◆ 自公政権のマッチ・ポンプ (東京新聞【本音のコラム】)
教員免許更新制(更新制)は一九九〇年代に自民党の中で「問題教員」排除の方策として主張され始め、二〇〇〇年十二月に森喜朗内閣の教育改革国民会議が提言した。当時僕は教員免許制度担当の課長だったが、文科省はこぞって反対し、中央教育審議会(中教審)は〇二年二月に導入を見送る答申をした。
しかし自民党の熱は冷めず、〇四年十月当時の中山成彬文科相が再び中教審に諮問。〇六年七月中教審は教員の資質能力の刷新(リニューアル)のため更新制が必要だと答申した。〇七年一月安倍晋三内閣の教育再生会議は、更新制で不適格教員への厳しい対応を求める提言をした。
〇七年六月に法改正が行われ、〇九年度から更新制が始まったが、現場教師たちからは不評だった。
うっかりミスによる失効も続発した。
〇九年九月に成立した民主党政権も廃止せず、失望が広がった。
教師の負担感は高まり、教員の人材不足が全国で起きた。
ところが今国会、自公政権が更新制廃止法案を出した。会期末までに成立するだろう。火をつけた本人が火を消す。これを「マッチ・ポンプ」と言う。
施行日は七月一日。参院選に合わせたのだ。
教師たちは「自民党、公明党、ありがとう」などと思ってはいけない。そもそもこんな馬鹿な制度を作った張本人なのだから。(現代教育行政研究会代表)
『東京新聞』(2022年4月24日【本音のコラム】)
前川喜平(まえかわきへい・現代教育行政研究会代表)
教員免許更新制(更新制)は一九九〇年代に自民党の中で「問題教員」排除の方策として主張され始め、二〇〇〇年十二月に森喜朗内閣の教育改革国民会議が提言した。当時僕は教員免許制度担当の課長だったが、文科省はこぞって反対し、中央教育審議会(中教審)は〇二年二月に導入を見送る答申をした。
しかし自民党の熱は冷めず、〇四年十月当時の中山成彬文科相が再び中教審に諮問。〇六年七月中教審は教員の資質能力の刷新(リニューアル)のため更新制が必要だと答申した。〇七年一月安倍晋三内閣の教育再生会議は、更新制で不適格教員への厳しい対応を求める提言をした。
〇七年六月に法改正が行われ、〇九年度から更新制が始まったが、現場教師たちからは不評だった。
うっかりミスによる失効も続発した。
〇九年九月に成立した民主党政権も廃止せず、失望が広がった。
教師の負担感は高まり、教員の人材不足が全国で起きた。
ところが今国会、自公政権が更新制廃止法案を出した。会期末までに成立するだろう。火をつけた本人が火を消す。これを「マッチ・ポンプ」と言う。
施行日は七月一日。参院選に合わせたのだ。
教師たちは「自民党、公明党、ありがとう」などと思ってはいけない。そもそもこんな馬鹿な制度を作った張本人なのだから。(現代教育行政研究会代表)
『東京新聞』(2022年4月24日【本音のコラム】)
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