● 不採用撤回裁判第11回口頭弁論・証人尋問 ●
日時:3月1日(木)13:10~
場所:東京地裁710号法廷(東京メトロ「霞ヶ関」駅A1出口)
原告四人の証人尋問です。
報告集会:弁護士会館1006AB
● 嘱託不採用裁判(1月31日)報告 ●
第10回期日 証人尋問・本人尋問 2007.2
選考の杜撰さが浮き彫りに
1月31日、「嘱託不採用撤回」裁判(中西裁判長)が地裁722号法廷で午後1時10分から5時まで開かれました。
今回は、05年度、不採用とした直接の責任者である松堂人事部選考課長(当時)、都教委の命じるとおりに周年式典、卒・入学式を行った須藤深沢高校長(当時)の2名を証人として尋問しました。
そして原告13名の中からK(退職時深沢高校)が本人尋問に立ちました。
原告弁護団の鋭く的確な追及により都側の選考の曖昧さ、杜撰さが明確になりました。
生活に大きな影響を与えまた、教育の場から引き離されたという原告にとっての重大な問題が、あまりにも安直に、しかし”逆らう者は許さない”という恐ろしい執念のようなものを感じさせる一面も明らかになりました。
そして原告尋問では管理職の不当性と教育に携わる立場の真摯な態度が充分伝わる内容となりました。
報告集会では澤藤弁護士から「今日の反対尋問は模範的で最高でした」と絶賛されました。
水曜日にもかかわらず、傍聴席は満員で中に入れなかった方も10名以上もいたということでした。
都側の関係者が来るのではと予想していましたが、まったく姿がありませんでした。
入れなかった方へのご案内が行き届かず申し訳ありませんでした。
なお、今年も都教委は9名の方を嘱託不採用にしたということがわかっています。
9.21判決で処分等の違憲・違法性が明らかにされているにもかかわらず、その不当な決定は許せません。
私たちは、都教委と都労連に不採用者を出さないように要請してきましたが、まったく耳を貸さない都教委は本当に許せません。
《証人尋問》
① 松堂人事部選考課長 ◆反対尋問:穂積弁護士、秋山弁護士
再雇用制度の制度、趣旨、手続き、選考責任等を問題にするなかで、都教委(人事部選考課)の杜撰さが明らかにしていきました。
松堂証人は裁判長にも注意されるほど小さな声で証言を始め、終始、「申込書、校長推薦書、面接の3点を綜合し、一定の基準に基づいて判定する」ということを繰り返しました。
そして「処分を受けたから不合格にしたのではない。学習指導要領に基づく教育課程に基づいて起立するようにという校長の命令に従わなかったことで不合格にした」と言い切りました。
しかも、663人もの中からわずか10名を不採用としたにもかかわらず、該当者の「成績」について「C」評価があったかどうかまったく把握(記憶)していないこと、また、3年前に不起立だったがその後、3回も起立した原告のケ一スについても「特に検討はしていない」と悪びれる様子もみせず、これには傍聴席からも怒りやあきれたような声がもれました。
"10年以上前の「日の丸掲揚妨害」として処分された人"、"02年に戒告処分を受けた校長"、"争議行為による停職2回受けた人"がいずれも再雇用合格とされたケースとの比較検討について問われても、「過去のケースについては検討していない」「運用は決めていない」とこたえ、「一定の基準」がまったく恣意的、すなわち制裁でしかないこと、前年度の「被解雇」のケースをただただ踏襲したという"いい加減さ"(合理的説明をできないこと)を示しました。
秋山弁護士のまとめより:
◇一回の「君が代」不起立だけで直ちに「重大な非違行為」「勤務成績不良」とすることの不当性、従前の運用と均衡を失することが浮き彫りになった。
◇都教委が憲法上の人権について真剣な検討をすることなく、漫然と、前年の合格取消し(解雇)を前例として原告らの合格を拒否したことが浮き彫りとなった。選考課が不起立者を校長に漏れな<報告させたらしいことも判明した。
◇合格拒否の判断の正当性について合理的説明を何らなし得ない証人の態度は裁判所にも不真面目と写ったはず。
② 須藤勝 元深沢高校校長 ◆反対尋問:水口弁護士
