どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

まちぼうけ、笙の名人他、中国古代寓言

2018年12月10日 | 昔話(アジア)

        ほんとのほんとのむかしばなし―中国の寓言集 (1)ファン・イーチュン・再話 チャン・シーミン・絵 君島久子・訳/ほるぷ出版/1985年
        ほんとのほんとのむかしばなし―中国の寓言集 (2)ツオ・ニイ・再話 テイエン・ユアン・絵 君島久子・訳/ほるぷ出版/1985年

 
 日本で使われている故事成語は中国経由。小さい子でも言葉の意味を楽しめながら理解できる絵本です。

まちぼうけ
 
 北原白秋作詞、山田耕筰作曲の童謡を思い出しました。

 百姓が野良仕事をしていると、切り株ではなく大木にうさぎがぶつかって、ころりと死んでしまいます。

 味をしめた百姓は、それから毎日、木の下でうさぎをまったが、まってもまってもうさぎはきません。
 みんなは、これをみて、とてもおろかと百姓を笑います。

 絵本らしく、百姓の夢にはうさぎがどっさり、小鳥もおろかな百姓をみつめています。

 中国の法家の思想書の一つ『韓非子五蠹篇』の中にある説話「守株待兔」から録られたものであり、本来は、古い習慣に確執し、全く進歩がないこと、また、臨機応変の能力がないことの意味であり、韓非はこの説話を、古の聖人の行ったような徳治を行うべきだという儒家の主張を批判し、「昔の統治方法をそのまま用いるのではなく、時代に合わせて変えるべきだ」という文脈で用いたとありました。

笙の名人
 「わたくしも笙の名手です」とやってきた南郭先生。斉の国の王さまはよろこんで、この人を楽隊にいれます。ところが王さまが亡くなって、王子が国王になったとき、楽隊の名手に笙の独奏をさせます。
 先生の番になって、どんなすばらしい演奏を聴けるかみんながまっていると・・・。

 竜がかざられた御殿、笙がどんなものかなどが一目瞭然。楽隊のメンバーはみんな髭をはやしています。

矛盾
 矛と盾を売っている男が、盾はどんなするどい矛でもつきやぶることはできない、矛はどんな丈夫な盾でもつきやぶってしまうと自慢していると、ひとりが、お前の矛で盾をついたらどうなる?と聞くと・・・。

 男の口上を真剣に聞く人々と、矛盾することを指摘された男のしょんぼりした様子は、絵本ならではです。
 中国の法家が儒家の思想を批判するため主張したたとえ話。

一挙両得
 トラがネコのようです。

流言は人をまどわす
 ウソも繰り返されるとホントになるからおそろしい。

蛇足
 蛇の絵をはやくかけたものが酒をのむことにし、人々が、蛇の絵をえがきはじめます。
 一番早く書き上げた一人が足までかいていると、次の男がかきおえ、蛇には足がないと酒を飲みます。
 おいしそうな酒つぼ、女の人もいます。


 「笙の名人」というのは、あまり聞いたことがありませんが、そのほかはよく知られている故事ばかりです。

 このシリーズは六巻ありますが、再話と絵の作者は各巻ことなっています。


コーベッコー

2018年12月10日 | 絵本(日本)


    コーベッコー/スズキ コージ/BL出版/2017年


 「おひさまのほっぺをキンセイがつうかし そのキンセイがちきゅうのたつのおとしごのコーベッコーのやまにおっこちてきて」・・・。

 これはなに?とおもっていると、コーベッコーというのは神戸のこと。
 神戸はたつのおとしご?

 とにかくスズキワールドのカラフルな絵に圧倒されます。

 ヌノビキイ、キタノンザカ、イカリやまというのは神戸の地名でしょうか、港神戸の夜景と星空にうっとりです。