観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

空にも色々ありまして

2012-06-28 23:26:08 | 12.6

3年生 大貫彩絵

 先月、研究室の親睦旅行で山梨県の早川町に行った。昼間の散策や夕飯も楽しかったが、校庭で見上げた時の星空も印象強かった。自分の住んでいる横須賀も比較的街灯が少なく星は見える方だと思っていたが、早川町ではいつも見ている倍以上の星が夜空にあったように思う。流れ星を見たのは何年振りだったろうか。
 「何年振り」といえば、この間金環日食があったが、あれはどうやら129年ぶりのことらしい。金環日食とは太陽が月の影に隠れ、一部または全体が見えなくなる日食が起こったのち、月の外側に太陽がはみ出すことでその光がリング状に見えるという現象だとか。私の住んでいる地域でも見えるとのことであったので、日食グラス片手に朝早くから外に出て太陽を探したが、生憎の曇り空。かろうじて薄い雲の向こうに太陽の輪を確認することはできたが、綺麗な金環はテレビの中継に任せた。
 古代から、日食や月食といった現象は天変地異の前触れとして人々に恐れられていたようだ。確かに、大きな存在である太陽や月がなくなってしまったら不安に思うだろう。しかし、一度なくなっても再び太陽が現れることから、復活を意味する現象としても捉えられていたようだ。実際に日本では天照大神の岩戸隠れの伝説は皆既日食によるものではないかという説があるらしい。
 まだ宇宙の事が何も分かっていなかった時代、人々は色々と考えを巡らせたり思いを馳せたのだろう。電灯は使わなかったのだから、夜は暗く、天体は今よりも一層の存在感があったはずだ。そうでなければ藤原道長のあの有名な歌は生まれなかったであろう。宇宙や天体の事が徐々に分かってきた今でも、それはほんの一部にすぎないわけで、夜空を観れば遠い星の事を考えずにはいられない。思い返せば、金環日食だけでなく最近いくつかの天体ショーがあった。5月には月が14%大きくなるスーパームーン、3月には夜空に金星、月、木星が一直線に並んでいた。昨年の12月には皆既月食があり、赤い満月を見ることができた。寒空の下、ダウンを着込んでまでベランダから眺めた。
 昼間の空は天気や雲によって、その表情を変える。それに比べたら、夜の空はその変化があまり分からないと思う。しかし、私たちには見えない遠いところできっと今日も何かが起こっている。そんなことを考えながら、私は今日も空を眺める。

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