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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

介護保険制度20年、新型コロナの発生で、ホームヘルプ利用条件制限が仇に

2020年05月17日 | 格差社会
  =ひろがるコロナ感染症 困窮する介護職場(週刊新社会)=
 ◆ 冷遇され続けた訪問介護制度
   ホームヘルパーの支援を急げ


 介護現場でも新型コロナウイルスの感染者が増加している。介護保険制度がスタートして20年目に入っている。
 国は、介護は「施設中心から在宅福祉へ」との看板を掲げ、「ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ」在宅福祉の三本柱に据えた。
 しかし、介護給付費の抑制が連綿と続き、中でもホームヘルプは受難の20年間であった。
 デイホームでの新型コロナ感染者が発生した地域においては、ホームヘルプ事業にしわ寄せがいき、危機に瀕している。
 ◆ スタート時点から問題があった!

 介護保険が始まる前は、ホームヘルパー(以下、ヘルパー)は事業所に出退勤していた。それが、自宅からの直行直帰「登録ヘルパー」が導入された。
 介護報酬は、利用者へのサービス提供時間しかカウントされない。移動時間、待ち時間、書類作成時間などは保障されない
 そのため、労働基準法違反事例が多い。
 しかも、非正規ヘルパーが多く、女性が9割で、年齢構成も60歳代以上が3分の1を占める。他のサービスと比較しても、最初から低賃金構造が組み込まれていた。
 ◆ ヘルパー利用の制限強化の運続!

 ホームヘルプ事業は、生活援助(以前は、家事援助)と身体介護の2種類に分類される。
 生活援助は、掃除、洗濯、調理、買い物などである。
 身体介護は、排泄・食事介助、清拭・入浴などである。

 家事援助は1回1時間が基本であった。それが、2012年度から基本45分に改悪された。
 15年度からは要支援1、2のホームヘルプとデイサービスは、介護給付から外し、自治体の地域支援事業に移行した(3年間かけて)。
 さらに政府は、21年度から、要介護1、2の生活援助も「軽度者」と見なし、地域支援事業に移行しようとしたが、さすがに反対意見が多く先送りされた。
 他にも、生活援助の同居家族がいる場合の利用抑制、利用回数の多い人の利用制限など、ヘルパーにとっても利用者にとっても不利益な事態が続いている。
 政府は、ホームヘルプ、とりわけ生活援助を目の敵にしてきたが、新型コロナの発生で今や仇となっている
 ◆ NPO法人代表など要望書提出!

 4月10日、訪問系サービスの事業所を運営するNPO法人の代表者などが、政府と国会に「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」を出した。
 ①訪問系サービス事業所へのきめ細かい感染予防、感染対策の周知徹底を、
 ②訪問系サービス事業所と介護労働者が新型コロナウイルス蔓延時に安心して働き、休める環境整備を、
 ③ホームヘルパーの緊急増員を、
 の3点である。

 多くのヘルパーは、感染に怯えながら働いている。低賃金の上、労働環境も厳しい。
 自治体は、国の対策指示を待つのではなく、自治体独自でも先行したヘルパー支援が求められる。
『週刊新社会』(2020年5月12日)


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