キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

道南の山地を散策

2006年07月13日 | 採集記・撮影記
今週の前半、道南方面へ出張でした。
11日、仕事が始まる前に某林道を登ってみました。


AM7:00
前日の晩は気温と湿度が高かった。
そのせいか、早朝から昆虫たちは活発である。
数多くのカラスアゲハ、コミスジ、ヒョウモン類、オニヤンマ、エゾトンボ類が車の前を横切る。



林道沿いにはヤマブキショウマが咲いている。
ハナカミキリを探してみる。
まもなく緑色の甲虫が飛来。
フタコブルリハナカミキリを期待するが、飛んできたのは・・・



アオジョウカイ[Themus cyanipennis]★
(コウチュウ目ジョウカイボン科)
平野~山地の花に集まる。


陽が低いので、まだ日陰が多い。
カミキリを見つけるには厳しい時間帯だ。




AM8:00
標高を350m位まであげた。
眼下に広がる森の半分は、元来、北海道に自生しないスギが植えられている。
スギ植林地より上方はブナ林が広がる。
ここまで標高を上げると、ヒメオオクワガタくらいは出て来そうである。



林道沿いの日当りの良い場所のヤナギ。
背景にブナやミズナラ。


近づいてみると・・・



ん?何かいるぞぉ~。




やっぱり!



ヒメオオクワガタ[Dorcus montivagus montivagus]★★★
(コウチュウ目クワガタムシ科)
土付き、跗節欠け、爪スレ。
越冬ものであろう。


こんな感じで、北海道のヒメオオは採れるのである。
北海道では、ヒメオオの雌雄の比率は♂:♀=7:3で雄の方が多い。(私見)
東北地方北部でも雄の方が多く見られるそうだが、関東周辺では雌の方が多いと聞いた。また、西日本や九州ではルッキングでは採れないと聞いた事がある。
各地で生態が違うようだ。


他に見られた昆虫は



ヨツボシゴミムシ[Panagaeus japonicus]★★★
(コウチュウ目オサムシ科)
林道を歩いている。あまり多くない。
コヨツボシゴミムシは普通。



チャバネツヤハムシ[Phygasia fulvipennis]★★★
(コウチュウ目ハムシ科)
ガガイモにつく。札幌周辺では見たことがない。



オオヘリカメムシ[Molipteryx fuliginosa]★★
(カメムシ目ヘリカメムシ科)
道南に普通。札幌周辺では見たことがない。
ヘリカメムシの王様。デカイです。


渡島半島の植生環境は東北地方に似ている。
昆虫相も植生に対応しており、一般的な図鑑(北龍館や保育社)で、
北海道の分布が明記されていない種も数多く見出される。
札幌に住んでいる私にとっては、大変魅力的な土地であるが、
道外の方から見ると、本州と代わり映えしないと感じるかも知れない・・・。



にほんブログ村 写真ブログへ