日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(899)「象の鼻が長い・鼻は象が長い」の「述語論理」。

2021-05-24 18:51:00 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた述語 ― 論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号 ― しかもたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである。
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)
然るに、
(02)
①{象の、兎の、馬の
であれば、
① に於いて、
①{象の、長い。}
従って、
(02)により、
(03)
象の長い。⇔
① 象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くない。⇔
① ∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}⇔
① すべてのxとあるyについて{(xが象であって、yがxの鼻であるならば、yは長く)、(xが象ではなく、yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(04)
①{兎の耳、象の耳、馬の耳}
②{象の、兎の、馬の
③{馬の顔、象の顔、兎の顔}
であれば、
② に於いて、
②{鼻は、象長い。}
従って、
(04)により、
(05)
鼻は長い。⇔
② 鼻は、象は長く、象以外(兎と馬)で長いのは鼻ではない。⇔
② ∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}⇔
② すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならばxは長く、yが象でなくて、xが長ければxはyの鼻ではない}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(06)
1   (1)∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)} A
 2  (2)∀x∃y(兎x&~象x&鼻yx)                A
1   (3)  ∃y{(象a&鼻ya→長y)&(~象a&鼻ya→~長y)} 1UE
  4 (4)     (象a&鼻ba→長b)&(~象a&鼻ba→~長b) A
  4 (5)                  ~象a&鼻ba→~長b   4&E
 2  (6)  ∃y(兎a&~象a&鼻ya)                2UE
   7(7)     兎a&~象a&鼻ba                 A
   7(8)     兎a                         7&E
   7(9)        ~象a&鼻ba                 7&E
  47(ア)                          ~長b   59MPP
   7(イ)            鼻ba                 7&E
  47(ウ)     兎a&鼻ba                     8イ&I
  47(エ)     兎a&鼻ba&~長b                 アウ&I
  47(オ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                エEI
 24 (カ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                67オEE
12  (キ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                34カEE
12  (ク)∀x∃y(兎x&鼻yx&~長y)                キUI
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}。然るに、
(ⅱ)∀x∃y(兎x&~象x&鼻yx)                従って、
(ⅲ)∀x∃y(兎x&鼻yx&~長y)。
といふ「三段論法(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xが象であって、yがxの鼻であるならば、yは長く)、(xが象ではなく、yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxとあるyについて( xは兎であって、象ではなく、yはxの鼻である)。従って、
(ⅲ)すべてのxとあるyについて( xは兎であって、yはxの鼻であって、yは長くない)。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
(ⅰ)象の長い。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻が有る。従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
1    (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)} A
1    (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} 1UE
 3   (3)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&長a→~鼻ab)  A(代表的選言項)
 3   (4)                  ~象b&長a→~鼻ab   3&E
  5  (5)∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)}              A
  5  (6)   兎b→~象b&∃x(鼻xb)               1UE
   7 (7)   兎b                           A
  57 (8)      ~象b&∃x(鼻xb)               67MPP
  57 (9)      ~象b                       8&E
  57 (ア)          ∃x(鼻xb)               8&E
    イ(イ)             鼻ab                A(代表的選言項)
    イ(ウ)           ~~鼻ab                イDN
 3 7 (エ)                ~(~象b& 長a)      4ウMTT
 3 7 (オ)                 ~~象b∨~長a       エ、ド・モルガンの法則
 3 7 (カ)                  ~象b→~長a       オ含意の定義
 3 7 (キ)                      ~長a       9カMPP
 3 7イ(ク)             鼻ab&~長a            イキ&I
 3 7イ(ケ)          ∃x(鼻xb&~長x)           クEI
 357 (コ)          ∃x(鼻xb&~長x)           アイケEE
1 57 (サ)          ∃x(鼻xb&~長x)           23コEE
1 5  (シ)   兎b→∃x(鼻xb&~長x)               7サCP
1 5  (ス)∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)}              シUI
従って、
(09)により、
(10)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}。然るに、
(ⅱ)∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)}。従って、
(ⅲ)∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)}。
といふ「三段論法(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{xがyの鼻であって、yが象であるならばxは長く、yが象でなくて、xが長ければxはyの鼻ではない}。然るに、
(ⅱ)    すべてのyについて{yが兎であるならば、yは象ではなく、あるxはyの鼻である}。従って、
