― 平成31年03月29日以降の、「漢文⇒述語論理」を、「解説」をせずに、まとめて示します。―
(01)韓愈・師説(H31.3.29)
(ⅰ)
弟子不必不如師=
弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
弟子[必〔(師)如〕不]不=
弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
弟子は、必ずしも、師匠に及ばない。といふわけではない。
(ⅱ)
(α)
1 (1)~∀x{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} A
1 (2)∃x~{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} 1量化子の関係
1 (3)∃x~{~弟子x∨∃y(師yx&~如xy)} 2含意の定義
4 (4) ~{~弟子a∨∃y(師ya&~如ay)} A
5(5) ~{~弟子a∨ (師ba&~如ab)} A
5(6) ~~弟子a& ~(師ba&~如ab) 5ド・モルガンの法則
5(7) ~~弟子a 6&E
5(8) 弟子a 7DN
5(9) ~(師ba&~如ab) 6&E
5(ア) ~師ba∨~~如ab 9ド・モルガンの法則
5(イ) ~師ba∨ 如ab アDN
5(ウ) 師ba→ 如ab イ含意の定義
5(エ) ∃y(師ya→ 如ay) ウEI
4 (オ) ∃y(師ya→ 如ay) 45エEE
4 (カ) 弟子a&∃y(師ya→ 如ay) 8オ&I
4 (キ) ∃x{弟子a&∃y(師ya→ 如ay)} カEI
1 (ク) ∃x{弟子x&∃y(師yx→ 如xy)} 34EE
1 (〃)あるxは弟子であり、あるyがxの師であるならば、xはyに及んでゐる。
1 (〃)師に劣らない弟子が存在する。
(β)
1 (1) ∃x{弟子x&∃y(師yx→ 如xy)} A
2 (2) 弟子a&∃y(師ya→ 如ay)} A
2 (3) 弟子a 2&E
2 (4) ∃y(師ya→ 如ay) 2&E
5(5) 師ba→ 如ab A
5(6) ~師ba∨ 如ab 5含意の定義
25(7) 弟子a& (~師ba∨ 如ab) 36&I
25(8) ~~{弟子a& (~師ba∨ 如ab)} 7DN
25(9) ~{~弟子a∨~(~師ba∨ 如ab)} 8ド・モルガンの法則
25(ア) ~{~弟子a∨(~~師ba&~如ab)} 9ド・モルガンの法則
25(イ) ~{~弟子a∨( 師ba&~如ab)} アDN
25(ウ) ~{弟子a→( 師ba&~如ab)} イ含意の定義
25(エ) ~{弟子a→(∃y師ya&~如ay)} ウEI
2 (オ) ~{弟子a→(∃y師ya&~如ay)} 45エEE
2 (カ) ∃x~{弟子x→(∃y師yx&~如xy)} オEI
1 (キ) ∃x~{弟子x→(∃y師yx&~如xy)} 12カEE
1 (ク)~∀x{弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)} キ量化子の関係
1 (〃)すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師であって、xはyに及ばない。
1 (〃)弟子に及ばない師がゐる。
∴
(ⅲ)
(α)~∀x{弟子x→∃y(師yx&~如xy)}
(β) ∃x{弟子x&∃y(師yx→ 如xy)}
に於いて、
(α)=(β) である。
(02)矛盾・韓非子(H31.4.10)
(ⅰ)
楚人有鬻盾与矛者。誉之曰、吾盾之堅、莫能陥也。又誉其矛曰、吾矛之利、於物無不陥也。或曰、以子之矛、陥子之盾、何如。其人弗能応也=
楚人有[鬻〔盾与(矛)〕者]。誉(之)曰、吾盾之堅、莫(能陥)也。又誉(其矛)曰、吾矛之利、於(物)無〔不(陥)〕也。或曰、以(子之矛)、陥(子之盾)、何如。其人弗〔能(応)〕也⇒
楚人に[〔盾と(矛)とを〕鬻く者]有り。(之を)誉めて曰く、吾が盾の堅きこと、(能く陥す)莫きなり。又た(其の矛を誉めて)曰く、吾矛の利なること、(物に)於いて〔(陥さ)不る〕無きなり。或ひと曰く、(子の矛を)以て、(子の盾を)陥さば、何如ん。其の人〔(応ふる)能は〕ざるなり=
楚の国の人で盾と矛とを売る者がゐた。自分の盾を誉めて言った。 私の盾を突き通すことができるものはない。 又其の矛を誉めて言った。 私の矛の鋭いことには、どんな物でも突き通すことができないものはない。或るひとが言った。 あなたの矛で、あなたの盾を突いたらどうなるのか。 其の(盾と矛を売る)人は、答へることが、出来なかった。
然るに、
(ⅱ)
1 (1) ∃x(盾x)&∃y(矛y) A
1 (2) ∃x(盾x) 1&E
3 (3) 盾a A
1 (4) ∃y(矛y) 1&E
5 (5) 矛b A
6 (6) ∀y{矛y→ ∃x(盾x&~陥yx)} A
6 (7) 矛b→ ∃x(盾x&~陥bx) 6UE
56 (8) ∃x(盾x&~陥bx) 57MPP
9 (9) 盾a&~陥ba A
9 (ア) ~陥ba 9&E
イ (イ) ∀x{盾x→ ∃y(矛y& 陥yx)} A
