入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

Ume氏の入笠 「冬」 番外編(3)

2014年11月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牧場の北門近くまで登ってくると、いつものように中ア、御嶽山、乗鞍岳、そして北アの白い峰々が目に飛び込んできた。大気は澄み渡り、張りつめ、今日も文句のない晴天であった。そこまで来ると抜けるような青い空の占める割合が格段に大きくなるが、さらに第1牧区や大沢山へ登れば視界の半分は、まさに蒼穹と呼ぶにふさわしい大きな青い空がかぶさるように見えて、まるでその中に立つようだった。

 今日も第2検査場の近くの罠に、大きな雌鹿がかかっていた。しかしすでに死んでいた。死臭もせず、どこの部位もいたんでいたり傷つけられた様子がないところを見れば、死後あまり時間は経っていない。ショック死だろう、それも朝方。
 同じ罠でつい4日前にも雌鹿を1頭捕獲したばかりだが、このときは止め刺しをしたから、血がかなり出た。現場があれだけ荒れるとしばらく鹿も警戒するだろうと思っていたが、そうでもなかったことになる。鹿の習性を語らせれば、まさに十人十色。我々人類と同じく、いろいろな鹿がいると言えばよいのか、はたまた鹿についての調査・研究がまだまだ足りないということなのか。

 調布第2団の田中隊長と、仕事上氏の指示や指導を受ける皆さん        Photo by Kanrinin

 やはり今回の3連休、ゴンドラ運休は整備のため止む得ないとしても、富士見町が入笠に至る道路を通行止めにしたことについては、いろいろな人から不満・批判が出た。沢入のゲートにでも、雪対策をした上で登るよう注意書きを設ければ、それで足りた話だろう。せっかく好天にも恵まれた今年最後の3連休、行政の側にも言い分はあるだろうが、やはり対応を誤ったとの批判は免れまい、民間の企業ではないのだから。それでも今日は、家族連れが幾組も沢入から徒歩で登ってきたし、関東方面からの車を伊那側で何台も見かけた。

 かんと氏TBI氏は、「天気予報がはずれてくれたお蔭で」よい天体写真が撮れたという。12月も道路の状況が許せば、新月〈22日)前後に来るとのこと。彼らに合わせてやってくれば、天文に関するいろいろな面白い話を聞きながら、冬の星空を楽しむことができる。

 山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては11月17日のブログをご覧ください。



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       Ume氏の入笠 「冬」 番外編(2)

2014年11月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 二日ぶりの入笠である。4月20日に仕事を始めてから、連続で休むということは一度もなかった。その仕事が終わったというのになおもやってきた。自分ながら呆れる。
 目の前の雪を被った北アの峰々を眺めながら、北原のお師匠を真似て「ここは本当にいつ来てもいい所だ」と言ってはみたが、妙に山の静まり返った様子が気になった。この時期いつもなら3連休ということもあり、猟師や登山客の車をもっと目にしてもよさそうなものなのに、出会わない。登山口にも登山者の車は1台も駐車されておらず、人影すらもない。今日のマナスル山荘は新館も、本館も営業しているようには全く見えない。そこで気付いた、富士見パノラマのゴンドラが止まっているのだろうと。加えて、11月に入って交通規制が解除された富士見側の道路は、早くも今度は冬季対策ですでに通行止めになってしまったに違いないとも。
 後で確認したら当たっていた。富士見パノラマリゾートの最も信頼できる人物K氏によれば、営業再開は12月6日からのようだ。しかしもう一方の通行止めになってしまった道路に関しては、来年の4月中旬くらいまでは見込めないだろう。ただし、茅野から杖突峠を経由して伊那側からなら、まだまだ車でも来ることができる。



 どこへ行ってみても山は静かだった。しかしその静けさの中には、これから本格的な冬を迎える緊張感が潜んでいた。白樺の樹幹の白さや、ところどころに見えていたモミや赤松の葉の緑が、かろうじて冬枯れの渋い茶系色が支配する森の暗さを救っていたが、とりわけその一画を占める白樺の林は、白い縦線となって何本もなんぼんもが葉を落とした木々の中で、その存在感を放っていた。
 大沢山まで登ってくると山並みのはるか遠くに、今日も噴煙を上げ続ける御嶽山が、薄青色をした冬空に見えていた。

