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紅茶の島のものがたり vol.24 冨井穣

2009年09月11日 | 金曜(2009年4月~):冨井穣さん
第24話
ほっとティータイムその3:
山城紅茶のパッケージデザインを手がける
イラストレーター misanoさん



 山城紅茶といえば、クマと女の子のかわいらしいイラストを思い出す人が多いのでは。パッケージを眺めているだけで絵本の世界に入り込んだような幸せな気分になり、楽しいティータイムをひときわぜいたくな時間にしてくれる。
 デザインを手がけているのは、沖縄で活躍中のイラストレーター misanoさん。
「なぜ沖縄なのにクマがいるの?」
「イラストにはどんな意味があるの?」
 そんな素朴な疑問から、misanoさんの現在の活動状況に至るまで、幅広く尋ねてみた。

Qまずは簡単な自己紹介をお願いします
A絵本のようなイラストを中心に、油絵、水彩画、色鉛筆画など、こだわりなく自由に絵を描いています。生まれも育ちも沖縄で、学校卒業後は沖縄、大阪、北海道などを転々とし、グループ展を開いたりイタリアに留学したりしながら創作活動を続け、3年前に沖縄へ戻ってきました。現在はデザイン会社に勤務しています。仕事では主にパソコンを使ってパンフレットやキャラクターデザインなどを制作し、プライベートでは気ままに作品を描きためています。

Qこの世界に進んだきっかけは
A小さいころ毎晩寝る前に母親が、ブリタニカ絵本の世界名作シリーズを読んでくれたんです。イラストは確かヨーロッパの作家が描いたものだったと思うのですが、とてもきれいで幻想的で…そのときの思い出がずっと心に残り、自然と絵が好きになっていきました。絵本のようなイラストが得意なのもそのせいでしょうね。絵本は想像上の世界ですから、今でも絵を描くときはイメージを膨らませながら、自由に発想をつなげて描くことが多いんです。小学生のころ先生に「もっとしっかり見て描いてごらん」と注意されたこともありました(笑)
 高校は当時県内で唯一デザイン科のあった学校を選び、絵本の勉強するために大阪の専門学校へ進学しました。イタリアではフィレンツェの伝統的なモザイク画を習いました。

Q山城紅茶との出会いは
Aイタリアから沖縄へ戻ってきて、ホームページの作り方を勉強しようと学校に通っていたとき、崎浜さんの奥さんと一緒になったのがきっかけです。会社を立ち上げるだいぶ前から、紅茶作りを始めるという話はよく聞いていたし、崎浜さんの家に遊びに行ったこともありました。そしてあるとき崎浜さんから「どんな絵を描いているの?」と聞かれ、作品をいくつかお見せしたところ、崎浜さんも山城さんもとても気に入ってくださり、それから紅茶のパッケージデザインを作ってほしいと頼まれました。

Q紅茶のイラストにはどんな意味が込められていますか
A実はそれを聞かれると、答えるのが難しくて…2人からは「動物と女の子と緑を入れてほしい」という要望があっただけで、あとは私が好きなように描かせてくれました。絵のテイストはいちばん得意な絵本風の油絵にして、自由に想像を膨らませながら仕上げることができたので、とても楽しかったですね。
 イラストは紅茶の種類に合わせて4種類描きました。それぞれの絵にストーリー性を持たせていますが(下記参照)、これは最初の打合せのときに2人があれこれ冗談を言い合っていたのをヒントに組み立てたものなんです。

(筆者注)
NO.905 女の子が森でクマと出会い
NO.909 茶畑で一緒に茶摘みをして
NO.918 2人仲良くティータイム
NO.927 食後は芝生に寝転んでひと休み

 実はもう一枚、頼まれてまだ渡していないイラストがあるんです。アイスティー用のイラストで、木の枝に女の子が座っていてその下には池があり、ティーカップを船代わりにした魚が泳いでいるというものです。できあがってからしばらくたっているので、早く見せないといけませんね。

Q今後の山城紅茶に期待することは
A最初に紅茶作りの話を聞いたときは、正直言って「大丈夫かな?」と心配しましたが、崎浜さんの自信に満ちた表情や話しぶりが妙に頼もしく感じられました。山城さんも情熱に満ちた人で、初対面の私に向かって紅茶作りの理念を延々と語って聞かせてくれました。会社を立ち上げてから今まで自分たちの信念を曲げずにやってこられたので、これからもその姿勢を貫いて頑張ってほしいと思います。

misanoさんプロフィール
沖縄を拠点に活動するイラストレーター。山城紅茶パッケージデザインをはじめ、サイトキャラクターデザイン、レストラン装飾画などを手がける。2000年misano展(北海道)、2004年グループ展(大阪)、2007年2人展(沖縄)開催。現在はデザイン会社に勤務するかたわら、個人的な創作活動を精力的に続けている。


misanoさんが描いた油絵と色鉛筆画の作品。どこか懐かしくて味わい深く、心温まる作風だ









text:冨井穣





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