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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国旗国歌法:寸劇「指導」っていじめ?

2015年09月25日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 16年前、国旗国歌法ができたとき、いずれこんな時代が来るのではないかと思って作った「『指導』っていじめ?」という寸劇があります。(松田)
  寸劇~「日の丸・君が代」法制化の下で~(1999年秋制作)
 ● 「指導」っていじめ?


 第1場
 ナレーター 卒業式が近づいてきたある日、中学校3年生のAさんがおばあちゃんと話しています。
生徒A おばあちゃんの時の卒業式ってどんなんやったん?
祖母  戦争のときやったからなあ。「蛍の光」も歌われへんようになって、「海ゆかば」を歌う卒業式やった。
生徒A 「海ゆかば」ってどんな歌なん?

祖母  「海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね) 山行かば 草生(む)す屍 大君(おおきみ)の 辺(へ)にこそ死なめ 顧(かへり)みは せじ」って歌う歌や。「天皇陛下の為に死んでも悔いはない」という意味なんやけど、そのころの私らみんな、ほんまにそう思ってたもんな。
生徒A 今度のうちらの卒業式、「君が代」歌わへんかったらあかんねんて。いややなあ。
祖母  歌いとうなかったら歌わんかったらええんや。歌いとうない人まで歌わなあかんようになったら、それこそ恐ろしい。また、天皇が神さんになる日が来るで。
生徒A …(考えている)
 第2場
 ナレーター ここはAさんの中学校の職員室。卒業式についての話し合いが行われています。
教師  卒業生の中に嫌だという生徒がいても、「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱はするんですか。
校長  もう一度はっきりさせておきます。国旗掲揚・国歌斉唱は、生徒の意向にかかわりなく、義務づけられたものであって、生徒は国歌を歌うべきなのです。ここをまちがえてはいけません。それを生徒に理解させ、心から歌えるようにするのが、皆さん方、教師の役割なのです。
 第3場
 ナレーター 卒業式の練習が始まっています。
全員  きみがぁよぉは~
教師  A、なぜ歌わないんだ?

生徒A 「君が代」は嫌なんです。天皇陛下は神様って感じの歌やから…

教師  それは違うぞ。日本の国の繁栄を願う歌なんだ。

生徒A でも、「天皇陛下の治めておられる世の中がずっと続きますように」って意味なんでしょ。おばあちゃんに聞きました。
教師  確かに昔はそうだったが、今は違う。今は、「君が代」とは「天皇を象徴とする我が国」と解釈するんだ。「私たちの国の末永い繁栄を願う歌」としてみんなで歌おうということだ。
生徒A でも、同じ歌詞・同じ曲なんでしょう。この歌を歌っていて、戦争のために大切な人を亡くした人や、天皇の軍隊に家族を殺されて、しかもむりやりこの歌を押しつけられた人たちはいい気がしないと思います。「君が代」を今も国歌として歌っているなんて、アジアの人たちはどう思うのかななんて思って…
教師  そういう面もあるかもしれないが、だからこそ、私たちがこの歌を平和の歌として歌い、努力することが大切なんだ。
生徒A だったら別の歌にしたらいいのに。やっぱり歌う気になりません。

教師  法律で決まっているんだ。どこの国にも国旗国歌はある。自国の国旗国歌を尊重することが他国の国旗国歌を尊重する気持ちを育てることにもなるんだ。国際化の時代には大切なことなんだ。
生徒A 戦前の「日の丸」や「君が代」は日本の中でたいへん尊重されていたと思うんです。でも、他国の人々を尊重するどころか、蔑み、殺していくことになったんじゃないですか。それはどうしてですか。
教師  うっ、それは…それは…

生徒A やっぱり歌う気になりません。
 第4場
 ナレーター 再び職員室です。
教師 Aは、やっぱり歌わないと言っています。努力はしましたが納得させられませんでした。
校長  式の中で、そんな生徒が目立つようでは困ります。また、放置しておけば、他の生徒にも広がっていくかもしれません。今後とも、強力に指導してください。
教師  どう指導したらいいのでしょうか。

校長  それは、学習指導要領などを手引きとして、自分たちで考えることです。では、しっかりやってください。
 第5場
 ナレーター 次の日、卒業式の練習の時間です。
教師  これから、卒業式での国歌斉唱の練習を始める。この前は、Aの意見だけ聞いたので、今日は他の生徒の意見も聞いてみることにする。Bは大きな声で歌っているが、どうだ。
生徒B 日本人なら、国の繁栄を願う歌を歌うのは当然だと思います。

教師  Cはどうだ。

生徒C みんながんばって歌ってるんだから、卒業式をいいものにするためにAさんも歌ってほしいです。
教師  Dはどうだ。

生徒D こんなことに時間を使わずに、早く歌の練習を始めた方がいいと思います。

教師  そういう意見も多いようだから、練習に入ることにする。A、みんなの意見がわかったか。よく考えておくように。ではみんな、大きな声で。はい。
全員  きみがぁよぉは~
 第6場
 ナレーター 練習が終わって、休憩時間です。
生徒E 今日の卒業式練習、ひどいんちゃう。あれって、「いじめ」やん。
生徒F うち、今まで「日の丸」や「君が代」のことあんまり考えたことなかってんけど、これから歌えへんことにするわ。やり方汚いもん。
生徒G 「子どもの権利条約」って知ってる?あんなひどいやり方させへんようにちょっと勉強してみいひん?
生徒A 感激やわ。みんながそう言ってくれて、めっちゃ嬉しい。うち、もうちょっとがんばってみるわ~。
 ナレーター さて、この続きはどうなるのでしょうか。この「君が代」「指導」、この生徒たちにとってはたいそう教育効果があったのかもしれませんね。
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