沖縄Daily Voice

沖縄在住の元気人が発信する

シェフ直伝・洋風おきなわごはん vol.2 伊東 主夫

2010年01月14日 | 木曜(2010年1~2月):伊東 主夫さん
いよいよ料理についてのお話です。



フレンチとかイタリアンとか国名で、その国料理を表現しますが、
よくよく考えますと、ひとくくりで国境が違う料理が、
コロっと別物に変わるとは思えません。
日本のように四方を海で区切られた国と、大陸とではずいぶんあるのですから・・・。

そんな訳で、私どものレストランは欧風家庭料理という曖昧なカテゴリーとなっております。
また、“レストランなのに家庭料理なの?”につきましては、
次回にでもお話しいたしましょう!


さて、スープの話です。

スープこそ西洋料理の根源、ルーツだと思います。
その時、手に入った「モノ」全部を適当に切り、水と共に土器に入れ、塩を少々加え、火の上やすぐそばに置く
(その場合は、火が土器の全面に当たるように土器をずらしたりします)

火が貴重な時代は、常に火を燃やし続けていたようですので、スープもじっくり時間をかけて・・・
温かいスープはさぞ美味しかったことでしょう!
このように、文明が料理を生み、料理が文明を高め、育てていったように思います。

人類のDNAに、スープを食べると何故かホッとする遺伝子が組み込まれてしまったのではないか・・・
そんな気持ちさえします。その起源のスープに似た
“ポトフ”まさに「火にかけた土鍋」という名前のスープです。


さあ、冷蔵庫の野菜室の中を隅々まで良く見てください!


使い残しの色々が、ラップやビニール袋、新聞紙に包まれていませんか?
それらを全部出して下さい。火の通りにくい根菜、すぐに火が通る葉野菜、
時間差で煮込んでください。家庭料理ですから、チキンやコンソメのブイヨンを溶かして使ってください。

それに大きな鍋がいいでしょう。残ったら次の日にカレーやシチューに変身させるのです。



・できるだけ入れてほしい野菜
ニンジン・ポテト・玉ねぎ・セロリ・パセリの軸の部分
 
・季節の野菜など
今の季節は、白菜・大根・かぶ・ほうれん草・きのこ類なんでもOK。
里芋・田芋なども実に美味です。
 
・その他の食材
野菜類とブイヨンでも十分美味ですが、ボリュームUPや寒さ対策の栄養補給には、
お肉やお魚をプラスすると良いでしょう。
骨付きの鶏肉や豚のソーキ・てびちがあれば、油で少々炒め、
肉についている油をよく拭き取ってから、最初に鍋へ水と共に入れます。
よくアクを取り、野菜を入れてください。
ベーコンも良いのですが、香りが強すぎるので、少なめにしてください。
ハムやソーセージの残りがあればどうぞ。
 
・調理
はじめは強火でアクをしっかり取り、後は弱火でじっくりと・・・
葉野菜は最後の仕上げの直前に。仕上げは塩コショウで味を調えます。
出来上がれば、大きめの器(スープボールなど)にたっぷりとサービスしてください。
お好みでバター少々、またはオリーブオイルをたらしてもOK。
辛いものがお好きな方は例のコーレーグースーを入れるとポッカポカに温まりますよ。
 
・ひとこと?
とにかく気長にコトコトと。
アク取りは丁寧に。
塩コショウは最後の仕上げに。
白ワインの残りでもあれば、お肉類を入れる時にでも加えてください。
日本酒でもOK。

・その後
Ⅰ お鍋にたくさん残ったら・・・カレーやシチューに大変身。
①  水分と具とに分けて保存する。
②  具はカレーに合うサイズに切る。(骨付き肉の場合、あらかじめ骨を外しておくと食べやすいでしょう)
③  水分が多すぎたら多少煮詰める。少なければ牛乳を足して調整する。
④  市販のカレー粉をフライパンで、から炒りし少々焦がす(香りを出すとともに色付け)
⑤  ブールマニエ※(同量の小麦粉とバターを良く混ぜたもの)を作る。
⑥  鍋(ポトフ)を火にかけ、インゲンなどのグリーン野菜を入れると色がきれい。
⑦  ブールマニエを少量ずつ入れ、濃度をみる。
⑧  最後に炒めたカレー粉を入れるとカレーに。粉チーズを入れるとシチューの出来上がり。
Ⅱ お鍋に少量残ったら・・・
〈ポタージュスープにして朝食の一品に〉
①  残り全てを、ミキサーまたはフードプロセッサーにかける。
②  牛乳を加え、濃度と味を調える。濃度が濃ければ牛乳を。薄ければブールマニエを加える。





〈ポタージュスープにブールマニエを加えて、マカロニグラタンに〉
①  マカロニを茹でる。ブロッコリー・カリフラワーがあれば茹でる。
②  玉ねぎを炒め、茹でたマカロニ、ブロッコリーなどを
ポタージュスープに加え、塩コショウで味を調えてグラタンソースの出来上がり。
③  グラタンソースをグラタン皿に流し入れ、チーズをかけ、パン粉をふりかけ、
オーブンで焦げ目をきれいに付けて完成。ボナペティ!!※





※ブールマニエ(Beurre manie)
合わせバターの一種で、バターと小麦粉をよく練り混ぜたもの。
煮込み料理やソース、スープなどのとろみづけとして用いられ、
中華料理の片栗粉・和食の葛と同じ働きをします。作り置き(冷凍保存)が
できるのでとても便利ですよ。

※ボナペティ(Bon appetit)
直訳すると良い食欲を・・・で、“どうぞめしあがれ”!!


以上で第2回のブログは終わりです。
料理は創意と工夫でだんだんとバラエティーが広がるものです。
皆さんも色々と挑戦してみてください。



次回は1月24日(木)はお魚料理です。ご期待下さい。