合わせ先の〝日本会議支部事務局〟の電話が〝産経新聞福山内〟となっていることだ。
 何と〝報道機関〟の社員(支局員)が改憲政治団体の事務局員を兼務しているのだ。
 【注】 『産経』は「海保は軍事的任務に就くことを禁じている同法25条に改正の手が伸びてくることを忌避している」と、海保法改〝正〟反対の内容を報じ、4月11日の『時事通信』は、「国交部会関係者の一人は『海上保安庁法の改正は中国を刺激する悪いメッセージになる』と強調」と報じている。
『マスコミ市民』(2021年6月号)

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