イ (ウ) 盾a→ ∃y(矛y& 陥ya) イUE
3 イ (エ) ∃y(矛y& 陥ya) 3ウMPP
オ (オ) 矛b& 陥ba A
オ (カ) 陥ba オ&E
9 オ (キ) ~陥ba&陥ba アカ&I
56 オ (ク) ~陥ba&陥ba 89キEE
356 イ (ケ) ~陥ba&陥ba エオクEE
1 56 イ (コ) ~陥ba&陥ba 23ケEE
1 6 イ (サ) ~陥ba&陥ba 45コEE
6 イ (シ)~{∃x(盾x)& ∃y(矛y)} 1サRAA
6 イ (ス) ~∃x(盾x)∨~∃y(矛y) シ、ド・モルガンの法則
6 イ (セ) ∃x(盾x)→~∃y(矛y) ス含意の定義
ソ (ソ) ~∃x(盾x) A
ソ (タ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x) ソ∨I
チ(チ) ~∃y(矛y) A
チ(ツ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x) チ∨I
6 イ (テ) ~∃y(矛y)∨~∃x(盾x) スソタチツ∨E
6 イ (ト) ∃y(矛y)→~∃x(盾x) テ含意の定義
6 イ (ナ) ∃x(盾x)→~∃y(矛y)&
∃y(矛y)→~∃x(盾x) セト&I
(ⅲ)
(6)∀y{矛y→ ∃x(盾x&~陥yx)} といふことは、
(〃)いかなる矛であっても、突き通すことが出来ない「盾」が存在する。といふことであり、
(イ)∀x{盾x→ ∃y(矛y& 陥yx)} といふことは、
(〃)どのやうな盾であっても、突き通すことが出来る「矛」が存在する。といふことである。
∴
(ⅳ)
(1)ある盾xが存在し、ある矛yが存在する。 と「仮定」して、
(6)すべてのyについて、yが矛ならば、あるxは盾であって、yはxを陥さない。と「仮定」して、
(イ)すべてのxについて、xが盾ならば、あるyは矛であって、yはxを陥す。 と「仮定」すると、
(ナ)ある盾xが存在するならば、ある矛yは存在せず、
ある矛yが存在するならば、ある盾xは存在しない。
(03)借虎威1(H31.4.12・16)
(ⅰ)
虎求百獣而食之得狐=
虎求(百獣)而食(之)得(狐)=
虎(百獣)求而(之)食(狐)得=
虎(百獣を)求めて(之を)食ひ(狐を)得たり=
虎は、全ての獣を求めて、これを食べてゐたが、ある日、狐をつかまえた。
(ⅱ)
1 (1)∃y{虎y&∀x[獸x→求yx&食yx&∃z(狐z&獸z&得yz)]} A
2 (2) 虎b&∀x[獸x→求bx&食bx&∃z(狐z&獸z&得bz)] A
2 (3) 虎b 2&E
2 (4) ∀x[獸x→求bx&食bx&∃z(狐z&獸z&得bz)] 3UE
2 (5) 獸a→求ba&食ba&∃z(狐z&獸z&得bz) 4UE
2 (6) 獸a→求ba&食ba 5&E
2 (7) ∃z(狐z&獸z&得bz) 6&E
8(8) 狐a&獸a&得ba A
8(9) 狐a 8&E
8(ア) 獸a 8&E
28(イ) 求ba&食ba 6アMPP
28(ウ) 食ba イ&E
28(エ) 虎b&狐a 39&I
28(オ) 虎b&狐a&食ba エオ&I
28(カ) ∃x(虎b&狐x&食bx) オEI
2 (キ) ∃x(虎b&狐x&食bx) 78カEE
2 (ク)∃y∃x(虎y&狐x&食yx) キEI
1 (ケ)∃y∃x(虎y&狐x&食yx) 12クEE
1 (〃)あるyは虎であり、あるxは狐であり、yはxを食ふ。
(04)借虎威2(H31.4.17)
(ⅰ)
天帝使我長百獣=
天帝使〔我長(百獣)〕⇒
天帝〔我(百獣)長〕使=
天帝〔我をして(百獣に)長たら〕使む=
天帝 let me be tHe cHief of all tHe beasts.
(ⅱ)
1 (1)∃x∃y{天帝x&我y&∀z(獸z⇔長xyz)} A
2 (2) ∃y{天帝a&我y&∀z(獸z⇔長ayz)} A
3 (3) 天帝a&我b&∀z(獸z⇔長abz) A
3 (4) ∀z(獸z⇔長abz) 3&E
3 (5) 獸c⇔長abc 4UE
3 (6) 獸c→長abc&長abc→獸c 5Df.⇔
3 (7) 長abc→獸c 6&E
8 (8) ~獸c A
38 (9) ~長abc 78MTT
3 (ア) ~獸c→~長abc 39CP
イ (イ)∃w(鳥w&~獸w) A
ウ(ウ) 鳥c&~獸c A
ウ(エ) 鳥c ウ&E
ウ(オ) ~獸c ウ&E
3 ウ(カ) ~長abc アオMPP
3 ウ(キ) 鳥c&~長abc エカ&I
3 ウ(ク)∃w(鳥w&~長abw) キEI
3イ (ケ)∃w(鳥w&~長abw) イウクEE
2 (コ) 天帝a&我b 3&E
23イ (サ) 天帝a&我b&∃w(鳥w&~長abw) ケコ&I
23イ (シ) ∃y{天帝a&我y&∃w(鳥w&~長ayw) サEI
2 イ (ス) ∃y{天帝a&我y&∃w(鳥w&~長ayw) 23シEE
2 イ (セ)∃x∃y{天帝x&我y&∃w(鳥w&~長xyw)} スEI
1 イ (ソ)∃x∃y{天帝x&我y&∃w(鳥w&~長xyw)} 12セEE
1 イ (〃)あるxは天帝であり、あるyは私であり、あるwは鳥であり、xはyを鳥の長にはしない(∵ 天帝は、私を獸の長にしたのであって、鳥は、獸ではない)。
