《国際人権活動ニュースから》
◆ 「刑事訴訟法改定案」継続審議に!
9月25日、参議院法務委員会は、刑事訴訟法等一部改定案を継続審議とした。今年3月に国会提出されたときは、日弁連も賛成しており、対決法案ではないと宣伝されて、すぐにでも成立するのではないかという恐れもあったが、長丁場の国会を乗り切り、ついに継続審議にまで持ち込んだ。
えん罪被害者の桜井さん(布川事件)たちがこぞって法案に反対し、その支援者たちが中心になって毎月、院内外で集会を開き、そこに各党の国会議員が参加し、超党派の運動が広がった(国際人権活動日本委員会の人たちにも毎回参加いただいた)ことが大きい。
この集会に参加した法務委員会の委員たちが、委員会審議で大変鋭い質問を連発し、法案の問題点力軟々と明らかになった。法案作りをした法制審議会よりも審議が深まったことは間違いない。
何しろ、法案の中身がひどかった。
「可視化義務化」法案などといわれた(日弁連は未だにそう称している)が、供述が得られそうになければ取調べを録音録画しなくていいなどという抜け道があるのに、どうして「義務化」といえるのか。
盗聴の対象を一般犯罪にまで大幅に拡大して、どうして組織犯罪対策に限定といえるのか。
立会人もなくし、秘密保護法、戦争法、共謀罪と結びつけば、警察のやりたい放題の監視社会に道を開く。密告を合法化する司法取引は、裏取引も野放しになり、えん罪を増やす。
こんな内容を知れば知るほど、法務委員たちが真剣に追及したのは当然といえぱ当然であろう。
政府は限定的に運用すると答弁するが、戦争法と同じで、法律的には何の歯止めにもならない。衆議院法務委員会の野党委員たちは、日弁連の賛成を気にしないで、結束してよく頑張った。
ところが、土壇場で、微々たる与野党共同修正案(共産党を除く)が提出され、採択された。民主党法務委員のレベルを超えた上からの指令があったといわれている。
衆議院で維新の党・民主党が結局賛成した以上、参議院ではすぐ終わるかと思われたが、参議院本会議での趣旨説明に対する両党の質問は実質反対討論であった。参議院は参議院という自負であろうか、衆議院で自党が賛成したことを気にもとめない質問であった。
参議院法務委員会で野党委員は、ヘイトスピーチ法案が審議中であるから他の法案審議に入れないのが慣例であるとがんばった。結局、政治的妥協で、趣旨説明には入ったが、「お経読み」のみ(趣旨説明に対する質疑はしない)で、終わらせることができた。
舞台は秋の臨時国会に移る。10月終わりから1ヶ月程度といわれる。国会開始直前に、法務委員会で何から審議するかが決められる。ヘイトスピーチ法案も継続審議となっており、まずは何から審議するかの攻防戦がある。
刑訴法案を先に審議させないためには、この法案を先に審議すれば時間がかかり、他の法案審議に影響するという状況を作る必要がある。
戦争法案の陰に隠れていたこの法案の問題点が広く知られ、マスコミも報じ(最近は「司法取引法案」とも称している)、早期成立に向けて動いている日弁連の姿勢を転換させることが重要だ。
国会審議で問題点が次々と明らかになった以上、日弁連もこれまでの姿勢を見直すときだ。いずれにしろ、臨時国会を乗り切れば、廃案の展望が出てくる。
『国際人権活動ニュース』2015年10月13日(火〉第128号
JAPANESE WORKERS’CMMITTEE FOR HUMAN RlGHTS
NGO in special consultativestatus with the Economic and Social Council of the United Nations
◆ 「刑事訴訟法改定案」継続審議に!
弁護士 小池振一郎
9月25日、参議院法務委員会は、刑事訴訟法等一部改定案を継続審議とした。今年3月に国会提出されたときは、日弁連も賛成しており、対決法案ではないと宣伝されて、すぐにでも成立するのではないかという恐れもあったが、長丁場の国会を乗り切り、ついに継続審議にまで持ち込んだ。
えん罪被害者の桜井さん(布川事件)たちがこぞって法案に反対し、その支援者たちが中心になって毎月、院内外で集会を開き、そこに各党の国会議員が参加し、超党派の運動が広がった(国際人権活動日本委員会の人たちにも毎回参加いただいた)ことが大きい。
この集会に参加した法務委員会の委員たちが、委員会審議で大変鋭い質問を連発し、法案の問題点力軟々と明らかになった。法案作りをした法制審議会よりも審議が深まったことは間違いない。
何しろ、法案の中身がひどかった。
「可視化義務化」法案などといわれた(日弁連は未だにそう称している)が、供述が得られそうになければ取調べを録音録画しなくていいなどという抜け道があるのに、どうして「義務化」といえるのか。
盗聴の対象を一般犯罪にまで大幅に拡大して、どうして組織犯罪対策に限定といえるのか。
立会人もなくし、秘密保護法、戦争法、共謀罪と結びつけば、警察のやりたい放題の監視社会に道を開く。密告を合法化する司法取引は、裏取引も野放しになり、えん罪を増やす。
こんな内容を知れば知るほど、法務委員たちが真剣に追及したのは当然といえぱ当然であろう。
政府は限定的に運用すると答弁するが、戦争法と同じで、法律的には何の歯止めにもならない。衆議院法務委員会の野党委員たちは、日弁連の賛成を気にしないで、結束してよく頑張った。
ところが、土壇場で、微々たる与野党共同修正案(共産党を除く)が提出され、採択された。民主党法務委員のレベルを超えた上からの指令があったといわれている。
衆議院で維新の党・民主党が結局賛成した以上、参議院ではすぐ終わるかと思われたが、参議院本会議での趣旨説明に対する両党の質問は実質反対討論であった。参議院は参議院という自負であろうか、衆議院で自党が賛成したことを気にもとめない質問であった。
参議院法務委員会で野党委員は、ヘイトスピーチ法案が審議中であるから他の法案審議に入れないのが慣例であるとがんばった。結局、政治的妥協で、趣旨説明には入ったが、「お経読み」のみ(趣旨説明に対する質疑はしない)で、終わらせることができた。
舞台は秋の臨時国会に移る。10月終わりから1ヶ月程度といわれる。国会開始直前に、法務委員会で何から審議するかが決められる。ヘイトスピーチ法案も継続審議となっており、まずは何から審議するかの攻防戦がある。
刑訴法案を先に審議させないためには、この法案を先に審議すれば時間がかかり、他の法案審議に影響するという状況を作る必要がある。
戦争法案の陰に隠れていたこの法案の問題点が広く知られ、マスコミも報じ(最近は「司法取引法案」とも称している)、早期成立に向けて動いている日弁連の姿勢を転換させることが重要だ。
国会審議で問題点が次々と明らかになった以上、日弁連もこれまでの姿勢を見直すときだ。いずれにしろ、臨時国会を乗り切れば、廃案の展望が出てくる。
『国際人権活動ニュース』2015年10月13日(火〉第128号
JAPANESE WORKERS’CMMITTEE FOR HUMAN RlGHTS
NGO in special consultativestatus with the Economic and Social Council of the United Nations
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