報告集会で水口弁護士が「須藤証人は許せない。卒業式のあり方を一教諭と一部の生徒で決めているというようなことをよく書けるものだ。校長のひどさを浮き彫りにしたかった」と熱く語っていました。
職員会議で決定しているものを”名指し”して「一教諭」が決定としたり、180名の卒業生のうち40名も卒対委員会に参加して作った卒業式を「一部」とねじ曲げたりと、本当に証人の一言一言は怒りなくしては聞けないものでした。
「10.23通達は校長への職務命令。そしてそれはとりもなおさず学校への(=教職員への)職務命令だ」と断言したり、02年度の卒業式で「内心の自由の説明」を校長がしたことについては「しつこく言われたからか」と聞かれ「そうだ」と答えるなど、正直といえば正直。でも、この程度の管理職がいることに今さらながら怒りを覚えます。
しかし、都教委が言う「職務命令は校長の判断で出している」というものどは全く異なっていることを改めて示しました。
03年度から導入された「主幹制度」を「02年度に始まり、主幹にその年卒業式の原案を作らぜた」という陳述書の内容のいい加減さと、それを「訂正はあるか?」と聞かれて「ない」と答え、水口弁護士から指摘されるまで(都側代理人も)気づかないというお粗末さ。
フロアー方式の卒業式を要望する10名もの保護者のアンケート回答については全く触れずに、ごく一部の保護者の声を大きく取り上げるなど不誠実さが誰の日にも露わになりました。
秋山弁護士のまとめより:
◇卒業対策委員会の生徒らの活動を「一部の生徒による活動」と切り捨てたり,卒業生の答辞を「仲間内の話題に終始ししらける」と批判する保護者の声のみを陳述書に記載する証人の教育者にふさわしくない傲慢な態度が良<現れた。
◇フロア形式で行うと都教委に呼び出して指示される、通達は全て職務命令だ、校長が職務命令を都教委から受けたということは、その学校の全教員が職務命令を受けたのと同じだ、職務命令を出すように指示されていると職員会議で発言した等、校長が都教委の通達や指導をどう受け止めているかが良く現れた。
③ 原告 K(退職時深沢高校) ◇主尋問:川口弁護士
当初3月の予定でしたが、湯淺元校長の体調がすぐれないということで今回となったKさんの、誠実な人柄が表れた尋問になりました。
「日の丸・君が代」強制の動きに「戦前に戻ったようだ」ということを朝日歌壇の「小学校の教員がもっとも多かったナチ党員のこと知るは悲しき」を紹介して訴えました。(ま)
秋山弁護士のまとめより:
◇深沢高校の10.23通達以前の卒業式の状況が,須藤証人の証言とは異なったあたたかいものであることが浮かび上がった。
◇司書としての日常の生徒との関わり方が具体的に語られた。
◇反対尋問では,国旗・国歌へ敬意を表することが国際儀礼の問題として大事ではないかという趣旨の質問があった。
◇補充尋問では,左陪席より,現在の収入について質問があった。中西裁判長より,「何歳まで勤められると思っていたか」「嘱託についての説明書のようなものは配られたか」「嘱託の説明会では不合格者も出ますよという説明はあったか」「行政職で再雇用を希望する人は多いのか」という質問があった。再雇用されることに対する期待の程度を確認したものと思われる。
《次回以降の進行》
①3月1日(木)13時10分~17時 710号法廷
K/平松弁護士 I/石井弁護士 S/金弁護士 H/川口弁護士
*尋問時間はいずれも原告側35分 被告(都)側10分
②4月12日(木)13時10分~17時 710号法廷
T/澤藤弁護士 M/新村弁護士 A/白井弁護士
*いずれも原告側35分 被告(都)側10分
湯淺校長(元足立西高校)*被告側20分 原告(新村弁護士+澤藤弁護士)40分
◆湯浅校長が病気のためダメな場合〔3月1日の期日に裁判所が採否を決定〕
→S証人(水口弁護士+川口弁護士)(深沢高校在籍時の卒業対策委員会担当教員)
*都側は今年も不当なことに9名の不採用者を出しました。裁判長に対し、3次訴訟を起こした場合に併合は可能かを尋ねたところ、既に尋問段階に入っていることだし…と否定的なニュアンスでした。
日時:3月1日(木)13:10~