(05)借虎威3(H31.16)
(ⅰ)
百獸之見我而敢不走乎=
百獸之見(我)而敢不(走)乎⇒
百獸之(我)見而敢(走)不乎=
百獣の(我を)見て敢へて(走ら)ざらんや=
獣たちは、私(狐)を見ても、逃げないなでいあられるであらうか(否、そんなことは、決してない)
(ⅱ)
1 (1) ∃x{我x&∀y(獸y→見yx& 走y)} A
2 (2)∃x∃y(我x&狐y&獸y&見yx&~走y) A
3 (3) 我a&∀y(獸y→見ya& 走y) 1UE
3 (4) 我a 3&E
3 (5) ∀y(獸y→見ya& 走y) 3&E
3 (6) 獸b→見ba& 走b 5UE
7 (7) ∃y(我a&狐y&獸y&見ya&~走y) A
8(8) 我a&狐b&獸b&見ba&~走b A
8(9) 狐b 8&E
8(ア) 獸b 8&E
8(イ) ~走b 8&E
3 8(ウ) 見ba& 走b 6アMPP
3 8(エ) 見ba ウUE
3 8(オ) 走b エUE
3 8(カ) ~走b&走b イオ&I
8(キ) ~獸b アカRAA
3 (ク) 狐b&~獸b 9キ&I
3 8(ケ) ∃y(狐y&~獸y) クEI
37 (コ) ∃y(狐y&~獸y) 78ケEE
23 (サ) ∃y(狐y&~獸y) 27コEE
12 (シ) ∃y(狐y&~獸y) 13サEE
12 (〃) ある狐は獸ではない。 13サEE
12 (〃)ある狐は単なる獸ではなく、百獸の長である。
(06)民無二王(H31.4.17)
(ⅰ)
天無二日、民無二王=
天無(二日)、民無(二王)⇒
天(二日)無、民(二王)無=
天に(二日)無く、民に(二王)無し=
天に二つの太陽は無く、民に二人の王はゐない。
(ⅱ)
1 (1)∃x王x&∀x∀y(王x&王y→x=y) A
1 (2)∃x王x 1&E
3 (3) 王a A
1 (4) ∀x∀y(王x&王y→x=y) 1&E
1 (5) ∀y(王a&王y→a=y) 4UE
1 (6) 王a&王b→a=b 5UE
7(7) ∀y(王y) A
7(8) 王b 7UE
37(9) 王a&王b 38&I
137(ア) a=b 69MPP
13 (イ) 王b→a=b 8アCP
13 (ウ) ∀y(王y→a=y) イUI
13 (エ) 王a&∀y(王y→a=y) 3ウ&I
13 (オ)∃x{王x&∀y(王y→x=y)} エEI
1 (カ)∃x{王x&∀y(王y→x=y)} 13オEE
1 (〃)あるxが王であって、すべてのyについて、yが王であるならば、xとyは「同一人物」である。
1 (〃)王は、一人しかゐない。
(07)未仁而(H31.4.18)
(ⅰ)
未有仁而遺其親者也=
未[有〔仁而遺(其親)者〕也]⇒
未[〔仁而(其親)遺者〕有也]=
未だ[〔仁にして(其の親)遺つる者〕有らざる也]=
未だ[〔仁にして(其の親)遺つる者〕有らざる也]=
今までに、仁者であって、自分の親を遺棄した者はゐないのだ。
(ⅱ)
(α)
1 (1)∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)} A
1 (2) 仁a→~∃y(親ya&遺ay) 1UE
3 (3) 仁a A
13 (4) ~∃y(親ya&遺ay) 23MPP
13 (5) ∀y~(親ya&遺ay) 4量化子の関係
13 (6) ~(親ba&遺ab) 5UE
13 (7) ~親ba∨~遺ab 6ド・モルガンの法則
13 (8) 親ba→~遺ab 7含意の定義
13 (9) ∀y(親ya→~遺ay) 8UI
1 (ア) 仁a→∀y(親ya→~遺ay) 39CP
1 (イ)∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)} アUI
(β)
1 (1)∀x{仁x→∀y(遺xy→~親yx)} A
1 (2) 仁a→∀y(遺ay→~親ya) 1UE
3 (3) 仁a A
13 (4) ∀y(遺ay→~親ya) 23MPP
13 (5) 遺ab→~親ba 4UE
13 (6) ~遺ab∨~親ba 5含意の定仁
13 (7) ~(遺ab& 親ba) 6ド・モルガンの法則
13 (8) ∀y~(遺ab& 親ba) 7UI
13 (9) ~∃y(遺ay& 親ya) 8量化子の関係
1 (ア) 仁a→~∃y(遺ay&親ya) 39CP
1 (イ)∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy) アUI
∴
(ⅲ)
(α)∀x{仁x→~∃y(親yx&遺xy)}
(β)∀x{仁x→∀y(親yx→~遺xy)}
に於いて、
(α)=(β) である。
∴
(α)すべてのxについて、xが仁者であるならば、あるyはxの親であり、xがyを捨てる。といふことはない。
(β)すべてのxについて、xが仁者であるならば、すべてのyについて、yがxの親であるならば、xはyを捨てない。
(08)民莫非其臣也(H31.4.21)
(ⅰ)
一民莫非其臣也=
一民莫〔非(其臣)〕也=
一民〔(其臣)非〕莫也=
一民も〔(其の臣)非ざる〕莫きなり=
一人の民も其の(王の)臣民でないものはゐないのだ。
cf.
