どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

にぎりめし ごろごろ

2022年11月27日 | 絵本(昔話・日本)

    にぎりめし ごろごろ/小林輝子・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1984年

 

 タイトルから「ねずみ浄土」の話かと思ったら、にぎりめしがころがったさきは、地蔵さまがいるお堂の棚。

 じさまが、にぎりめしの土のついたところを 自分で食べ、きれいなところを地蔵様に さしあげると、地蔵様は「じさまや、じさま。よなかに 面白いことがあるから、天井に隠れていろ」と いうたっけと。

 ところが天井にとどかない。お地蔵さまから「ひざかぶさ あがれ」といわれ、「もったいなくて あがれない」というと「あがれ あがれ」というので、じいさま 足の裏 手でこすってひざかぶへ。それでも天井にとどかない。お地蔵さんから「つぎは、肩さ、あがれ」「頭さ あがれ」といわれたじいさまは、「もったいねえことだ。ゆるしてたもれと」と、手を合わせて天井にかくれ、夜になるのを まっていたっけと。

 夜中になると、お堂の前に たくさんの鬼たちが集まってきて、飲めや歌えの大酒盛り。夜明け近くになっても 酒盛りは 終わらないで、じさまは「コケコッコー」と 叫びました。「やや、いちばんどり ないた」と、鬼たちはそわそわ。少し、時間をおいて、じさまがもういちど「コケコッコー」とさけぶと、鬼たちは、前より慌てだし、三度目には、「夜があけだぞ。たいへんだ たいへんだ」と、鬼たちは、わらわらと にげていってしまいました。後にはあずきめしや、くるみもち、あかやら あおやらの 着物がどっさり。

 ばさまとふたりで、あずきめし たべていると、「ひっこ たもれ」とやってきたのは、となりのばさま。「なんとして、そんたな うまそうなもの たべてるべ」と聞くので、じさまは、にぎりめしが ころがったこと、みんな はなしたんだと。

 じいさまの話を聞いたとなりのばさまは、じぶんのじさまを 山にいかせることに。

 となりの じさまはわざとにぎりめしを転がし、きれいなところは自分で、土のついたにぎりめしは地蔵様に。となりのじさまは、鬼たちに見つかって、ふんずけられたり、けられたり、たたかれたりとさんざん。

 家で待っていたばさまは「いまに あずきめしや くるみもちや、あかやら あおやらの 着物いっぱい しょって、おらのじさまも かえってくるべ」と、いままで 着ていた着物 ぜんぶ 焼いてしまって、腰巻一枚で、じさまのかえりをまっていると・・・。

 

 鬼たちが残していくのも、小判や宝物というのではなく、あずきめし、くるみもち、きものと、やや控え目。このほうが親近感がわきそうです。腰巻一枚でじさまをまっているばさま、ちょっと かわいそう。

 じいさまを、正直者と欲張り者にわけるものが多いのですが、ここでは、「じいさま」「となりのじいさま」としているのにも好感が持てます。 作者は岩手在住で、岩手弁もぴったりでした。

 じさまが、お地蔵さまにのぼるところで、「ばちがあたる」といいますが、いまそんなことを言う人も少なくなりました。ご飯粒を残すと「罰があたる」と よくいわれた記憶があります。


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