 かんと氏TBI氏のご両人を置いて帰ってきてしまったが、寒さに耐えて二人はいまごろ無窮の星空を堪能しているだろうか。星空を見たいと言ってたあの人、あの人たちは、どこへ行ってしまったのだろう。明日も上がる。

 山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、11月17日のブログをご覧ください。
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       Ume氏の入笠 「冬」 番外(1)

2014年11月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


昨日もいつもの時間に目が覚めた。充分に覚醒しないながらも布団の中で「ああ、今日は行かなくていいんだ」と思うと同時に、弁当作りから解放された安堵感も味わった。7時ごろフラフラと起き出し、酒を1合熱燗にし、ビール500cc1本といつものように一緒に飲んだ。仕事も終わったのだから、このくらいのことは許されるだろうと。
 アルコールが入ったせいか空腹感も感じてきたので、FMZ君が送ってくれたお宝の鰻を食べることにした。牛さんに係る仕事をしているからという理由で、よほどのことがなければ牛肉は食べないようにしている。で、ステーキに匹敵する鰻にその代用となってもらうのだが、ありがたいことに先日、FMZ君が「寒冷地救援物資」といって酒4升とたくさんの鰻の蒲焼を送ってくれてあったのだ。適度の酒量と、過ぎたる朝飯に満足した。彼にはしてもらうばかりで・・・、今生は終わるようだ。嗚呼。
 その間に風呂が沸き、朝風呂と洒落た。そして可能な贅沢の最後は二度寝と決めて、再び布団にくるまると昼頃まで、とろけるような眠りに快感した。一度、近所の人が配りものを持ってきてくれたようだったが、とても起きていくことができず、引き戻されるようにまた深い眠りに落ちていった。



 昼過ぎ、7か月間放置してあった家の中の片付けを始めた。いつの間にたまったのか、捨てる物のあまりの多さに当惑し、ただただ途方に暮れるばかりで捗らず、かくして短い冬の一日が呆気なく終わった。
 そして今日、大量のごみを処分し、7か月働いてくれた軽トラをきれいにしてJAに返した。明日は二日ぶりの入笠へ自分の車で行く。

 山小屋「農協ハウス」の冬季営業につきましては、11月17日のブログをご覧ください。
 
 確かに、入笠のあの美しい景観や星空、自然が守られれば、不必要なまでの俗化は避けたいとの思いは強くあります。難しい問題です。TDS君ありがとう。HMTさんには12月東京で会えるので、上手く伝わるように話します。まあ、「喧嘩早い」と言われても仕方ないが、TDS君、君の挑発が上手すぎるのじゃあないですか。
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Ume氏の入笠 「冬」(4)

2014年11月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


さて、何を書いてみようか・・・。牧を閉じる寂しさと安堵の気持ちを同時に味わいつつ、今日は記憶に残る懐かしい牛たちの写真でも掲載しようと考えていた。それが雑事ばかりに追われようやくPCに向かえば、「問題が生じました」などという表示が出てはその都度画面が消え、すでに一方的な再起動を2回もやられた。気の削がれること甚大。
 昨日書いたようにまだやり残したこともあり、これで牧場との縁が切れるわけではない。週末、そして来週の水曜日にも立ち会いの仕事が決まっている。契約期間が満了した後も幾度も上がってくることになるので、下では「趣味」だとか「喜んでやっている」と思っているようだ。

 


 朝、山室川の谷でUme氏に追いつかれた。氏の所属する写真集団の山岳写真展の案内がてら、骨折りの日々をねぎらいに来てくれたのだ。その際、今日のような味のある写真を残していってくれた。まだまだ、Ume氏の入笠の冬の写真は多数あるし、仕事が完全に終了したわけではないのでブログはしばらく続けたい。というわけで、今日の内容も特別なものにせず淡々と済ませたい。
 
