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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

2023年3月都教委要請(3)被処分者の会

2023年03月28日 | 「日の丸・君が代」強制反対

◆ 要 請 書

2023年3月27日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京「君が代」裁判原告団
事務局長 近藤 徹

東京都教育委員会教育長 浜 佳葉子 殿

<要請の趣旨>

1.卒業式・入学式等で「日の丸・君が代」を強制する東京都教育委員会(以下都教委という)の10・23通達(2003年)とそれに基づく校長の職務命令により、これまでに懲戒処分を受けた教職員は延べ484名にのぼります。この通達発出以降、東京の学校現場では「命令と服従」の構造によって自由で創造的な教育が失われています。
 今年の都立学校の卒業式では、浜佳葉子教育長名の通知及び指導部各課長連名の通知(2022年12月19日)に基づき、「君が代」斉唱は行なわないのに式次第に「国歌斉唱」と記載し「CD等」で曲を流し、教職員には職務命令で起立を強制しました。何が何でも「君が代(国歌)斉唱」だけは実施するという姿勢は、生徒のための卒業式・入学式を歪めるもので、到底都民の納得を得られるものではありません。

2.10.23通達とそれに基づく職務命令違反を理由とした処分は、起立斉唱行為が、「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認めた最高裁判決の趣旨から逸脱しており、また最高裁判決における都教委通達・職務命令を違憲として、戒告を含むすべての処分を取り消すべきとの反対意見(2012年1月宮川裁判官)を始め、都教委に対し「謙抑的な対応」を求める補足意見(2012年1月櫻井裁判官、2013年9月鬼丸裁判官)などは、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めています。
 加えて、最高裁(第一小法廷)は2019年3月、東京「君が代」裁判四次訴訟において、東京高裁判決を不服とした都教委の上告受理申立を不受理とし、特別支援学校教員の卒入学式での4回目・5回目の不起立に対する減給処分(減給10分の1・1月)を取り消しました。

3.都教委は、違法な処分を行ったことを原告らに謝罪することなく、私たちの度重なる要請を無視して、2013年12月、2015年3月~4月、2018年2月、2020年12月25日、最高裁判決・東京地裁判決で減給処分が取り消された現職の都立学校教員延べ20件・19名に新たに戒告処分を科し再処分をするという暴挙を行いました。
 私たちは、司法の判断をないがしろにする再処分の撤回を改めて求めるものです。

4.最高裁、東京高裁、東京地裁で確定した処分取消の総数は、延べ77件・66名に上ります。東京都教育委員会が、最高裁・東京地裁・東京高裁で「違法」とされた処分を行ったことは、教育行政として重大な責任が問われる行為です。私たちは、処分取消が確定した原告らに謝罪し、再発防止策を講じるよう繰り返し求めてきました。しかし、都教委は、要請に正対せず、的外れで不誠実な回答に終始しています。私たちの要請に真摯に向き合い、回答することを強く求めます。

5.卒業式・入学式の被処分者に対する「服務事故再発防止研修」は、2012年度より質量ともに強化され、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容されている範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(東京地裁民事19部決定 2004年7月23日)に反しています。
 特に、「研修」に先立って課された「受講前報告書」の内容は、①服務事故を起こすに至った状況を振り返り、その原因・理由について記述する、②服務事故を起こしたときの気持ちはどのようであったか、その時の気持ちを記述する、③起こした服務事故に対して、現在の気持ちや考えを記述する、というものです。事前課題を含む「研修」は、明らかに受講者に内心の表白を迫り、「思想改造」を企図しており、上記東京地裁決定(2004年7月)に反して「思想・良心の自由」を真っ向から踏みにじるものです。

6.私たちは、これまで「都教育庁の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること」「(要請書等を)教育委員会で配付し、慎重に検討、議論し、回答すること」を繰り返し要請してきました。しかるに都教委は、「・・・広報統計課を通じて御意見をお聞きするとともに、・・・主管課において趣旨を慎重に検討の上、・・・必要に応じて回答を行っております。今後も同様に対応してまいります。」、「既に方針が決定済みの事項であることから・・・教育委員会への報告及び教育委員会での審議は行いません。」(以上2月17日付)と「回答」しています。
 これは、広報統計課を隠れ蓑にして、処分権者である都教育委員会及び同事務局である教育庁の責任を曖昧にし、担当部署への直接の要請を拒む都民不在のシステムといわざるを得ません。
 「既に方針が決定済みの事項であることから・・・教育委員会での配布及び・・・検討、議論は行いません」と言うに至っては、教育委員会事務局に過ぎない教育庁の独断専行であり、一度決定されたら、司法による違法性の判断などその後いかに状況が変化しても、「決定済み」であるとして教育施策を変更・改善しないことになります。これは、教育委員会制度の本旨に反し、司法の判断を無視し、都民の要請に背を向け問題解決の努力を放棄するものです。
 以上の趣旨から、以下の諸点を要請します。

<要請事項>

1 4月の入学式で「国歌斉唱」を行なわないこと。

2 都教委が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」に基づく新たな懲戒処分を行わないこと。

3 「10.23通達」を撤回すること。また同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。

4 これまでの全ての再処分を撤回すること。

5 職務命令違反による懲戒処分を唯一の理由にした「再任用打ち切り」及び「再任  
用打ち切りの事前告知」を撤回すること。

6 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。

7 卒業式・入学式で処分を受けた教職員を対象とした「服務事故再発防止研修」を行わないこと。同研修対象者に受講前報告書の作成を強要しないこと。

8 都教育庁関係部署(人事部職員課、指導部指導企画課、指導部高校教育指導課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と該当者及び被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を設定すること。

9 本要請書を教育委員会で配布し、慎重に検討・審議し、回答すること。

<回答期限> 2023年4月20日(木)。


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