「長ぐつをはいたネコ」の絵本は、各社から出版されていて、絵をみるだけでもいろいろあって楽しい。
マーシャ・ブラウンの絵は、線がうまくつかわれ、ウオルター・クレインは中世ヨーロッパを思わせるように描いています。ガルドンのねこは、プスという名前、拍車のついた赤い靴です。
長ぐつをはいたネコ/ペロー童話 マーシャ・ブラウン・絵 光吉 夏弥・訳/岩波書店/1996年
長ぐつをはいたネコ/ペロー原作 ウオルター・クレイン・絵 秋野翔一郎・訳/童話館出版/1996年
ガルドンのながぐつをはいたネコ/ペロー原作 ポール・ガルドン・作 てらおか じゅん・訳/ほるぷ出版/1978年
一度語ったことがありますが、ベースになったのは「おはなしのろうそく5」(東京子ども図書館編)。岩波版を参考にしましたが、ほかのものとあまり比較しませんでした。
3冊だけですが、文章の部分を比べてみました。
「粉ひきが死んだとき、三人のむすこに残った財産といえば、水車小屋とろばとねこだけでした」と、はじまるのはいいのですが、そのあと「わずかな遺産を分けるのは、いたって簡単、弁護士だの公証人を呼ばずにすませました」と続きます。
弁護士や公証人は、省略して話しましたが、光吉訳では弁護士だけ。秋野訳では、立会人とさっぱりしていました。
てらおか訳では、このへんが省略されています。
ねこが、野原でつかまえるのは、うさぎとシャコ(ろうそく、光吉訳)、秋野訳ではうずらです。
てらおか訳では、やまうずら。
うさぎが、袋にとびこむところでのうさぎの表現。
世のなかの悪意というものをしらない、若い野うさぎ(秋野訳)
一匹のそっそかしい子うさぎが・・(光吉訳)
ばかなうさぎが一匹、袋の中に・・(ろうそく)
てらおか訳では、たんに、うさぎです。
最後、うさぎが 大臣になる(秋野訳)のと、大との(光吉訳)、えらい殿さま(ろうそく)、とくべつのみぶん(てらおか訳)と、こちらも微妙な違いがあります。
ガルドン版は、鱒やゾウもでてきます。
もっと読んでみる必要がありそうです。