キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

流木採集

2006年07月09日 | カミキリムシ科
7月上旬。
そろそろ夏物のカミキリが出揃う時期である。
恐らく普通種が殆どであろうが、今日は当てもない内陸部の山地で採集を楽しむことにした。



トドマツ、ミズナラ、ハルニレなどの針広混交林。

AM9:00 札幌を出発した時の気温は17℃であったが、
AM11:00 気温も24℃まで上がり、林造沿いにはイイ感じで花が咲いている。




早速、ハナカミキリを発見!



ヤツボシハナカミキリ[Leptura mimica]★
北海道ではヨツスジハナ、アカハナに次いで多いハナカミキリ。

続いて・・・



クロハナカミキリ[Leptura aetiops]★★
山地に多い。

う~ん、夏のカミキリです。今日は期待できるぞ~


この後、ハリギリの枯れ枝にナカジロサビカミキリを見つけるものの落としてしまう。
普通種だから特別惜しい存在ではないが、それ以降、カミキリのカの字も見当たらない。
周りの環境をジックリ見てみると、ツルアジサイもセリ科の花も殆ど終わっていた。
「どうしよう・・・」
折角なので、初めて来た土地を広く浅く探ってみることにした。

図面を見ながら、あれこれ悩んだ結果、対岸の林道に決めた。
しかし、その林道は道沿いの草が鬱蒼と生茂り、とても薄暗い。
とても、車を止めて歩くような雰囲気ではない。


しばらく車を進めると、河原に下りる道があった。
丁度、お昼だし、涼しげなので下りてみる。
と、そこは・・・





ん?良さげな流木が転がっている。
「飯食う前に軽く見てみるかぁ」的な気持ちで河原を歩く。

既に樹種が判別できない状態の流木がたくさんある。
河原に生えている樹木はヤナギ類とドロノキ、崖の上にはミズナラ、シナノキ、トドマツなど。
いずれにしてもカミキリの材として申し分ない。


早速、見られたのは・・・



ゴマフカミキリ[Mesosa japonica]★
各種広葉樹。土場に普通。
古めの材でも良くついている。



ハネビロハナカミキリ[Leptura latipennis]★★
各種広葉樹。札幌周辺ではあまり多くはない。
でも、ここは特別多かった。



トラハナムグリ[Trichius japonicus]★★★
飛ぶとマルハナバチ?に見える。
渇いた材で死んだ成虫と幼虫を得たことがある。
個人的には花に集まっているものより、材に止まっているものを見る事が多い。

撮影後、瞬時に飛んで逃げた・・・。



キスジトラカミキリ[Cyrtoclytus caproides]★
各種広葉樹。土場でよく見る。



大き目の黒いハナカミキリがこちらに向かってくる。
網を構える。
・・・「シュパッ!」



オオクロハナカミキリ[Macroleptura thoracica]★★
毎年見るが、数は少ない方かな?


少し離れた場所で緑色に光る物体。
「タマムシか?」



ハンノアオカミキリ[Eutetrapha chrysochloris]★

なん~だ、びっくりした。
綺麗だけど、普通種である。

軽く歩くつもりだったが、あまりに色々な昆虫が活動しているので、あっという間にPM2:00である。
他には、ヘリグロベニカミキリ、ミヤマクワガタ、スジクワガタ、シオカラトンボ、ギンヤンマ、オニヤンマ、ウスバキトンボ、カラスアゲハ、ヒメウスバシロチョウ、エゾシロチョウ、コムラサキ・・・などが見られた。
歩きづらい河原を大きく2週したので疲れてきた。

車に戻って、PM2:00過ぎの昼飯。
しかし、それも程々にし、再び流木めぐり・・・。
すると、さっきは何もいなかった木に初物のカミキリが・・・



クロヒラタカミキリ[Ropalopus signaticollis]★★★
全身ブラック。めちゃ格好イイ!。



これは嬉しい!人生初である。
ルリヒラタはいつも気にしてたが、こいつは全く意識していなかった。
初物であったが、名前は直ぐに出てきた。ホントに真っ黒である。

流木群を一通り見て、ハネビロハナ、クロハナ、ミヤマハンミョウなどを摘まみ、
先ほどのクロヒラタの流木に戻ってくると・・・



また居た!今度は2頭。
「へぇ~、凄いなぁ。何という木だろか?」



(手前の木がクロヒラタが集まった流木)


既にPM3:00を回った。「残念だが帰宅しないと・・・」
この河原を後にし、来た道を戻る。


途中、良さげなブドウ蔓。



「ビシッ、ビシッ!」
落ちてくるのはいつものアカネとシロオビチビヒタラである。
ネットの中のこれらを解放していると、これまた見慣れないカミキリが・・・



チャイロチビヒラタカミキリ[Phymatodes vandykei]★★★
ブドウ蔓につく。北海道では少ないようだ。


うひょ~、これも人生初!もう一度、叩いてみる。
・・・が、今度は何も落ちない。
さっきの打撃で全て落ちてしまったのだろうか?
とりあえずこの辺の木をひたすらビーティング。

この後、落ちてきた虫はヒトオビアラゲカミキリとハムシ・ゾウムシ類ぐらい。
目ぼしい物はヒラタクチキウマ(現在同定中)ぐらいであった。
この後、所々で寄り道採集したが、思うような結果は残せなかった。


しかし、当てもない場所で人生初を2種採集!
今日は満足であった。



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