2014(平成26)年1月下旬、「平泉エッセイ・コンテスト」実行委員会(代表・事務局:小賀坂勝美)から”平泉エッセイ・コンテスト”入賞作品集「平泉を歩く」(表紙を除きA5判64ページ)が送られてきました。
これらの作品は、選考委員の内海隆一郎氏(作家・「金色の棺~藤原三代のなぞを開く」「人びとの忘れもの」「蟹の町」「30%の幸せ」などの著作がある)が「総評」に書いている通りだと思いました。
”受賞作は、みな豊かな個性を持ち、内容・表現ともに優れている。ことにも一編一編が、それぞれの筆者の人生を程よく炙り出し、作品を書かずにはいられないものを胸の内に抱いていて、これが読者を納得させ共感させるのである。つまり「つくりもの」でない「真実」が吐露されていた。これは推薦された6作品のみならず、予選通過作品のほとんどに共通している美点であろう。”
私は、40ページに掲載されている「慈母のまつり」(基衡賞・岩手県 横田恵子 69歳)が特に印象に残りました。私は一度だけですが、この作品に出てくる「哭きまつり」を観たことがありますので、内海隆一郎氏が「寸評」で書いている通りだと思いました。”観光的には極めて地味な行事「哭きまつり」を採り上げ、美しい小宇宙へと誘ってくれる、しっとりした佳品。女性筆者の感覚が鋭く優しくあふれ、この行事に疎い読者にも好感を懐かれるだろう。”
哭きまつり:「観自在王院跡」は浄土庭園。阿弥陀堂では基衡妻の葬送を模したという「哭き祭り」が毎年5月4日に行われる。その東方に「基衡妻の墓」(江戸時代建立)と「オンドウブツ」と呼ばれる12世紀の石仏がある。御堂仏の意か。[河出書房新社発行、大矢邦宣著「図説 平泉」より]
http://www.hiraizuminews.jp/news.asp?recno=20090504165640 [観自在王院跡で古式ゆかしく哭まつり:奥州平泉観光新聞]
http://www.hiraizuminews.jp/news.asp?recno=20080504185107 [平泉の観自在王院跡で哭まつり:奥州平泉観光新聞]
http://blog.goo.ne.jp/enn37/e/fc79d21cc66a615f1b3e015a1c856dd7 [「哭(なき)まつり」と真澄:」ゾウさんと暮らす]
http://himurot.tumblr.com/post/977389724 [観自在王院の哭きまつり:Narrow Road to the Deep Tohoku]
http://www.st.rim.or.jp/~success/nakimaturi_ye.html [平泉で850年間も伝えられてきたまつり哭き祭とは?!花立山の麓の観自在王院 阿弥陀堂の前に…]
http://www.youtube.com/watch?v=x6WhQ4bYK-4 [You Tube:平泉町観自在王院「哭きまつり」.mov]
鞘堂に亡き友思う 清衡賞は鈴木さん
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平泉エッセイ・コンテスト 平泉町の「平泉エッセイ・コンテスト」実行委員会(小賀坂勝美代表)は27日、全国公募した「世界文化遺産登録記念 平泉エッセイ・コンテスト」の入賞作品を発表し、最高賞の「清衡賞」は奥州市前沢区白山の鈴木秀悦さん(71)の作品「ヒデ、いくべ」に決まった。
コンテストは町民有志10人でつくる実行委が平泉の良さを再認識し、郷土愛を育む一助にしようと企画。今年6~8月、中学生以上のアマチュアを対象に、平泉に関するテーマで800字以内で募集したところ、北海道から鹿児島まで全国から266点が寄せられた。
審査は作家の内海隆一郎さん、作家で詩人の小野寺苓さん、毛越寺執事長の藤里明久さんが行い、清衡賞1点、基衡賞2点、秀衡賞3点、泰衡賞18点を選考した。
清衡賞を受賞した鈴木さんは、中尊寺の金色堂を覆っていた古い鞘堂(さやどう)に足を踏み入れるたびによみがえる、今は亡き友人と写生に出掛けた60年前の思い出を情景鮮やかにつづった。
元小中学校教諭で現在は前沢ユネスコ協会長、世界遺産「平泉の文化遺産」追加登録候補の史跡白鳥舘遺跡(同区)のボランティアガイドを務め、追加登録を祈念してお盆の余暇に執筆。受賞は「青天の霹靂(へきれき)」と語り、驚いた様子で喜ぶ。
作品では「世界遺産となった中尊寺の中で、この古い鞘堂が一番好きだ」とつづり、受賞を機に「文化はそれぞれの地域に育つもの。文化を理解すれば、地域への誇りや愛着が深まる。それがまちづくりや地域づくりの原動力になると思う」と展望する。
【写真】平泉エッセイ・コンテストで清衡賞を受賞した鈴木さん