小出裕章さんの見解を了解を得て、掲載します。
これは、毎週金曜日に行われている金曜ウォーク(午後6時宇部市役所前集合~)で配布されました。
いのち・未来うべ 「考える素材」第44号 2022年3月25日
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戦争そのものの廃絶へ
ロシアのウクライナ侵攻への小出裕章さんの見解
(小出さんの知人へのメッセージを小出さんの了解を得てコピーします。)
私は国家による軍隊保有そのものに反対なので、今回のロシアによるウクライナへの武力攻撃は、もとより反対です。
その上、原発に攻撃を仕掛けるなど、さすがに戦争の狂気の中でしかできないことでしょう。
ザポロジエ原発への攻撃については、知人たちからたくさんの問い合わせを受けたので、昨日(3月4日)以下の文章を知人たちに送りました。
私には、ネットで流れている以上の情報がありません。
その範囲で、今、思うことは以下です。
攻撃を受けたという原発はザポロジエ(Zaporizhzhia)原発です。
6基の100万kWのVVER(ロシア型加圧水型炉)が操業中でした。
合計出力600万kWはヨーロッパ最大の原発です。
ウクライナにはほかに3カ所に原発があり、合計15基の原発が操業中です。
ウクライナでの電力の40%から50%は原発依存でしたし、ザポロジエ原発はウクライナの全電力の20%程度を受け持っていたようです。
その原発へのロシアの攻撃ですが、被弾したのは敷地外の訓練施設のようで、今現在は、大きな危険ではないと思います。
ロシアが軍の正式命令としてこの原発を破壊することは多分ないと思います。
なぜなら、そんなことをすれば、ロシア自体が甚大な放射能汚染を受けるからです。
でも、ウクライナのライフラインを停止させることは軍事的な意味があるはずです。
チェルノブイリ原発には4基の原発がありましたが、すでに4基とも停止しており、この原発を占領することには何のメリットもないはずです。
実際に占領したのは、チェルノブイリ原発がベラルーシからキエフに侵攻する通り道にあるからでしょう。
ザポロジエ原発も今後ロシア軍に占領される可能性は大いにあると思います。
でも、原子炉自体が破壊される可能性は、小さいのではないかと私は思います。
そのため、日本にいる私たちが直ちに被曝防御の行動をとる必要もないと思います。
でも、戦争が続いている間は何が起きるか予測ができません。
一刻も早くロシアの武力攻撃をやめさせたいと思います。
戦争で苦しめられるのは誰よりも庶民です。
でも、日本国内では、「ほら見ろ、プーチンのような奴が攻めてきたらどうする?」「軍備を強化しなければいけない」、アベさんに至っては「核兵器の共同所有」まで言い出しました。
ドイツでは再軍備の意見が一挙に高まっているようです。
でも本当に必要なことは、軍備を拡張することではなく、戦争そのものを廃絶することです。
冷戦の遺物であるNATOが温存され、ロシアに圧力をかけ続けてきたことが今回のロシアの武力攻撃の根っこにあります。
NATOを解体し、戦争を減らしていく方向にこそ、行くべきと思います。
2022/3/5 小出 裕章
参考 ネットのラジオで小出さんの声を聞くことができます。
西谷文和 路上のラジオ 第82回
小出裕章さん 「チュルノブイリ占拠、ザポリージャ原発爆撃についての緊急提言」
https://www.youtube.com/watch?v=-uMBB8V3h6U