★『夜明け前の独り言 水口洋介』に判決文の分析があります。
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1 卒業式・入学式等における国歌斉唱時の起立・斉唱・伴奏(以下「起立等」)を命じる職務命令に対し、これと矛盾衝突する思想・良心を有するがゆえに従うことができなかった都立高校の教職員137名(以下「原告ら」)が、東京都教育委員会(以下「都教委」)より「服務事故再発防止研修」の受講を強制された事件について、本日、東京地方裁判所民事第19部(中西茂裁判長)は、原告らの請求を棄却した。
2 本件は、都教委が2003年10月23日付けで全都立学校の校長らに、卒業式・入学式等における国歌斉唱時に、教職員らが指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう徹底させることを命じる通達(10.23通達)を発して以降、教育現場に「日の丸・君が代」を強制するための施策を次々と進める中で起きた事件である。
都教委は、10.23通達に基づき校長から発出された職務命令に反して起立等をしなかった教職員を懲戒処分に処しただけに留まらず、自己の思想・良心ゆえに起立等をできないと訴える原告らに、元来セクハラ等の不祥事の再発防止を目的として設けられた「服務事故再発防止研修実施要綱」を殊更に適用し、不起立等の原因となった個々人の思想・良心を改変させるべく再発防止研修を強制的に受講させた。原告らは、特に多様な意見の尊重が要求される教育現場において、個々人の思想・良心を権力的に改変しようとする暴挙を座視することはできないとの思いから本件提訴に至ったものである。
3 判決は、原告らが、10.23通達とこれに基づく校長の職務命令自体の違憲・違法について、後続の懲戒処分の取消訴訟において判断を求めるべく、本訴訟において直接の判断を求めなかったことから、当該職務命令を一応有効としたうえで原告らの請求を棄却した。かかる判決は、権力的な手法による個人への思想的働きかけの危険性を軽視し、現実に原告らの被った恐怖心・屈辱感等の精神的苦痛に思いを致さないものであるとの批判を免れない。
しかしながら、本判決が、原告らの有する「教師としての思い、良心から、国旗に向かって起立し、国歌斉唱できないという信念」が「思想及び良心の自由あるいは信教の自由として保障されることは明らかである」としたうえで、本件再発防止研修において「非行」とされた不起立等の職務命令違反が「原告らの信条と密接に関連する行為」であることを認め、原告らに対して本件実施要綱を適用することが差し控えられるべきであったとの原告らの主張に理解を示していることには強く留意されるべきである。また、再発防止研修が「原告らに対して思想、良心、信仰の表白を求めたり、思想、良心、信仰の禁止、変更を迫るもの」であれば「憲法に反することは明らかであり、国家賠償法上違法であることも当然である」との警告を示していることにも留意されなければならない。都教委は、かかる司法の開陳する懸念に真摯に耳を傾け、7月23日に実施が予定されている再発防止研修について研修命令を直ちに撤回すべきである。
4 原告らは、生徒、教職員一人一人の思想・良心の自由を護り、学校に自由を取り戻すため、一層の努力を続ける所存である。今後とも皆様のご支援をぜひともいただきたく、あらためて広く呼びかける次第である。
2007年(平成19年)7月19日
再発防止研修国家賠償請求訴訟原告団・弁護団
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声 明
1 卒業式・入学式等における国歌斉唱時の起立・斉唱・伴奏(以下「起立等」)を命じる職務命令に対し、これと矛盾衝突する思想・良心を有するがゆえに従うことができなかった都立高校の教職員137名(以下「原告ら」)が、東京都教育委員会(以下「都教委」)より「服務事故再発防止研修」の受講を強制された事件について、本日、東京地方裁判所民事第19部(中西茂裁判長)は、原告らの請求を棄却した。
2 本件は、都教委が2003年10月23日付けで全都立学校の校長らに、卒業式・入学式等における国歌斉唱時に、教職員らが指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう徹底させることを命じる通達(10.23通達)を発して以降、教育現場に「日の丸・君が代」を強制するための施策を次々と進める中で起きた事件である。
都教委は、10.23通達に基づき校長から発出された職務命令に反して起立等をしなかった教職員を懲戒処分に処しただけに留まらず、自己の思想・良心ゆえに起立等をできないと訴える原告らに、元来セクハラ等の不祥事の再発防止を目的として設けられた「服務事故再発防止研修実施要綱」を殊更に適用し、不起立等の原因となった個々人の思想・良心を改変させるべく再発防止研修を強制的に受講させた。原告らは、特に多様な意見の尊重が要求される教育現場において、個々人の思想・良心を権力的に改変しようとする暴挙を座視することはできないとの思いから本件提訴に至ったものである。
3 判決は、原告らが、10.23通達とこれに基づく校長の職務命令自体の違憲・違法について、後続の懲戒処分の取消訴訟において判断を求めるべく、本訴訟において直接の判断を求めなかったことから、当該職務命令を一応有効としたうえで原告らの請求を棄却した。かかる判決は、権力的な手法による個人への思想的働きかけの危険性を軽視し、現実に原告らの被った恐怖心・屈辱感等の精神的苦痛に思いを致さないものであるとの批判を免れない。
しかしながら、本判決が、原告らの有する「教師としての思い、良心から、国旗に向かって起立し、国歌斉唱できないという信念」が「思想及び良心の自由あるいは信教の自由として保障されることは明らかである」としたうえで、本件再発防止研修において「非行」とされた不起立等の職務命令違反が「原告らの信条と密接に関連する行為」であることを認め、原告らに対して本件実施要綱を適用することが差し控えられるべきであったとの原告らの主張に理解を示していることには強く留意されるべきである。また、再発防止研修が「原告らに対して思想、良心、信仰の表白を求めたり、思想、良心、信仰の禁止、変更を迫るもの」であれば「憲法に反することは明らかであり、国家賠償法上違法であることも当然である」との警告を示していることにも留意されなければならない。都教委は、かかる司法の開陳する懸念に真摯に耳を傾け、7月23日に実施が予定されている再発防止研修について研修命令を直ちに撤回すべきである。
4 原告らは、生徒、教職員一人一人の思想・良心の自由を護り、学校に自由を取り戻すため、一層の努力を続ける所存である。今後とも皆様のご支援をぜひともいただきたく、あらためて広く呼びかける次第である。
2007年(平成19年)7月19日
再発防止研修国家賠償請求訴訟原告団・弁護団
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