(ⅲ)    すべてのyについて{yが兎であるならば、あるxはyの鼻であって、xは長くない}。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(10)により、
(11)
(ⅰ)鼻は長い。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。従って、
(ⅲ)兎の鼻は、長くない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(11)により、
(12)
Flexibility of mind is generally required for translating from ordinary speech into sentences of the predicate calculus. No firm rules can be given, and practice is needed before full familiarity with quantifiers is reached. 」
「日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。」
ものの、「その柔軟な頭」によって、
象の長い≡∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}。
鼻は長い≡∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(06)(09)(12)により、
(13)
「日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。」
としても、
(ⅰ)
1   (1)∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)} A
 2  (2)∀x∃y(兎x&~象x&鼻yx)                A
1   (3)  ∃y{(象a&鼻ya→長y)&(~象a&鼻ya→~長y)} 1UE
  4 (4)     (象a&鼻ba→長b)&(~象a&鼻ba→~長b) A
  4 (5)                  ~象a&鼻ba→~長b   4&E
 2  (6)  ∃y(兎a&~象a&鼻ya)                2UE
   7(7)     兎a&~象a&鼻ba                 A
   7(8)     兎a                         7&E
   7(9)        ~象a&鼻ba                 7&E
  47(ア)                          ~長b   59MPP
   7(イ)            鼻ba                 7&E
  47(ウ)     兎a&鼻ba                     8イ&I
  47(エ)     兎a&鼻ba&~長b                 アウ&I
  47(オ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                エEI
 24 (カ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                67オEE
12  (キ)  ∃y(兎a&鼻ya&~長y)                34カEE
12  (ク)∀x∃y(兎x&鼻yx&~長y)                キUI
(ⅱ)
1    (1)∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)} A
1    (2)  ∃y{(鼻ay&象y→長a)&(~象y&長a→~鼻ay)} 1UE
 3   (3)     (鼻ab&象b→長a)&(~象b&長a→~鼻ab)  A(代表的選言項)
 3   (4)                  ~象b&長a→~鼻ab   3&E
  5  (5)∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)}              A
  5  (6)   兎b→~象b&∃x(鼻xb)               1UE
   7 (7)   兎b                           A
  57 (8)      ~象b&∃x(鼻xb)               67MPP
  57 (9)      ~象b                       8&E
  57 (ア)          ∃x(鼻xb)               8&E
    イ(イ)             鼻ab                A(代表的選言項)
    イ(ウ)           ~~鼻ab                イDN
 3 7 (エ)                ~(~象b& 長a)      4ウMTT
 3 7 (オ)                 ~~象b∨~長a       エ、ド・モルガンの法則
 3 7 (カ)                  ~象b→~長a       オ含意の定義
 3 7 (キ)                      ~長a       9カMPP
 3 7イ(ク)             鼻ab&~長a            イキ&I
 3 7イ(ケ)          ∃x(鼻xb&~長x)           クEI
 357 (コ)          ∃x(鼻xb&~長x)           アイケEE
1 57 (サ)          ∃x(鼻xb&~長x)           23コEE
1 5  (シ)   兎b→∃x(鼻xb&~長x)               7サCP
1 5  (ス)∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)}              シUI
といふ「述語計算(Predicate calculus)」を行ふこと出来ないのであれば、
象の長い≡∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}。
鼻は長い≡∀x∃y{(鼻xy&象y→長x)&(~象y&長x→~鼻xy)}。
といふ「等式」が、成立するかどうかを、知ることは、出来ない
従って、
(13)により、
(14)
「日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。」
としても、その前に、「述語計算(Predicate calculus)」がる出来るようにならなければ、「日常言語の文から述語計算の文の翻訳」をすることは、出来ない
然るに、
(15)
私が知る限り、「E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年」は、「述語計算(Predicate calculus)」を「独習」する上での、「最良の教科書」である。
(16)
「E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年(の特に、167頁)」に出会うことが無ければ、
象は長い。⇔
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「等式」も、書けなかった、はずである。



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1 コメント

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今回のonomameusさんの論文内で… (原左都子)
2021-05-24 19:27:03
「頭が柔軟である必要がある」なる論文引用文が多発しておられますね。
その前に。 「述語計算(Predicate calculus)」が出来るようにならなければ、「日常言語の文から述語計算の文の翻訳」をすることは出来ない。
 なる引用もありますが。
まさに英語文法に於いても、同様の能力を要するように理解します。
私の場合、中学生時代から“英語文法”が得意だったのですが。 それって「頭が柔軟」にはかかわらず、単に数理的理解力が優れていたのみのようにも考察します。
両者が同意語かもしれませんが、今現在学んでいる子供たちにとっては、“頭を柔らかくせよ”と言われるよりも、‘数理的理解力を高めよう”と指導される方が、むしろ分かり易いのではないか!?? と、元教育者である私など、思ったりもします…
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