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「授業してたのに処分」裁判第七回口頭弁論・山中弁護士陳述

2013年09月30日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  《9・26福嶋さん「授業してたのに処分」裁判・結審》から
 ◎ 都教委の見解のみが「適正」であるとして「反省」を迫ることが研修になるのか
原告訴訟代理人 弁護士 山中眞人

 本事案は,東京都教育委員会の原告に対する「(平成17年12月1日付け)減給10分の1・6月の懲戒処分」の取消しを求めるものです。
 この減給6月の懲戒処分の前提となった減給1か月の懲戒処分については、原告から都教委に対する処分取消請求訴訟において東京高裁が認容判決を出し(東京高等裁判所平成23年(行コ)第279号懲戌処分取消等請求控訴事件),最高裁判所の平成25年7月12日付上告受理申立て不受理決定によって処分取消が確定しています。
 先行する減給1か月の懲戌処分が取り消された以上,当該減給1か月の懲戒処分を前提として発令された本件再発防止研修(専門研修)の受講命令と本件の減給6か月の懲戒処分の根拠が消失したことが明らかとなりました。
 ただ、原告及び原告代理人が主張申し上げたいのは、本件においては、かような論理的帰結のみならず、事案の真相についても光を当てて頂いた上で、授業・生徒を何よりも大切に考える原告の教師としての真摯な姿勢、及び、そのように真摯に考えた上で、時間割どおりに平穏に授業をしていたにすぎない教師に対して、減給6か月という過酷な処分を強行した都教委の行為の違憲違法性についてもご判断頂きたいという点であります。
 すなわち、原告が2005年9月13日火曜日に再発防止研修(専門研修)を受講しなかった理由は、授業日程に差し支えあるために日程変更を求めたにもかかわらず、都教委が日程変更を認めなかったことから時間割りどおりの授業を行っていたというものであります。
 原告は、毎週火曜日は5時間の授業があるのに対し、毎週金曜日は授業がありませんでした。生徒のことを思うのであれば、都教委は、研修日程を金曜日に変更すれば済む話ですし、教育機関としては、生徒のためにその程度のことはすべきであります
 原告の授業重視の理由が真摯なものであることについては,原告が専門研修に先立って行われた再発防止研修(基本研修)を受講していることや、その翌年1月に改めて指定された専門研彦の日には、授業が1時間のみであったことから出席をしていること等から明らかであります。
 これに対して、都教委は、教職員を命令に従わせることのみを主眼としており、原告が授業をしていたという事実を考慮することなく、機械的に減給6か月という累積加重処分を行ったものであります。
 なお、ご理解頂きたいのは、授業を他の曜日に異動させるということは、それがわずか一時間のみであっても、生徒にとってはいつもと予定が違うというだけで多少なりとも負担になるということです。授業時間が変われば、生徒にとっては、予習復習のスケジュールなどに狂いが生じてしまうのです。
 生徒は、学校に授業を受けに来ているのであって、自習をしにきているわけではありません。生徒の学ぶ意欲に応えようとした原告と、それを考慮せずに、機械的に累積処分を下した都教委のいずれが、教育者として相応しいかはいうまでもないと思います。
 原告代理人として、最後に一点だけ法律論を述べさせていただきます。それは、本件のような事案のみならず、「服務事故再発防止研修」自体に、まだまだ多くの問題があると言うことです。
 最高裁判決も判示したように、卒業式などでの国歌斉唱時の不起立などの行為は、各人の思想・良心に基づく真摯な思いから出た行為であって、各人のそれまでの人生観や社会観に根ざしたものです。それを、都教委の見解のみが「適正」であるとして、「反省」を迫ることが研修になるのか、法的に見て、甚だ疑問であります
 さらに、2012年(平成24年)から服務事故再発防止研修のあり方が変わった点も指摘させて頂きます。初めての懲戒処分であっても研修センターに呼び出しての研修が2回、勤務校での都教委指導主事や校長による研修が10数回と格段に多くなりました。事前課題などを作成する時間も加えると総時間数は数日間の勤務時間に十分相当します。その結果、教師と生徒が向き合い、寄り添える時間が削られることになったという点は看過できないものがあります。
 もちろん、セクハラ研修など、必要な研修もあると思います。ただ、先ほど原告自身が述べたように、仮に研修が行われる場合であっても、まずは生徒・授業を第一に考えて欲しいというのが原告の主張であり、少なくとも、今日までの被告都教委には、そのような姿勢は見られなかった点をご考慮頂きたいと考えるものです。
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