~有識者会議中間報告書(たたき台)を受けて
☆ 技能実習制度「廃止」を支持し、「看板のかけかえ」とならないことを求める
2023年4月17日
外国人技能実習生問題弁護士連絡会
共同代表 指宿 昭一
共同代表 小野寺 信勝
共同代表 大坂 恭子
事務局長 髙井 信也
政府は、2022年11月、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」)を設置し、2023年4月10日、中間報告書(たたき台)(以下、「報告書案」)が公表されました。
報告書案「概要」によると、「検討の大きな方向性」を「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべき」とされています。
当連絡会は、2008年に設立して以来、研修生、技能実習生をめぐる様々な問題に取り組み続けてきており、技能実習生が直面する、強制貯金や旅券の取りあげ、劣悪な住環境、最低賃金法違反、労災、強制帰国、不当解雇、セクハラ、暴力といった多くの過酷な人権侵害事例から、また、多くの技能実習生が来日前に借金を作り、その返済のために働かざるを得ない状況にあることから、当連絡会は、技能実習制度の廃止を求めてきました。
報告書案が技能実習制度の廃止に直接言及したことは、当連絡会が広く市民社会と連携して長年にわたり主張してきたことが認められたものといえ、報告書案の大きな方向性は高く評価できるものです。
そして、今後の労働者受入れ制度を議論する上でも重要な一歩といえます。
ところで、報告書案の「検討の方向性」においては、技能実習廃止後の新しい制度においても、労働者に転籍制限を設け、監理団体を関与させる団体監理型を維持するような記載があることからして、技能実習制度と同様の人権侵害が再び起きる懸念があります。
当連絡会は、改めて速やかな技能実習制度廃止を求めることにあわせて、報告書案が掲げる技能実習制度の廃止が名ばかりの「看板かけかえ」とならないよう、真に、来日する労働者の権利保障にかなった受入れ制度の構築に向けて更なる議論を求めるものです。
以上
『レイバーネット日本』(2023-04-17)
http://www.labornetjp.org/news/2023/1681722603398staff01
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