わずか一尺の土地でも紂王の領地でないところはないし、また一人の人民でも紂王の家来でないものはなかった。ところが、一方文王は〔いかに聖人といえ〕わずか百里四方の小さい土地(諸侯)から勃興したのであるから、天下の王者となることはきわめて困難であったのは当然である(孟子、公孫丑章句上、小林勝人 訳)
(ⅱ)
1 (1)∀x{民x→∃y[王yx&∀z(王zx→z=y)]} A
1 (2) 民a→∃y[王ya&∀z(王za→z=y)] 1UE
3 (3) 民a A
13 (4) ∃y[王ya&∀z(王za→z=y)] 23MPP
5 (5) 王ba&∀z(王za→z=b) A
5 (6) 王ba 5&E
5 (7) ∀z(王za→z=b) 5&E
5 (8) 王ca→c=b 7UE
9 (9)∃y∃z(紂y&文z&y≠z) A
ア (ア) ∃z(紂b&文z&b≠z) A
イ(イ) 紂b&文c&b≠c A
イ(ウ) 紂b&文c イ&E
イ(エ) 文c イ&E
イ(オ) b≠c イ&E
5 イ(カ) ~王ca 8オMTT
5 イ(キ) 文c&~王ca オカ&I
5 イ(ク) ∃z(文z&~王za) キEI
5 ア (ケ) ∃z(文z&~王za) アイクEE
59 (コ) ∃z(文z&~王za) 9アケEE
13 9 (サ) ∃z(文z&~王za) 45コEE
1 9 (シ) 民a→∃z(文z&~王za) 3サCP
1 9 (ス)∀x{民x→∃z(文z&~王zx) シUI
∴
(ⅲ)
(1)すべてのxについて、xが民であるならば、あるyはxの王であって、すべてのzについて、zがxの王であるならば、zはyと同一人物である。 と「仮定」し、
(9)あるyは紂であり、あるzは文であり、yとzは、同一人物ではない。 と「仮定」すると、
(ス)すべてのxについて、xが民であるならば、あるzは文であり、zはxの王ではない。 といふ『結論』を、得る。
∴
(ⅳ)
(1)すべての民が、紂を王とし、紂以外に、民の王がゐない。 と「仮定」し、
(9)紂と文は、同一人物ではない。 と「仮定」すると、
(ス)すべての民の王は、文ではない。といふ『結論』を、得る。
(09)今両虎(H31.4.23)
(ⅰ)
今両虎共闘、其勢不倶生=
今両虎共闘、其勢不(倶生)⇒
今両虎共闘、其勢(倶生)不=
今両虎共に闘はば、其の勢ひ(俱には生き)ず=
いま、二頭の虎(e.g.藺相如と廉頗)が戦ひ合へば、両方とも死なないで済む。といふわけにいかない。
(ⅱ)
1 (1)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} A
1 (2) ∀y{虎a&虎y&闘ay→~(生a&生y)} 1UE
1 (3) 虎a&虎b&闘ab→~(生a&生b) 2UE
4 (4) 生a&生b A
4 (5) ~~(生a&生b) 4DN
14 (6) ~(虎a&虎b&闘ab) 45MTT
14 (7) ~虎a∨~虎b∨ ~闘ab 6ド・モルガンの法則
14 (8) (~虎a∨~虎b)∨~闘ab 7結合法則
9 (9) (~虎a∨~虎b) A
9 (ア) ~~(~虎a∨~虎b) 9DN
9 (イ) ~(~~虎a&~~虎b) ア、ド・モルガンの法則
9 (ウ) ~(虎a&虎b) イDN
9 (エ) ~(虎a&虎b)∨~闘ab ウ∨I
オ(オ) ~闘ab オ
オ(カ) ~(虎a&虎b)∨~闘ab オ∨I
14 (キ) ~(虎a&虎b)∨~闘ab 89エオカ∨E
14 (ク) 虎a&虎b →~闘ab ク含意の定義
1 (ケ) 生a&生b→(虎a&虎b→~闘ab) 4クCP
1 (コ) ∀y{生a&生y→(虎a&虎y→~闘ay)} ケUI
1 (サ)∀x∀y{生x&生y→(虎x&虎y→~闘xy)} コUI
∴
(ⅲ)
(1)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} といふ「仮定」により、
(サ)∀x∀y{生x&生y→(虎x&虎y→~闘xy)} といふ『結論』を得る。
∴
(ⅳ)
(1)すべてのxとすべてのyについて、xが虎であり、yも虎であり、xとyが闘へば、xが生き、yも生きる。といふことはない。 といふ「仮定」により、
(サ)すべてのxとすべてのyについて、xが生きて、 yも生きて、 xが虎であり、yも虎であらならば、xとyは、闘はない。 といふ『結論』を得る。
(〃)すべてのxとすべてのyについて、xが死なず、 yも死なず、 xが虎であり、yも虎であるならば、xとyは、闘はない。 といふ『結論』を得る。
(10)君子非(H31.5.8)
(ⅰ)
君子不以其所以養人者害人=
君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
君子{[其〔(人)養〕所‐以者]以(人)害}不=
君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所‐以の者を]以て(人を)害せ}ず=
その人が、君子であるならば、その人は、人々を養ふ手段(土地)のために、人々を害するやうなことはしない(土地よりも、人間の方が大切である)
(ⅱ)
(α)
1 (1) ∀x∀y{君xy&人yx→~∃z(養zy&害zy&所zxy)} A
1 (2) ∀y{君ay&人ya→~∃z(養zy&害zy&所zay) 1UE
1 (3) {君ab&人ba→~∃z(養zb&害zb&所zab) 2UE
4 (4) 君ab&人ba A
14 (5) ~∃z(養zb&害zb&所zab) 34MPP
14 (6) ∀z~(養zb&害zb&所zab) 5量化子の関係
14 (7) ~(養cb&害cb&所cab) 6UE
1 (8) 君ab&人ba→ ~(養cb&害cb&所cab) 47CP
9 (9) 君ab&人ba A
ア(ア) (養cb&害cb&所cab) A
1 9 (イ) ~(養cb&害cb&所cab) 89MPP
1 9ア(ウ) (養cb&害cb&所cab)&~(養cb&害cb&所cab) アイ&I
1 ア(エ) ~(君ab&人ba) 9ウRAA
1 (オ) (養cb&害cb&所cab)→~(君ab&人ba) アエCP
1 (カ) ∀y{(養cy&害cy&所cay)→~(君ay&人ya)} オUI
1 (キ) ∀x∀y{(養cy&害cy&所cxy)→~(君xy&人yx)} カUI
1 (ク)∀z∀x∀y{(養zy&害zy&所zxy)→~(君xy&人yx)} キUI
(β)
1 (1)∀z∀x∀y{(養zy&害zy&所zxy)→~(君xy&人yx)} A
