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偽装管理職

2007-11-22 13:01:12 | 時事問題
管理職とは、1)経営者と同じ立場、2)労働時間の自己管理、3)相応の報酬という要件を満たすものである。だが実態がないのに名目的に任命される偽装管理職というのが存在している。人件費を削減することがその目的である。管理職は労働時間の自己管理ができるというタテマエを利用して、偽装管理職者に残業手当なしに長時間労働を強いるのである。

19日のNHK「クローズアップ現代」で、この問題が取り上げられていた。紳士服の大手チェーンの元店長、大手コンビニチェーンの元店長がそれぞれ、偽装管理職問題の告発を行っていた。

同番組では、経営側にとっても偽装管理職問題は、コンプライアンスの点で問題があり、問題の解決に動いているということも指摘されていた。

名古屋の書店チェーンである三洋堂書店では、三年前から店長を管理職として扱わないようにしたという。三洋堂書店が上場を前に、企業イメージを重んじたからである。その結果、店長にも残業手当が支給されることになった。だがその残業手当総額を減少させるために、1店舗あたりのパートの数を増やした。

また外食チェーンのサイゼリアもこの関連で紹介されていた。ここでも四年前から店長を管理職から外した。長時間労働に耐えられず退社する店長が相継いだからであるという。

サイゼリアでは、問題解決のために、徹底的な調理作業の合理化を行った。調理のほとんどは工場で行われ、店舗では処理された食材を暖めるだけとなった。店舗には包丁すらない。また食材の発注も、コンピュータの予測システムを利用して、誰でもできるようになった。その結果、店長は店舗の繁忙時間帯でも帰宅できるようになった。パートだけでも店舗を管理することができるというのである。その結果、以前は正社員対パートの比率が51対49であったのが、22対78になった。

経営の論理からすれば結局は人件費の削減が鉄則である。それゆえに個別の労働者の労働条件の改善が、結果として労働の非正規化を促進するという皮肉な結果を生んだ。色々と考えさせられる番組であった。
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