医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

取手の人々

2014-10-19 06:06:15 | 創作欄
スナック「絆」は午後1時から6時まではカラオケ店であり、午後7時から午後12時まではスナックになる。
銀司は午後2時に「絆」姿を見せた。
1000円で歌い放題、コーヒが出る。
アルコール類は別途料金である。
常連の男性は3人ほど、女性客は7、8人である。
夫婦で来る客もいる。
「いいわね。旦那さんが居て」と倉持美沙子が、鈴木夫妻を羨む。
美沙子は3年前に夫をがんで亡くしていた。
亡くなった夫の清は千葉大学工学部を出て大手企業の部長であり、52歳の働き盛りであった。
美沙子は1昨日の午前1時に胸が苦しくなり、近くのマンショに住む銀司に助けを求めた。
過去3回、救急車を呼んでおり、躊躇したのだ。
「胸が苦しくて、死ぬのではないかしら、苦しくて不安で怖くて、お願い病院に連れていってね」緊迫した美沙子の電話の声に銀司の眠気も吹き飛んだ。
銀司は半分寝ながらCSテレビの洋画を観ていた。
テレビも蛍光灯もそのままで朝を迎えることが多かった。
妻の雪絵に「消して寝てよ。まったく電気のムダね!」と叱られたものだが、叱った主は仏壇に収まっている。
銀司は車で医師会病院へ美沙子を連れて行った。
心筋梗塞を心配したが心電図は正常であった。
研修医らしい若い医師は「心配いりませんよ。脱水気味だと思います。ミネラルウォーターをコンビニで買って飲むといいですよ」とアドバイスをした。
青ざめていた美沙子は安堵してうなずいた。
「銀司さんには迷惑かけたわね。救急車で来なくて良かった」
腕時計を確認すると午前2時であった。
10月の半ばであったが冷え込んでいたので銀司は暖房で車内を温めた。
「いざとなった時、頼れる人が居て良かったわ」コンビニでミネラルウォーターを買って美沙子は飲み、銀司にはコーヒーを手渡しながら「迷惑をお掛けしたわ」と頭を下げた。

行方市 霞ヶ浦の帆引き船

2014-10-19 05:24:39 | 社会問題・生活
font color="green">いばらき
魅力再発見
かつての風物詩 観光用に


ワカサギ漁やシラウオ漁に活躍し「かつての風物詩」と言われた霞ヶ浦の帆引き船。
しかし、動力船を使ったトロール漁に取り変わられ、伝統漁はいつしか姿を消す。
行方市は1994年、水辺の賑わいを取り戻すシンボルとして、観光帆引き船事業を開始した。
運行している観光用帆引き船は長さ10㍍、幅2㍍の木造船。
船中央部に高さ11㍍の竹の帆柱を立て、船を並行する帆桁にナイロン製の帆(縦10㍍、横14㍍)を張っている。
随伴する見学船から観光客は帆引き船を眺める。
帆引き船は1970年代半ばころまで霞ヶ浦や北浦で活躍。
当時は帆引き船で生計を立て、いまは観光用帆引き船
に乗っている高橋正三さん(81)「漁は風任せ。雲の流れを読んで帆を調整する」と当時を振り返る。