1 (2) ∀x∀y{(養cy&害cy&所cxy)→~(君xy&人yx)} 1UE
1 (3) ∀y{(養cy&害cy&所cay)→~(君ay&人ya)} 2UE
1 (4) (養cb&害cb&所cab)→~(君ab&人ba) 3UE
5 (5) ∃z(養zb&害zb&所zab) A
6 (6) (養cb&害cb&所cab) A
7(7) (君ab&人ba) A
1 6 (8) ~(君ab&人ba) 46MPP
1 67(9) (君ab&人ba)&~(君ab&人ba) 78&I
15 7(ア) (君ab&人ba)&~(君ab&人ba) 569EE
1 7(イ) ~∃z(養zb&害zb&所zab) 5アRAA
1 (ウ) 君ab&人ba→~∃z(養zb&害zb&所zab) 7イCP
1 (エ) ∀y{君ay&人ya→~∃z(養zy&害zy&所zay)} ウUI
1 (オ) ∀x∀y{君xy&人yx→~∃z(養zy&害zy&所zxy)} エUI
∴
(ⅲ)
(α) ∀x∀y{君xy&人yx→~∃z(養zy&害zy&所zxy)}
(β)∀z∀x∀y{(養zy&害zy&所zxy)→~(君xy&人yx)}
に於いて、
(α)=(β) である。
∴
(ⅳ)
(α)すべてのxとyについて、xがyの君子であって、yがxの人民であるならば、あるzが、yを養ひ、yを害ふ、xとyの所以である。といふことはない。
(β)すべてのzとxとyについて、zがyを養ひ、zがyを害ふ、xとyの所以であるならば、xがyの君子であって、yがxの人民である。といふことはない。
に於いて、
(α)=(β) である。
(11)雜説・韓愈1(H31.5.10)
(ⅰ)
世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有而伯楽不常有=
世有(伯楽)、然後有(千里馬)千里馬常有而伯楽不(常有)⇒
世(伯楽)有、然後(千里馬)有。千里馬常有而伯楽(常有)不=
世に(伯楽)有りて、然る後に(千里の馬)有り。千里馬は常に有れども伯楽は(常には有ら)ず=
世の中に、伯楽(のやうな名人)がゐて、その後にはじめて、千里の馬(名馬)が見い出される。千里の馬は、常にゐるが、伯楽はさうではない。
然るに、
(ⅱ)
1 (1) ∃y(千里y&馬y)→∃z(伯楽z)&∀x{馬x→∃y(千里y&馬y)}&~∀x(馬喰z→伯楽z) A
1 (2) ∀x{馬x→∃y(千里y&馬y)} 1&E
1 (3) 馬a→∃y(千里y&馬y) 2UE
4 (4) 馬a A
14 (5) ∃y(千里y&馬y) 34MPP
1 (6) ∃y(千里y&馬y)→∃z(伯楽z) 1&E
14 (7) ∃z(伯楽x) 56MPP
14 (8) ∃z(伯楽x)&∃y(千里y&馬y) 57&I
1 (9) ~∀z(馬喰z→伯楽z) 1&E
1 (ア) ~∀z(~馬喰z∨伯楽z) 1含意の定義
1 (イ) ∃z~(~馬喰z∨伯楽z) ア量化子の関係
ウ(ウ) ~(~馬喰a∨伯楽a) A
ウ(エ) ~~馬喰a&~伯楽a ウ、ド・モルガンの法則
ウ(オ) 馬喰a&~伯楽a エDN
ウ(カ) ∃z(馬喰a&~伯楽z) オEI
1 (キ) ∃z(馬喰z&~伯楽z) イウカEE
14 (ク) ∃z(馬喰z&~伯楽z)&∃y(千里y&馬y) 5キ&I
14 (ケ) [∃z(伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]&[∃z(馬喰z&~伯楽z)&∃y(千里y&馬y)] 8ク&I
1 (コ) 馬a→[∃z(伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]&[∃z(馬喰z&~伯楽z)&∃y(千里y&馬y)] 4ケCP
1 (サ)∀x{馬x→[∃z(伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]&[∃z(馬喰z&~伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]} コUI
∴
(ⅲ)
(1) ∃y(千里y&馬y)→∃z(伯楽z)&∀x{馬x→∃y(千里y&馬y)}&~∀x(馬喰z→伯楽z)
(サ)∀x{馬x→[∃z(伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]&[∃z(馬喰z&~伯楽z)&∃y(千里y&馬y)]}
に於いて、
(1)ならば、(サ)である。
∴
(ⅳ)
(1)∃y(千里y&馬y)→∃z(伯楽z)&∀x{馬x→∃y(千里y&馬y)}&~∀z(馬喰z→伯楽z)
(サ)馬がゐれば[伯楽と千里の馬の、ペア]が存在し[伯楽ではない馬喰と千里の馬の、ペア]も存在することになる。
に於いて、
(1)ならば、(サ)であって、
(サ)の場合に、千里の馬は、卑しい人間の手で、粗末に扱はれ、馬小屋の中で(他の駄馬と)首を並べて死んでしまい、千里の馬であると、称せられないのだ。
といふ、ことになる。
(12)雜説・韓愈2(H31.5.12)
(ⅰ)
食馬者不知其能千里而食也=
食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也⇒
(馬)食者〔(其能千里)知而食〕不也=
(馬を)食ふ者は〔(其の能の千里なるを)知りて食は〕ざるなり=
馬を飼ふ者は、必ずしも、その馬が千里の馬であることを知った上で、飼ふわけではないのだ。
(ⅱ)
(α)
1 (1)~∀x{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x} A
1 (2)∃x~{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x} 1量化子の関係
3(3) ~{∃y[(千里y&馬y)&飼ay]→ 伯楽a} A
3(4) ~{~∃y[(千里y&馬y)&飼ay]∨ 伯楽a} 3含意の定義
3(5) ~~∃y[(千里y&馬y)&飼ay]&~伯楽a 4ド・モルガンの法則
3(6) ∃y[(千里y&馬y)&飼ay]&~伯楽a 5DN
3(7) ∃y[(千里y&馬y)&飼ay] 6&E
3(8) ~伯楽a 6&E
3(9) ~伯楽a&∃y[(千里y&馬y)&飼ay] 78&I
3(ア) ∃x{~伯楽x&∃y[(千里y&馬y)&飼xy]} 9EI
1 (イ) ∃x{~伯楽x&∃y[(千里y&馬y)&飼xy]} 23アEE
(β)
