現地で取材する前は、今回の問題は、市教委が外部の政治的圧力に屈してゲンの利用制限を決めたのかと、ぼんやり想像していた。しかし、限られた期間の取材でわかったのは、そうではなく、閲覧制限は、外部の圧力には踏みとどまった市教委が、独自の検討、独自の判断で導いた結果だったということだ。2
今回、はだしのゲンの利用制限の呼びかけを決めた市教委事務局のメンバーは、当時の教育長ら幹部五人だ。この五人は昨年のある時点までは、はだしのゲンを平和教材として無条件に高く評価し、ゲンを撤去せよという外部の要求については断固拒否ということで意見一致していた。ある時点までは…。5
ある時点とは昨年10月、この五人が、陳情を審査した市議会対策として、はだしのゲンの全巻を読んだときだ。この五人には、ゲンを平和教材として授業で使ったことのある元教諭も含まれるが、五巻までしか読んでなかった。そのほかの幹部も、ゲンを読んだことはあったが、途中の巻までだった。6
全巻、具体的には10巻目を読んだとき、五人の心がガラリと変わったという。特に衝撃だったのは、旧日本軍兵士の性暴力の描写だったという。「これが、同じゲンかと思った」。取材に応じた幹部はこう明かした。別の幹部は記者に「あの描写をお子さんに見せられますか?」と問いかけてきた。7
【史料】中国とインドネシアの、1960年から65年までの同盟関係に関する論文(CWIHP)。 "Ambivalent Alliance: Chinese Policy towards Indonesia, 1960-1965," wilsoncenter.org/publication/am…
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