◇ 家庭科教育研究者連盟アピール
私達は維新の会大阪市議団が、白紙撤回した「家庭教育支援条例案」にある小中高の「家庭科副読本」作成に強く反対の意思を表明します。
維新の会大阪市議団の「家庭教育支援条例案」(以下「条例案」と略)は多くの市民や市民団体からの「条例案」提出中止を求める声に5月7日、白紙撤回しました。しかし、再び「条例案」を提出しないとは言っていません。
特に私達は「条例案」にある「家庭科副読本作成」に強い危惧を感じ、副読本作成の問題点について広くアピールし、同時に維新の会が「家庭教育支援条例」を再提出することがないよう取り組みを強めて行きたいと思います。
白紙撤回された「条例案」の第12条に「小学校から高等学校まで、発達段階に応じて、次に掲げる事項を基本とした家庭科副読本(中略)を作成し活用する」とし「(1)家族、家庭、愛着形成の重要性 (2)父性的関わり、母性的関わりの重要性 (3)結婚、子育ての意義」があげられています。これを私達は見過ごすことはできません。
家族や家庭のありかた、子育てや結婚の意義は本来、行政で決めることではありません。ましてやそれを学校教育である家庭科教育で教える(押し付ける)ことではありません。
男女ともに家庭科を学ぶ今日では、小中高の学習指導要領にも「父性や母性」をはじめ、「条例案」にある内容は一切、設定されていません。
1998年の「厚生白書」にあるよう子育てや家事等の家庭の運営に関して、国の方向性も男性と女性の役割が違うという性別役割分業観の立場にたっていません。
例えば育児に関しても「たいていの育児は父親(男性)によっても遂行可能である。(中略)欧米の研究でも、母子関係のみの強調は見直され、父親やその他の育児者などの役割にも目が向けられている。三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」(「平成10年版 厚生白書―少子社会を考えるー」 p84)と示唆されています。
同白書では出生率を回復するには「個人の自立を基本にした『多様性と連帯の社会』をつくること」と性別役割分担意識の強調ではなく、個の自立が前面に出されています。これは現在の家庭科学習指導要領にもあてはまる内容です。
ところが「条例案」に盛り込まれた小中高家庭科副読本は、すでに国民にも支持されなくなった性別役割分担意識を前提にした内容で、子育てを含む家族や家庭の役割を規定しようとしています。小中高校生たちの家族、家庭の実態とも大きくかけ離れた内容です。
厚生労働省「国民生活基礎調査」(2011年)によると一人親と未婚の子のみの世帯の割合は年々増え続け6.5%です。一方、夫婦と未婚の子のみの世帯は年々減る一方で、30.7%です。この数値を、小中高校生に当てはめるなら、シングルの家庭はおよそ18%、5~6人の子どものうち1人はシングルの家庭で育っていることになります。このような現状を無視し、「家族、家庭、愛着形成の重要性、父性、母性、結婚、子育ての意義」を盛り込み、押し付けようとする小中高家庭科副読本で、子どもたちは将来への夢や自尊心を育むことができるのでしょうか。
私達は維新の会大阪市議団に「家庭教育支援条例」再提出に強く反対し、家庭科副読本の作成を行わないことを求めます。
私達は維新の会大阪市議団が、白紙撤回した「家庭教育支援条例案」にある小中高の「家庭科副読本」作成に強く反対の意思を表明します。
維新の会大阪市議団の「家庭教育支援条例案」(以下「条例案」と略)は多くの市民や市民団体からの「条例案」提出中止を求める声に5月7日、白紙撤回しました。しかし、再び「条例案」を提出しないとは言っていません。
特に私達は「条例案」にある「家庭科副読本作成」に強い危惧を感じ、副読本作成の問題点について広くアピールし、同時に維新の会が「家庭教育支援条例」を再提出することがないよう取り組みを強めて行きたいと思います。
白紙撤回された「条例案」の第12条に「小学校から高等学校まで、発達段階に応じて、次に掲げる事項を基本とした家庭科副読本(中略)を作成し活用する」とし「(1)家族、家庭、愛着形成の重要性 (2)父性的関わり、母性的関わりの重要性 (3)結婚、子育ての意義」があげられています。これを私達は見過ごすことはできません。
家族や家庭のありかた、子育てや結婚の意義は本来、行政で決めることではありません。ましてやそれを学校教育である家庭科教育で教える(押し付ける)ことではありません。
男女ともに家庭科を学ぶ今日では、小中高の学習指導要領にも「父性や母性」をはじめ、「条例案」にある内容は一切、設定されていません。
1998年の「厚生白書」にあるよう子育てや家事等の家庭の運営に関して、国の方向性も男性と女性の役割が違うという性別役割分業観の立場にたっていません。
例えば育児に関しても「たいていの育児は父親(男性)によっても遂行可能である。(中略)欧米の研究でも、母子関係のみの強調は見直され、父親やその他の育児者などの役割にも目が向けられている。三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」(「平成10年版 厚生白書―少子社会を考えるー」 p84)と示唆されています。
同白書では出生率を回復するには「個人の自立を基本にした『多様性と連帯の社会』をつくること」と性別役割分担意識の強調ではなく、個の自立が前面に出されています。これは現在の家庭科学習指導要領にもあてはまる内容です。
ところが「条例案」に盛り込まれた小中高家庭科副読本は、すでに国民にも支持されなくなった性別役割分担意識を前提にした内容で、子育てを含む家族や家庭の役割を規定しようとしています。小中高校生たちの家族、家庭の実態とも大きくかけ離れた内容です。
厚生労働省「国民生活基礎調査」(2011年)によると一人親と未婚の子のみの世帯の割合は年々増え続け6.5%です。一方、夫婦と未婚の子のみの世帯は年々減る一方で、30.7%です。この数値を、小中高校生に当てはめるなら、シングルの家庭はおよそ18%、5~6人の子どものうち1人はシングルの家庭で育っていることになります。このような現状を無視し、「家族、家庭、愛着形成の重要性、父性、母性、結婚、子育ての意義」を盛り込み、押し付けようとする小中高家庭科副読本で、子どもたちは将来への夢や自尊心を育むことができるのでしょうか。
私達は維新の会大阪市議団に「家庭教育支援条例」再提出に強く反対し、家庭科副読本の作成を行わないことを求めます。
2012年5月 家庭科教育研究者連盟(会長 齊藤弘子)
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