▼ 「返さないからです」
関根秀一郎(派遣ユニオン書記長)
バブルがはじけて、日本経済がどん底に落ちていった一九九四年。当時の経団連会長は「雇用情勢が厳しくなった今こそ、雇用の維持に努力が必要だ。働く人は労働資源でなく人間である」と語った。立派だ。
一方、今回の不況ではトヨタやキヤノンなどのトップ企業が率先して派遣切りを実行した。「必要なときに必要な人材を」というキャッチコピーで派遣を導入し . . . 本文を読む
◆ 法廷で投げつけた 怒りの数珠と靴
原告席に座っていた下川正和さんは、意を決したように、手に持っていた数珠を裁判長に投げつけた。三月二六日、東京高裁で下された「控訴棄却」の主文を聞いた二秒後だった。
「あなたたちは偽善者だ!」と発言し、今度は右足の靴を脱ぎ、大きく上段にかまえると裁判長に向かって思い切り投げ放った。傍聴席はほぼ満席、通常ならば「法廷侮辱罪」。数珠は裁判長をかすっているので . . . 本文を読む