1 (1) ∃x{~伯楽x&∃y[(千里y&馬y)&飼xy]} A
2(2) ~伯楽a&∃y[(千里y&馬y)&飼ay] A
2(3) ~伯楽a 2&E
2(4) ∃y[(千里y&馬y)&飼ay] 2&E
2(5) ∃y[(千里y&馬y)&飼ay]&~伯楽a 34&E
2(6) ~~∃y[(千里y&馬y)&飼ay]&~伯楽a 5DN
2(7) ~{~∃y[(千里y&馬y)&飼ay]∨ 伯楽a} 6ド・モルガンの法則
2(8) ~{∃y[(千里y&馬y)&飼ay]→ 伯楽a} 7含意の定義
2(9)∃x~{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x} 8EI
1 (ア)∃x~{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x} 129EE
1 (イ)~∀x{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x} ア量化子の関係
∴
(ⅲ)
(α)~∀x{∃y[(千里y&馬y)&飼xy]→ 伯楽x}
(β) ∃x{~伯楽x&∃y[(千里y&馬y)&飼xy]}
に於いて、
(α)=(β) である。
(ⅳ)
(α)すべてのxについて、あるyが千里であって、馬であって、xがyを飼ふならば、xは伯楽である。といふわけではない。
(β)あるxは、伯楽でなく、あるyは、千里であって、馬であって、xはyを飼ふ。
に於いて、
(α)=(β) である。
∴
(ⅴ)
(α)xは、其の(馬yの)能(力)が千里であることを知った上で、yを飼ふのではない。
(β)xは、其の(馬yの)能(力)が千里であることを知った上で、yを飼ふのではない。
に於いて、
(α)=(β) である。
(13)雜説・韓愈3(H31.5.13)
(ⅰ)
雖有千里之能食不飽力不足=
雖〔有(千里之能)〕食不(飽)力不(足)⇒
〔(千里之能)有〕雖食(飽)不力(足)不=
〔(千里の能)有りと〕いへども食(飽か)ざれば力(足ら)ず=
たとえ、千里馬であっても、食料が十分でないならば、力を出すことが出来ない。
(ⅱ)
(α)
1 (1)∀x{[(千里x&馬x)&~食飽x]→~力足x} A
1 (2) [(千里a&馬a)&~食飽a]→~力足a 1UE
3 (3) [(千里a&馬a)&~食飽a] A
4 (4) 力足a A
13 (5) ~力足a 23MPP
134 (6) 力足a&~力足a 45&I
1 4 (7) ~[(千里a&馬a)&~食飽a] 36RAA
1 4 (8) ~千里a∨~馬a∨~~食飽a 7ド・モルガンの法則
1 4 (9) ~千里a∨~馬a∨ 食飽a 8ド・モルガンの法則
1 4 (ア) (~馬a∨~千里a)∨ 食飽a 9交換法則
1 4 (イ) (馬a→~千里a)∨ 食飽a ア含意の定義
1 4 (ウ) 食飽a∨(馬a→~千里a) イ交換法則
1 4 (エ) ~~食飽a∨(馬a→~千里a) ウDN
1 4 (オ) ~~~食飽a→(馬a→~千里a) エ含意の定義
1 4 (カ) ~食飽a→(馬a→~千里a) オDN
1 (キ) 力足a→[~食飽a→(馬a→~千里a)] 4カCP
1 (ク)∀x{力足x→[~食飽x→(馬x→~千里x)]} 1UI
(β)
1 (1)∀x{力足x→[~食飽x→(馬x→~千里x)]} A
1 (2) 力足a→[~食飽a→(馬a→~千里a)] 1UE
3 (3) 力足a A
4 (4) ~[~食飽a→(馬a→~千里a)] A
13 (5) [~食飽a→(馬a→~千里a)] 23MPP
134 (6) ~[~食飽a→(馬a→~千里a)]&
[~食飽a→(馬a→~千里a)] 45&I
1 4 (7) ~力足a 36RAA
1 (8) ~[~食飽a→(~馬a∨~千里a)]→~力足a 47CP
1 (9)~[~~食飽a∨(~馬a∨~千里a)]→~力足a 8含意の定義
1 (ア) ~[食飽a∨(~馬a∨~千里a)]→~力足a 9DN
1 (イ) ~[(~馬a∨~千里a)∨食飽a]→~力足a ア交換法則
1 (ウ) [~(~馬a∨~千里a)&~食飽a]→~力足a イ、ド・モルガンの法則
1 (エ)[(~~馬a&~~千里a)&~食飽a]→~力足a ウ、ド・モルガンの法則
1 (オ) [(馬a&千里a)&~食飽a]→~力足a エDN
1 (カ)∀x{[(馬x&千里x)&~食飽x]→~力足x} オUI
∴
(ⅲ)
(α)∀x{[(千里x&馬x)&~食飽x]→~力足x}
(β)∀x{力足x→[~食飽x→(馬x→~千里x)]}
に於いて、
(α)=(β) である。
∴
(ⅳ)
(α)すべてのxについて、xが千里であって、馬であって、食料が十分でないないならば、力を出すことが出きない。
(β)すべてのxについて、xが千里であって、馬であって、食料が十分でないないならば、力を出すことが出きない。
に於いて、
(α)=(β) である。
(ⅴ)
1 (1)∀x{力足x→[~食飽x→(馬x→~千里x)]} A
2 (2)∃x(力足x&~食飽x&馬x) A
1 (3) 力足a→[~食飽a→(馬a→~千里a)] 1UE
3(4) 力足a&~食飽a&馬a A
3(5) 力足a 4&E
3(6) ~食飽a 4&E
3(7) 馬a 4&E
1 3(8) ~食飽a→(馬a→~千里a) 35MPP
1 3(9) 馬a→~千里a 68MPP
1 3(ア) ~千里a 79MPP
1 3(イ) ~食飽a&力足a 56&I
1 3(ウ) ~食飽a&力足a&~千里a アイ&I
1 3(エ) ~食飽a&力足a&~千里a&馬a 7ウ&I
1 3(オ)∃x(~食飽a&力足a&~千里a&馬a) エEI
12 (カ)∃x(~食飽a&力足a&~千里a&馬a) 24オEE
∴
(ⅵ)
(1)∀x{力足x→[~食飽x→(馬x→~千里x)]}
(2)∃x(力足x&~食飽x&馬x)
であるならば、
(カ)∃x(~食飽a&力足a&~千里a&馬a)
である。
∴
(ⅶ)
(1)すべてのxについて、xが千里であって、馬であって、食料が十分でないないならば、力を出すことが出きない。
(〃)すべてのxについて、xが千里であって、馬であって、食料が十分でないないならば、力を出すことが出きない。
といふ一方で、
(2)あるxは、力を出すことが出来るが、食料が十分でない馬である。
といふのであれば、
(カ)あるxは、食料が十分でなくとも、力を出すことが出きる、千里の馬ではない馬である。
(〃)食料が十分でなくとも、力を出すことが出きる、千里の馬ではない馬がゐる。
e.g.