 第2検査場で捕獲した鹿の処分をしようとしていたところへ、北原のお師匠も来てくれた。そして二人して第1牧区へ登ってみると、口癖の「ここはいつきても本当によいところだ」を何度か独り言ち、御嶽山のまだ止まぬ噴煙を遠望しながら「あんなに熱が出たら地球が冷えてしまわないか」などと冗談のようなことを言って笑わせてくれた。

 F/C Nさん、仙流荘から北沢峠に登るバスを、何台か入笠に振り向けるという案はどうですか。そして小黒川林道は許可車両以外は通行止めにしてしまうのです。新緑のころ、夏の一時期、そして秋のご存知紅葉狩のころだけでも実現できたら、素晴らしい観光ルートになるのではないですか。もちろん、道路の整備や保守が大変でしょうが、機会があったらエライ人に囁いてくれませんか。
 アラフォウAさん、いらっしゃい。お仲間と計画が立ったら、問い合わせてください。1月半ばまでは、車でかなり上まで来ることができるので、いろいろな対応が可能です。

 いつの間にか外は真っ暗になっている。早く帰ってまた今夜も一人鍋で乾杯、そして大酌。今日一日を祝い、7か月の仕事が一応終了したことを寿ぎ。

 山小屋「農協ハウス」の冬季営業については11月17日のブログをご覧ください。 
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Ume氏の入笠 「冬」 (3)

2014年11月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  中央アルプス主峰「西駒ヶ岳」と「伊那谷」

 昨夜雪が降ったようで、登ってくる途中日蔭に雪がうっすらと残っていた。ツルツルタイヤでは、ちょっと加速したりブレーキを踏むと面白いように滑る。いっそのこと、もう少し積雪があれば、わずかに残っているタイヤの溝が雪を噛んで、制動効果も上がるだろうが。
 それにしてもこの軽トラック、今年もよく仕えてくれた。毎日まいにち、明けても暮れても、故障もせず、道路はもちろんだが山の中、草の原、坂道や泥濘まで、一番身辺にいて支えてくれた。日に80キロ、90キロと走るから、走行距離も10万キロにあと少しだ。

 明日で7か月間の仕事に一応の区切りがつき、終わる。しかし、まだ第1牧区の電気牧柵は冬対策を終えていないし、冬期間流し続けなければならない水取り入れ口からの水流がどこかで止まってしまっている。罠もまだそのままにしてある。
 先日の撮影立ち会いの間に大沢山に登れば、100頭近い鹿がいた。また、電気牧柵には7500ボルトの電気を流しているというのに、第1牧区にも同じくらいの頭数の鹿がいた。とてもではないが今、通電を止めることはできない。冬対策のためにリボンワイヤーを落とすのは、もう少し先へ延ばすしかないだろう。
 鹿対策については、いろいろな努力が関係機関で行われていることは知っている。しかしここ入笠牧場に関しては、移動可能な大型囲い罠の設置に尽きる、と断言してもよい。それほどの予算はいらないのだからぜひともこれをやるよう、行政などに働きかけてみたい。これまでに300頭以上の捕獲に成功した現在の固定式の囲い罠は、当然鹿も学習するのだろう、捕獲頭数は初期のようにはいかなくなっている。


  北アルプス名峰「穂高岳」、「槍ヶ岳」

 今週末、また3連休が来る。ちょうど新月に当たり、かんと氏やTBI氏を始めとして天文ファンの期待は大きいと思うが、天気予報では生憎なことに天気はイマイチ。一応それでも小屋を開けるため、登ってくる予定。天気予報についてここで何事か書くと叱る人がいるので、控えておきたい。クク。

 冬の山小屋「農協ハウス」の営業に関しましては昨日、11月17日、のブログをご覧ください。ブログ「海のおうち山のおうち」のchiyさまのご支援、感謝にたえません。今年もxx骨に鞭打ちスキーやりますかね。
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