場所:東京地裁710号法廷(東京メトロ「霞ヶ関」駅A1出口)
原告四人の証人尋問です。
報告集会:弁護士会館1006AB
● 嘱託不採用裁判(1月31日)報告 ●
第10回期日 証人尋問・本人尋問 2007.2
選考の杜撰さが浮き彫りに
1月31日、「嘱託不採用撤回」裁判(中西裁判長)が地裁722号法廷で午後1時10分から5時まで開かれました。
今回は、05年度、不採用とした直接の責任者である松堂人事部選考課長(当時)、都教委の命じるとおりに周年式典、卒・入学式を行った須藤深沢高校長(当時)の2名を証人として尋問しました。
そして原告13名の中からK(退職時深沢高校)が本人尋問に立ちました。
原告弁護団の鋭く的確な追及により都側の選考の曖昧さ、杜撰さが明確になりました。
生活に大きな影響を与えまた、教育の場から引き離されたという原告にとっての重大な問題が、あまりにも安直に、しかし”逆らう者は許さない”という恐ろしい執念のようなものを感じさせる一面も明らかになりました。
そして原告尋問では管理職の不当性と教育に携わる立場の真摯な態度が充分伝わる内容となりました。
報告集会では澤藤弁護士から「今日の反対尋問は模範的で最高でした」と絶賛されました。
水曜日にもかかわらず、傍聴席は満員で中に入れなかった方も10名以上もいたということでした。
都側の関係者が来るのではと予想していましたが、まったく姿がありませんでした。
入れなかった方へのご案内が行き届かず申し訳ありませんでした。
なお、今年も都教委は9名の方を嘱託不採用にしたということがわかっています。
9.21判決で処分等の違憲・違法性が明らかにされているにもかかわらず、その不当な決定は許せません。
私たちは、都教委と都労連に不採用者を出さないように要請してきましたが、まったく耳を貸さない都教委は本当に許せません。
《証人尋問》
① 松堂人事部選考課長 ◆反対尋問:穂積弁護士、秋山弁護士
再雇用制度の制度、趣旨、手続き、選考責任等を問題にするなかで、都教委(人事部選考課)の杜撰さが明らかにしていきました。
松堂証人は裁判長にも注意されるほど小さな声で証言を始め、終始、「申込書、校長推薦書、面接の3点を綜合し、一定の基準に基づいて判定する」ということを繰り返しました。
そして「処分を受けたから不合格にしたのではない。学習指導要領に基づく教育課程に基づいて起立するようにという校長の命令に従わなかったことで不合格にした」と言い切りました。
しかも、663人もの中からわずか10名を不採用としたにもかかわらず、該当者の「成績」について「C」評価があったかどうかまったく把握(記憶)していないこと、また、3年前に不起立だったがその後、3回も起立した原告のケ一スについても「特に検討はしていない」と悪びれる様子もみせず、これには傍聴席からも怒りやあきれたような声がもれました。
"10年以上前の「日の丸掲揚妨害」として処分された人"、"02年に戒告処分を受けた校長"、"争議行為による停職2回受けた人"がいずれも再雇用合格とされたケースとの比較検討について問われても、「過去のケースについては検討していない」「運用は決めていない」とこたえ、「一定の基準」がまったく恣意的、すなわち制裁でしかないこと、前年度の「被解雇」のケースをただただ踏襲したという"いい加減さ"(合理的説明をできないこと)を示しました。
秋山弁護士のまとめより:
◇一回の「君が代」不起立だけで直ちに「重大な非違行為」「勤務成績不良」とすることの不当性、従前の運用と均衡を失することが浮き彫りになった。
◇都教委が憲法上の人権について真剣な検討をすることなく、漫然と、前年の合格取消し(解雇)を前例として原告らの合格を拒否したことが浮き彫りとなった。選考課が不起立者を校長に漏れな<報告させたらしいことも判明した。
◇合格拒否の判断の正当性について合理的説明を何らなし得ない証人の態度は裁判所にも不真面目と写ったはず。
② 須藤勝 元深沢高校校長 ◆反対尋問:水口弁護士
報告集会で水口弁護士が「須藤証人は許せない。卒業式のあり方を一教諭と一部の生徒で決めているというようなことをよく書けるものだ。校長のひどさを浮き彫りにしたかった」と熱く語っていました。
