パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

4回目・5回目の不起立に対する減給処分取消を維持した4次訴訟控訴審判決

2018年04月19日 | 日の丸・君が代関連ニュース
◎ 東京「君が代」裁判4次訴訟控訴審判決を受けての声明

1 本日,東京高等裁判所第12民事部(杉原則彦裁判長)は,都立学校の教職員8名に対する卒業式・入学式の国歌斉唱時の起立斉唱の強制にかかわる懲戒処分(戒告処分10件,減給10分の1・1月2件)の取消しを求めていた事件について,一審原告1名に対する原審における減給10分の1・1月の処分の取消を維持して東京都の控訴を棄却し,他方で「戒告処分」については裁量権の逸脱・濫用には当たらないとした原審を維持し,一審原告ら教職員の控訴を棄却する判決を言い渡した。
2 本件は,東京都教育委員会(都教委)が,2003年10月23日に「入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」との通達(10・23通達)を発令し,全ての都立学校の校長に対し,教職員に「国旗に向かって起立し国歌を斉唱すること」を命じる職務命令を出すことを強制し,さらに,国歌の起立斉唱命令に違反した教職員に対して懲戒処分を科すことで,教職員らに対して国歌の起立斉唱の義務付けを押し進める中で起きた事件である。
 一審原告らは,自己の歴史観・人生観・宗教観等や長年の教育経験などから,国歌の起立斉唱は,国家に対して敬意を表する態度を示すことであり,教育の場で画一的に国家への敬意を表す態度を強制されることは,教育の本質に反し,許されないという思いから,校長の職務命令に従って国歌を起立斉唱することが出来なかったものである。
 このような教職員に対し,都教委は,起立斉唱命令に従わなかったことだけを理由として戒告・減給等の懲戒処分を科してきた。
 なお,このような懲戒処分は,毎年,卒業式・入学式のたびに繰り返され,10・23通達以降,本日まで,職務命令違反として懲戒処分が科された教職員は,のべ480名余にのぼる。
 この国歌の起立斉唱の強制のための懲戒処分について,2012年1月16日,最高裁判所第一小法廷は,懲戒処分のうち「戒告」は裁量権の逸脱・濫用とまではいえないものの,「減給」以上の処分は相当性がなく社会観念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を逸脱・濫用しており違法であるとの判断を示していた。
3 上記最高裁判決以降,都教委は3回目の不起立までを戒告とし4回目以降の不起立に対して減給処分とする取り扱いをしてきた。
 本判決は,4回目・5回目の不起立に対する減給処分「減給以上の処分の相当性を基礎づける具体的な事情は認められない」として取り消した原判決に対する都の控訴を棄却したものである。
 本判決は,不起立の回数が減給処分の相当性を基礎づける具体的な事情には当たらないとの判断を示したものであって,回数のみを理由とした処分の加重を否定したものである。本判決が,最高裁判決そして原判決に引き続き,都教委の過重な処分体制を厳しく戒め,その暴走に歯止めをかける判断として評価できる。
4 しかしながら,国歌の起立斉唱の強制が違憲・違法であるとの一審原告ら教職員の主張については原判決を維持しこれを認めなかった。さらに,処分が取り消された一審原告ら教職員の精神的苦痛は慰謝されるとして賠償請求を棄却した原判決を維持した。
 控訴審において一審原告らは,国歌の起立斉唱行為について「儀式的行事における儀礼的所作」であって,個人の思想及び良心の自由を直ちに制約するものではないとする一連の最高裁判決が,儀式・儀礼は宗教性と無縁ではなく,それが強制されるとき,個人の思想・良心・信仰と緊張関係を持つことを看過したものであることを論じ,さらに宗教学の研究者の証言により最高裁判決の誤りを明らかにしようと努めてきた。
 にもかかわらず,裁判所が,証人を採用することなく1回の口頭弁論で結審して,従前の最高裁判決に漫然と従った本判決に至ったことは,十分な審理を尽くさず,事案の本質を見誤ったまま判決を下したものであって,控訴審の役割を放棄したものであって到底受け容れることはできない。
5 都教委は,この司法判断を踏まえて「国旗・国歌強制システム」を見直し,教職員に下した全ての懲戒処分を撤回するとともに,将来にわたって一切の「国旗・国歌」に関する職務命令による懲戒処分及びそれを理由とした服務事故再発防止研修を直ちにやめるべきである
 特に,都教委は,先行する訴訟において処分の取消しを命じる司法判断が確定した現職の教職員に対して,再度,同一の職務命令違反の事実について懲戒処分を科してきたが,都教委がした違法な懲戒処分が取り消された事実を重く受け止め,原告らに対して重ねての懲戒処分はやめるべきである
 わたしたちは,本判決を機会に,都教委による「国旗・国歌」強制を撤廃させ,児童・生徒のために真に自由闊達で自主的な教育を取り戻すための闘いにまい進する決意であることを改めてここに宣言する。
 この判決を機会に,教育現場での「国旗・国歌」の強制に反対するわたしたちの訴えに対し,皆様のご支援をぜひともいただきたく,広く呼びかける次第である。
2018年4月18日
東京「君が代」裁判4次訴訟原告団・弁護団


コメント    この記事についてブログを書く
« アベを倒そう!(383)<4・1... | トップ | 《Change.org》財務省セクハ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日の丸・君が代関連ニュース」カテゴリの最新記事