観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

5年間を振り返って  

2012-06-25 14:59:22 | 12.3
獣医学科6年 吉田綾子

「やっと終わった。」
今の気持ちはこの一言に尽きる。編入生として入学した私にとって、この大学生活は「きつい」の連続だった。「きつかった」のは勉強のことだけではない。最もきつかったのは毎日の学校生活だった。
 編入の先輩からは「勉強より学生生活の方が何倍も辛い」と再三聞いていた。まさかそんなことはあるまいとタカをくくっていたのが間違いであった。大学の雰囲気も学生自体も何もかもが違う。日本なのに言葉が通じない、何を考えているかわからない、そのような錯覚を起こしそうになるほど戸惑い、まるで異国にいるようだった。毎日毎日大学に押しつぶされそうで、慣れようとしても空回りする。どうしても前の大学と比較してしまい、それがさらに自分を苦しめて追い込まれていくのがわかった。
 体調を崩し、せめてただ獣医師免許を取るためだけに大学に通おうと思うようになってからは周りへ興味も少なくなり、研究室の仕事の参加も随分と減ってしまった。皆が参加し、また後輩がどんどん出来ていく中、ただでさえ年上の自分が率先して参加しなかったことを今更ながら申し訳なく思う。(本当はもっと沢山交流したかったのだけれど、ごめんなさい。)
 これらを含めて、5年間は自分を知る大切な時間となった。周囲の助けや心遣いもあって、きつくても、自分で折り合いをつけ、バランスを取る方法をみつけることができた。大学にいる理由は獣医師の免許のためだけのつもりだったが、この研究室に入ったことで他学科の学生や自分のまったく知らない分野をやっている人たちに会えたこと、自分を支えてくれる人がとても多くいることを改めて知ることができ、とてもとても大きな財産となった。
 この大学生活が笑えるような思い出になることはもう少し先になるだろうが、この大学で得たタフさには自信をもって獣医師として働こうと考えている。

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