10=5×(1+1)=5×2=10
10=5×(2×1)=5×2=10
∴
「全体が等しい」とき、「その一部」を、「等しい式」に、置き換へても、
「全体は等しい」。といふことは、「述語計算」に於いても、さうである。
(14)論語・学而(H31.5.15)
(ⅰ)
人不知而不愠不亦君子乎=
人不(知)而不(愠)不(亦君子)乎⇒
人(知)不而(愠)不(亦君子)不乎=
人(知ら)ずして(愠み)ず(亦君子なら)ざるや=
自分を正当評価しない人に対しても、不満に思うはない人は、何と、立派な人ではないか。
(ⅱ)
(α)
1 (1)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]} A
1 (2) 人a→∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y] 1UE
3 (3) 人a A
13 (4) ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y] 23MPP
5 (5) (私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b A
5 (6) (私b&~知ab&~愠ba)→ 君子b 5DN
7 (7) 私b&~君子b A
7 (8) 私b 7&E
7 (9) ~君子b 7&E
5 7 (ア) ~(私b&~知ab&~愠ba) 69MTT
5 7 (イ) ~私b∨~~知ab∨~~愠ba ア、ド・モルガンの法則
5 7 (ウ) ~私b∨知ab∨ 愠ba イDN
5 7 (エ) ~私b∨(知ab∨ 愠ba) ウ結合法則
5 7 (オ) 私b→(知ab∨ 愠ba) エ含意の定義
5 7 (カ) 私b→(~~知ab∨愠ba) オDN
5 7 (キ) 私b→( ~知ab→愠ba) カ含意の定義
5 7 (ク) ( ~知ab→愠ba) 8キMPP
5 (ケ) (私b&~君子b)→(~知ab→愠ba) 7クCP
5 (コ)∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)] ケEI
13 (サ)∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)] 45コEE
1 (シ) 人a→∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)] 3サCP
1 (ス)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]} シUI
(β)
1 (1)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]} A
1 (2) 人a→∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)] 1UE
3 (3) 人a A
13 (4) ∃y[(私y&~君子y)→(~知ay→愠ya)] 23MPP
5 (5) (私b&~君子b)→(~知ab→愠ba) A
6 (6) 私b A
7 (7) ~君子b A
67 (8) 私b&~君子b 67&I
567 (9) (~知ab→愠ba) 58MPP
5 7 (ア) 私b→(~知ab→愠ba) 69CP
5 7 (イ) 私b→(~~知ab∨愠ba) ア含意の定義
5 7 (ウ) 私b→(知ab∨愠ba) イDN
5 7 (エ) ~私b∨(知ab∨愠ba) ウ含意の定義
5 7 (オ) (~私b∨ 知ab∨愠ba) エ結合法則
5 (カ) ~君子b→(~私b∨ 知ab∨愠ba) 7オCP
キ(キ) ~(~私b∨ 知ab∨愠ba) A
5 キ(ク) ~~君子b カキMTT
5 (ケ) ~(~私b∨ 知ab∨愠ba)→~~君子b キクCP
5 (コ) (~~私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b ケ、ド・モルガンの法則
5 (サ) (私b&~知ab&~愠ba)→~~君子b コDN
5 (シ) ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y] サEI
13 (ス) ∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y] 45シEE
1 (セ) 人a→∃y[(私y&~知ay&~愠ya)→~~君子y] 3スCP
1 (ソ)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]} セUI
∴
(ⅲ)
(α)∀x{人x→∃y[(私y&~知xy&~愠yx)→~~君子y]}
(β)∀x{人x→∃y[(私y&~君子y)→(~知xy→愠yx)]}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは私であって、xはyを知らず、yはxを恨まないならば、yは君子ではない、ではない。
(β)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyが私であって、yが君子でないならば、xがyを知らなければ、yはxを恨む。
に於いて、
(α)=(β)である。
(15)論語・学而2(H31.5.16)
(ⅰ)
不患人之不己知、患不知人也=
不[患〔人之不(己知)〕]、患[不〔知(人)〕]也⇒
[〔人之(己知)不〕患]不、[〔(人)知〕不]患也=
[〔人の(己を知ら)ざる〕患へ]ず、[〔(人を)知ら〕ざるを]患ふるなり=
人が自分を知ってくれないことは心配せず、自分が、人を知らないことを心配する。
(ⅱ)
(α)
1 (1)∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]} A
1 (2) 人a→∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)] 1UE
3 (3) 人a A
13 (4) ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)] 23MPP
5 (5) 己b&~知ab&~患b & ~知ba→患b A
5 (6) 己b&~知ab&~患b 5&E
5 (7) ~知ba→患b 5&E
8 (8) ∃y(己y&~知ya&~患y) A
9(9) 己b&~知ba&~患b A
9(ア) ~知ba 9&E
9(イ) ~患b 9&E
5 9(ウ) 患b 7アMPP
5 9(エ) ~患b&患b イウ&I
58 (オ) ~患b&患b 89エEE
5 (カ) ~∃y(己y&~知ya&~患y) 8オRAA
5 (キ) ∃y(己y&~知xy&~患y) 6EI
5 (ク) ∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y) カキ&I
13 (ケ) ∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y) 45クEE
1 (コ) 人a→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y) 3ケCP
1 (サ)∀x{人a→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y)} コUI
(β)
1 (1)∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)} A
1 (2) 人a→∃y(己y&~知ay&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y) 1UE
2 (3) 人a A
12 (4) ∃y(己y&~知ay&~患y)&~∃y(己y&~知ya&~患y) 23MPP
12 (5) ~∃y(己y&~知ya&~患y) 4&E
12 (6) ∀y~(己y&~知ya&~患y) 5量化子の関係
12 (7) ~(己b&~知ba&~患b) 6UE
12 (8) ~己b∨~~知ba∨~~患b 7ド・モルガンの法則