職員会議で決定しているものを”名指し”して「一教諭」が決定としたり、180名の卒業生のうち40名も卒対委員会に参加して作った卒業式を「一部」とねじ曲げたりと、本当に証人の一言一言は怒りなくしては聞けないものでした。
「10.23通達は校長への職務命令。そしてそれはとりもなおさず学校への(=教職員への)職務命令だ」と断言したり、02年度の卒業式で「内心の自由の説明」を校長がしたことについては「しつこく言われたからか」と聞かれ「そうだ」と答えるなど、正直といえば正直。でも、この程度の管理職がいることに今さらながら怒りを覚えます。
しかし、都教委が言う「職務命令は校長の判断で出している」というものどは全く異なっていることを改めて示しました。
03年度から導入された「主幹制度」を「02年度に始まり、主幹にその年卒業式の原案を作らぜた」という陳述書の内容のいい加減さと、それを「訂正はあるか?」と聞かれて「ない」と答え、水口弁護士から指摘されるまで(都側代理人も)気づかないというお粗末さ。
フロアー方式の卒業式を要望する10名もの保護者のアンケート回答については全く触れずに、ごく一部の保護者の声を大きく取り上げるなど不誠実さが誰の日にも露わになりました。
秋山弁護士のまとめより:
◇卒業対策委員会の生徒らの活動を「一部の生徒による活動」と切り捨てたり,卒業生の答辞を「仲間内の話題に終始ししらける」と批判する保護者の声のみを陳述書に記載する証人の教育者にふさわしくない傲慢な態度が良<現れた。
◇フロア形式で行うと都教委に呼び出して指示される、通達は全て職務命令だ、校長が職務命令を都教委から受けたということは、その学校の全教員が職務命令を受けたのと同じだ、職務命令を出すように指示されていると職員会議で発言した等、校長が都教委の通達や指導をどう受け止めているかが良く現れた。
③ 原告 K(退職時深沢高校) ◇主尋問:川口弁護士
当初3月の予定でしたが、湯淺元校長の体調がすぐれないということで今回となったKさんの、誠実な人柄が表れた尋問になりました。
「日の丸・君が代」強制の動きに「戦前に戻ったようだ」ということを朝日歌壇の「小学校の教員がもっとも多かったナチ党員のこと知るは悲しき」を紹介して訴えました。(ま)
秋山弁護士のまとめより:
◇深沢高校の10.23通達以前の卒業式の状況が,須藤証人の証言とは異なったあたたかいものであることが浮かび上がった。
◇司書としての日常の生徒との関わり方が具体的に語られた。
◇反対尋問では,国旗・国歌へ敬意を表することが国際儀礼の問題として大事ではないかという趣旨の質問があった。
◇補充尋問では,左陪席より,現在の収入について質問があった。中西裁判長より,「何歳まで勤められると思っていたか」「嘱託についての説明書のようなものは配られたか」「嘱託の説明会では不合格者も出ますよという説明はあったか」「行政職で再雇用を希望する人は多いのか」という質問があった。再雇用されることに対する期待の程度を確認したものと思われる。
《次回以降の進行》
①3月1日(木)13時10分~17時 710号法廷
K/平松弁護士 I/石井弁護士 S/金弁護士 H/川口弁護士
*尋問時間はいずれも原告側35分 被告(都)側10分
②4月12日(木)13時10分~17時 710号法廷
T/澤藤弁護士 M/新村弁護士 A/白井弁護士
*いずれも原告側35分 被告(都)側10分
湯淺校長(元足立西高校)*被告側20分 原告(新村弁護士+澤藤弁護士)40分
◆湯浅校長が病気のためダメな場合〔3月1日の期日に裁判所が採否を決定〕
→S証人(水口弁護士+川口弁護士)(深沢高校在籍時の卒業対策委員会担当教員)
*都側は今年も不当なことに9名の不採用者を出しました。裁判長に対し、3次訴訟を起こした場合に併合は可能かを尋ねたところ、既に尋問段階に入っていることだし…と否定的なニュアンスでした。
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