カワと七にんのむすこたち/アマンジ・シャクリー・文 野坂 悦子・絵 おぼ まこと・絵/福音館書店/2015年
中東のニュースには、クルド人がでてくることが目につきます。
イラク戦争のとき、クルド人は、フセイン政権から迫害をうけていたというニュースがありました。独自の国家をもたない世界最大の民族集団といわれていますが、紀元前から中東にすむインド・ヨーロッパ語族といいます。
パシャという王さまの結婚式にやってきた怪しい男。王さまにお祝いの祈りをすると、その夜、王さまは肉がえぐりとられるような痛みがはしり、よくみると両方の肩にヘビがはえています。
なぐりつけても切りおとしてもなんどもはえてくるヘビ。
そこにみたこともない医者があらわれ、毎日羊を二頭食べさせれば楽になるというので、それからは人々の羊が次々に奪われてしまいます。
羊を食べ飽きたヘビが再び暴れだし、今度は毎日子どもを二人、ヘビにささげることになるのですが・・・
村の人達は、子どもをどう守れるだろうか考えて、男の子を山奥に逃がすことにします。
カワという鍛冶屋は、息子七人を山に逃がすとき、「どんなに ふゆが ながくても、かならず はるは おとずれる。はるを しらせる スイセンのはなが さいたら、あのやまの てっぺんで、ひを たいてほしい」といいます。
火がやまにかがやいたときが、カワたちが立ち上がる合図だったのです。
右手にハンマー、左手に太陽の旗をかかげたカワ。四方八方から城に向かう人々。
七人の息子が村に帰ってきたとき、ノウルーズ、ホーイ(しんねん、おめでとう!)と喜びあいます。
怪しい男、みたこともない医者は本当は悪魔でした。
ヘビは悪魔を象徴するものでしょうか。
四方八方から、松明をかかげ、城にむかうシーンは圧巻です。
ノウルーズは、イランやトルコをはじめ広い地域で祭礼となっている日で、古い暦では元旦、太陽暦では春分にあたるといいます。
カワの息子たちは父親を助け、母親の仕事を手伝う働き者です。