いのち・未来 うべ

わたしたちは、原発のない安全な未来を
子どもたちに残すことを願って活動しています

熊本一規さんオンライン講演会の要旨。7月3日。

2021年08月03日 | 上関白紙撤回

8月5日追記
熊本一規さん講演会の動画は、下記へアップしました。

参照・活用ください。

https://www.youtube.com/watch?v=PZN52Cq31uM

~~~~~~

 

7月3日にいのち・未来うべ主催の第3回オンライン学習会が開かれ、熊本一規さんに講演していただきました。

その要旨を自らまとめて「たんぽぽ舎メールマガジン」に掲載しています。
以下、転載します。

なお、当日のレジュメは、熊本さんのホームページにアップされています。

活用ください。また、当日の録画は、近日配信します。

なお、金曜ウォーク@宇部でも、資料として配布しました。

 

 

      民の権利に徹する

                         熊本 一規

 ◎ 中国電力は、6月29日から田ノ浦海域に来てボーリング調査のため の準備測量を始めようとしましたが、一昨年、昨年と同様、祝島漁民に 協力依頼を断られて、スゴスゴと帰るだけを繰り返しています(7月2 日以降は田ノ浦海域に来ることも休んでいます)。 これでは、7月7日から始めるとしているボーリング調査もできる はずがありません。 

◎ 一般海域占用許可が出ているのに、なぜ測量もボーリング調査も できないのか。

 理由は簡単です、「事業者と公の関係(公民の関係)」で占用許可を 得ていても、「事業者と民の関係(民民の関係)」で民の同意を得ない 限り、事業は実施できないからです。 「公民の関係」では、山口県はゴマカシをして占用許可を出していま す。自由漁業の権利者には補償が必要とされている(「公共用地の取得 に伴う損失補償基準要綱」*1に規定されています)のですが、占用 許可に必要な「利害関係人の同意」の「利害関係人」に「自由漁業の 権利者」を含めずに占用許可を出しているのです。

 補償が必要な者を 「利害関係人」に含めないとは、常識で考えてもおかしなことです。 

◎ 山口県は、「利害関係人」は「排他独占的権利の権利者に限る」 として、共同漁業権の権利者(免許を受けている山口県漁協)の同意 だけでよいとのゴマカシをしているのです(山口県だけでなく、 おそらく全国で同じゴマカシをしていると思われます)。 私がそのゴマカシを指摘し、水産庁も私見に同意しているのですが、 山口県は「条例をそのように運用してきた」と言い張って、ゴマカシを 続けています。 しかし、「公民の関係」ではゴマカシを押し通しても、 「民民の関係」で、祝島漁民に補償し、その同意を得なければ事業は できません。

 ◎ 「民の権利」はなぜそれほど強いのか。

 それは、民が生活の糧 として営みを続けてきたからです。権利とは、公から与えられるもの だけでなく、民によって創り出される権利もあるのです。民の営みが 続くことは、それほど重たいことなのです。 公共事業が計画されると、住民は「公民の関係」を重視し、免許や 許可や認可を出させまいとしたり、出されれば訴訟等で取り消そうと したり、といった努力を重ねます。 しかし、日本での「公民の関係」は、仲間内のズブズブの関係なの で、ほとんど成果をあ

げられず、住民が疲れ切って敗北する事例が跡を 絶ちません。  
 住民が公共事業に抗するには、「公民の関係」でなく「民民の関係」 を重視することが大事です。何も特別なことをする必要はなく、ただ 日々の営みを続けていればよいのです。 
 そうしていれば、事業者は、今の田ノ浦海域のように、頭を下げて 協力依頼をせざるを得なくなります。 そのときに「ノー」と言いさえすればよいのです。

 ◎ 7月3日、山口県宇部市のNGO「いのち・未来・うべ主催の オンライン学習会が開かれ、「上関原発と漁業権」と題して上記の 主旨の報告をしました。

 学習会に参加された家中茂氏(鳥取大学, 1990年代に石垣島の石垣新 空港問題に共に取り組みました)が、その後送って下さったメールに、 報告を聞きながら鶴見俊輔氏が「民」に徹底することが重要で、その 徹底ができれば戦前のような国の横暴が通らない、といったことを 書いていたことを思い浮かべた、と書かれていましたが、おそらく 通底するものがあると思います。 

 権利者が自らの権利を自覚するとともに「民」に徹し日々の営みを 続けること、支援者は権利者の営みを支えること。これが権力に抗する うえでの秘訣だと思います。 

注 1.「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」は、憲法29条の「正当 な補償」の基準になるものとして昭和37年に閣議決定された要綱で、 公共事業の事業者(電力会社も含む)は、それぞれ同要綱に基づき 「損失補償基準」を作っています。 
2.報告の際に使用したパワーポイントは私のホームページ ( http://kumamoto84.net )に掲載しています。 

                 

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