12 (9) ~己b∨(~~知ba∨~~患b) 8結合法則
12 (ア) 己b→(~~知ba∨~~患b) 9含意の定義
12 (イ) 己b→( ~知ba→~~患b) ア含意の定義
12 (ウ) 己b→( ~知ba→ 患b) イDN
12 (エ) ∃y(己y&~知ay&~患y) 4&E
オ(オ) 己b&~知ab&~患b A
エ(カ) 己b オ&E
12エ(キ) ~知ba→ 患b ウカMPP
12エ(ク) (己b&~知ab&~患b)&(~知ba→患b) オキ&I
12エ(ケ) ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)] クEI
12 (コ) ∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)] エオケEE
1 (サ) 人a→∃y[(己y&~知ay&~患y)&(~知ya→患y)] 1コCP
1 (シ)∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]} サUI
∴
(ⅲ)
(α)∀x{人x→∃y[(己y&~知xy&~患y)&(~知yx→患y)]}
(β)∀x{人x→∃y(己y&~知xy&~患y)&~∃y(己y&~知yx&~患y)}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは己(自分)であって、xがyを知らなくとも、yは患へず、yがxを知らないないならば、yは患ふ。
(β)すべてのxについて、xが人であるならば、あるyは己(自分)であって、xがyを知らなくとも、yは患へず、あるyは己(自分)であって、yがxを知らなくとも、yは患へない。といふことはない。
に於いて、
(α)=(β)である。
(16)論語・学而3(H31.5.17・18)
(ⅰ)
① 不好犯上而好作乱者、未之有也=
① 不[好〔犯(上)〕]而好〔作(乱)〕者、未(之有)也⇒
① [〔(上)犯〕好]不而〔(乱)作〕好者、未(之)有也=
① [〔(上)を犯すことを〕好ま]ずして〔(乱を)作すこと〕好む者は、未だ(之れ有ら)ざるなり=
① 目上の人に逆らいたがらないのに、乱を起こしたがる者は、絶対にいない(三省堂、明解古典学習シリーズ16、論語 孟子、1973年、3頁)。
(ⅱ)
(α)
1 (1)~∀x{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)} A
1 (2)∃x~{上x→ ∃y(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
3(3) ~{上a→ ∃y(~好犯ya&好乱ya)} A
3(4) ~{~上a∨∃y(~好犯ya&好乱ya)} 3含意の定義
3(5) ~~上a&~∃y(~好犯ya&好乱ya) 4ド・モルガンの法則
3(6) ~∃y(~好犯ya&好乱ya) 5&E
3(7) ∀y~(~好犯ya&好乱ya) 6量化子の関係
3(8) ~~好犯ba∨~好乱ba 7UE
3(9) ~好犯ba→~好乱ba 8含意の定義
3(ア) ∀y(~好犯ya→~好乱ya) 9
3(イ) ~~上a 5&E
3(ウ) 上a イ
3(エ) 上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya) アウ&I
3(オ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} エEI
1 (カ) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} 23オEE
(β)
1 (1) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)} A
2 (2) 上a&∀y(~好犯ya→~好乱ya) A
2 (3) ∀y(~好犯ya→~好乱ya) 2&E
2 (4) ~好犯ba→~好乱ba 3
5 (5) ∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} A
5 (6) 上a→∃y(~好犯ya& 好乱ya) 5UE
2 (7) 上a 2&E
25 (8) ∃y(~好犯ya& 好乱ya) 67CP
9(9) ~好犯ba& 好乱ba A
9(ア) ~好犯ba 9&E
2 9(イ) ~好乱ba 4アMPP
9(ウ) 好乱ba 9&E
2 9(エ) ~好乱ba&好乱ba イウ&I
25 (オ) ~好乱ba&好乱ba 89エEE
2 (カ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 5オRAA
1 (キ)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)} 12カEE
(ⅲ)
(α)~∀x{上x→∃y(~好犯yx& 好乱yx)}
(β) ∃x{上x&∀y(~好犯yx→~好乱yx)}
に於いて、すなはち、
(α)すべてのxについて、xが上(目上の人)であるならば、あるyがxに逆らふことを好まずして、yがxに乱を起こす。といふことはない。
(β)あるxは上(目上の人)であって、すべてのyについて、yがxに逆らふことを好まないならば、yはxに乱を起こすことを、好まない。
に於いて、
(α)=(β)である。
(ⅴ)―「別解」―
(α)
1 (1)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A
1 (2)∃x~∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
1 (3)∃x∀y~{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 1量化子の関係
4(4) ∀y~{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} A
4(5) ~{上ab→(~好犯ba&好乱ba)} 4UE
4(6) ~{~上ab∨(~好犯ba&好乱ba)} 5含意の定義
4(7) ~~上ab&~(~好犯ba&好乱ba) 6ド・モルガンの法則
4(8) ~~上ab 7&E
4(9) 上ab 8DN
4(ア) ~(~好犯ba&好乱ba) 7&E
4(イ) ~~好犯ba∨~好乱ba ア、ド・モルガンの法則
4(ウ) ~好犯ba→~好乱ba イ含意の定義
4(エ) 上ab&(~好犯ba→~好乱ba) 9ウ&I
4(オ) ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} エUI
4(カ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} オEI
1 (キ)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} 14EE
(β)
1 (1)∃x∀y{上xy&(~好犯yx→~好乱yx)} A
2 (2) ∀y{上ay&(~好犯ya→~好乱ya)} A
2 (3) 上ab&(~好犯ba→~好乱ba)} 2UE
2 (4) 上ab 3&E
2 (5) ~好犯ba→~好乱ba 3&E
6 (6) ∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} A
6 (7) ∃y{上ay→(~好犯ya&好乱ya)} 6UE
8(8) 上ab→(~好犯ba&好乱ba) A
2 8(9) ~好犯ba&好乱ba 48MPP
2 8(ア) ~好犯ba 9&E
2 8(イ) 好乱ba 9&E
2 8(ウ) ~好乱ba 5イMPP
2 8(エ) 好乱ba&~好乱ba イウ&I
26 (オ) 好乱ba&~好乱ba 78EE
2 (カ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 6オRAA
1 (キ)~∀x∃y{上xy→(~好犯yx&好乱yx)} 12カEE
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