京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間。

2013-11-14 09:17:35 | 日記

七五三御参り。京都では十三参りは明日がピーク。
7・5・3と奇数時間は私たち時計師には要注意時間です。
この時にミスが起きやすい。

「危険な時間」のお話。
「電池交換時間はすべての処理を8分以内でやってください!」
お客様は10分以上になるとカラータイマーが点滅してくる!二度と戻らない。
修理コーナー担当のおじさんたちに通達したことがある。

昔、浜松のお店を巡回した時の事、お隣は仏壇屋さん。
ファサードは仏壇屋さんのほうが明るい雰囲気でした。当然お店の売上も低迷。このままでは撤退して跡地にはマンションでも建てようかとうわさも出るほど。

店に入ると修理コーナーのおじさんが私をにらみつけてきた。「いらっしゃいませ」の声も聞こえない。
そのまま帰りたくなる瞬間です。

お客のふりをしてしばらく店内を回る。私の後から女性が入ってきた。「電池交換お願いします」と手渡す。おじさんは無言で受け取り、数分後「1000円!」憮然と一言。
「ありがとうございました!」と言い残して女性がさっと出て行く。悲しい光景でした。

私が営業本部に入った頃はどのお店もこんなものです。
休憩室では店長さんがのんびりと高校野球を見ていた。
椅子を蹴り飛ばしたくなるが我慢する。
高校野球を見る時間があるなら私の話も聞いてもらえそうだ。

修理コーナーのオジサン用マニュアルを伝えます。
お客様には「電池交換には10分ほどかかります!」といって預かる。
実際8分以内で終了すること。

「10分以内で手渡す時は『お待たせしました。ありがとうございました!』と言う事!」
10分以上かかったときには「大変!お待たせしました!ありがとうございました!」と頭を下げさせて会話をさせようとするのが目的。
8分以内にすべての作業ができる人が少ないことは解っていました。
時計職人は無口は人が多い。

「その際に遅れた理由をはっきりと伝える事!」
このような簡単な一言でもお店の担当者から抵抗がありました。

「百貨店では電池交換に30~40分ほど客を待たせるのが普通だ!」と反論してきた。
「百貨店にはきれいな販売員の女性もいるし、休憩所もある。レストランもある。30分くらいは楽しくすごせます。
大事な事は百貨店の30分がこの暗いお店の5分に相当します。5分でここから逃げ出したくなる。
ここのフロアーにあるのは時計だけ。来店してくれるすべてのお客さんが時計が大好きなお客様だけではないのです。
『お客様の立場』の視線に欠けていることに驚く。

「電池交換を待っている時間がその一日一番の苦痛を感させ待たされた!と怒りだす。」限界時間。関西では10分だ。

名古屋の本部に入るまで全国新店舗を5店ほど造った。どの都市の店もライバルは百貨店です。
「所詮、百貨店と量販店ではトンビと鷹。月とスッポンの違いがある」
視察する百貨店の時計コーナーで時計を見て回るのは楽しい。30分くらいあっという間に過ぎていきます。
ところが量販店では息が詰まるのだ。不思議と必要最小限の滞在時間で逃げ出したくなるのです。

私にはこれが解決できないまま会社を離れた。その4年後、倒産して市場から消えた。
「ヌーベル・パスティーシュ時計修理工房」(TEL075-495-2608)はその後始末のように始めました。
相変わらずトンビ、スッポンクラスのヘナチョコ工房のままだ。

今でも出来るだけ解りやすい言葉で説明したいのですがこれが難しい!
写真のようにさび付きがあったり、裏ブタにシールがいっぱい貼られていることもありますが出来る限り正確にお伝えしたいと思う。

京都大丸さんでは「世界の時計展」が始まっています。17日の日曜日までやっているのでお勧め!
私もこそこそと行ってきましょうかね~!楽しみです。

『田中芳照』油絵展。日本橋三越で19日まで開催中です。
京都・洛北在住の画家さんで近所の町内会長さん。
作品と同じように人柄も癒されるようにおおらか。
『日本の美景をたずねて』の20点はお勧めなのです。




















コメント
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