こうなったら早く総選挙を・・・

　リーマンの破綻による金融危機、社保庁職員による年金記録の改ざん、事故米問題で事務次官が辞任し、失言続きの太田農水省もとうとう辞表を提出。めまぐるしく変わる世情に、国民の関心は総裁選どころではなくなっている。もともと投票権のない選挙だけにしらけムードといわれていたが、最近はメディアの取り上げ方にもとんと盛り上りが見られない。
　最初から決まっていたも同然の総裁選だ。こんな大事な時期に茶番を繰り返し、いつまで国会を空転させるのだろうか。昨日は東に今日は西と、どうでもいい街頭演説で全国行脚をつづける５候補者のお気楽さ、こんな国って他にあるだろうか。国民の生活は日に日に危うくなっているのである。早いとこ総理を決めて臨時国会を開き、解散・総選挙と、一日も早く国会を正常に戻してもらいたい。
　今日の新聞に、次期衆院選を「１０月２６日」に前倒しすべきだとの声が自民党内で強まってきたとある。汚染米不正転売問題や年金記録問題などで野党に国会追及の場を与えないのが狙いだとか。だが、首相就任が確実だといわれている麻生幹事長は補正予算案を成立させた上でという考えでこの日程には同意していないというが、どうせ補正予算案が成立しなかったら解散するのだから、一日でも時を無駄に費やしてほしくない。

　１７日付の米ニューヨーク・タイムズ紙におもしろい記事があった。
　『自民党総裁選について、米大統領選の民主党候補バラク・オバマ上院議員が対立候補の唱える「変革」を見せかけだと批判した際に使った「口紅つけても豚は豚」という言葉を引き合いに、「日本では自民党がこれとほとんど同じことをやろうとしていると言われている」とやゆしたという』。「口紅つけても豚は豚」とはおもしろい。が、他国からこのようにやゆされて、政治家たちは恥ずかしいとは思わないのか。

　一方、民主党は、小沢代表が次期衆院選で東京都内などへの選挙区替えをするとか。また、公認候補の人選にあちこち飛び回っているようであるが、またぞろ知名度の高い人物を公認して国民の関心を得ようとしている。一時は、元マラソンのメダリスト・有森裕子さんや元ヤクルト監督の古田敦也さんの名前まで挙がっていたが、その後どうなったかはしらない。
　しかし昨日の、薬害肝炎九州訴訟原告の福田衣里子さん（２７）が民主党公認で長崎２区に立候補するというニュースには驚いた。福田さんがどういう経歴か、どれほどの政治的知識・能力をお持ちか、政治家たる見識がある人かどうか、何も知らない。薬害肝炎訴訟に実名を公表して活動し、今年１月、超党派による薬害肝炎被害者救済法成立に貢献したということだけで、多分小沢さんに口説かれて神輿に乗せられたのであろう。だが彼女は、「肝炎問題はまだ解決していない。政治の力で救える命はある」と決断したとあるが、薬害の被害者は肝炎患者だけではないことを忘れてもらっては困る。
　長崎２区には自民党の久間章生元防衛相も立候補する予定だそうだ。このお方も口が災いして辞任した人であるが、政治を知る経験からいえば福田さんなど足元にも及ぶまい。だが、国民がどう判断するかである。政権交代を望むとすれば民主党候補に１票を投じるかもしれない。だが、彼女に一体何ができるのであろうか。東国原知事のようにお笑い芸人出身とはいえ、政治学を勉強し、政治に対する知識、おのれの信条はそんじょそこらの議員をはるかに凌駕している。こういう人なら新しい風として大いに歓迎する。
　だいたい、民主党だけではなく自民党をはじめどこの党でもそうだが、知名度が高ければ誰でもいいという、こんな安易な人選はいい加減にやめてもらいたい。こんな選挙で、今のこの最大の危機が乗り切れるわけがなかろう。今までなら知名度さえ高ければ大量に票が集まったものだが、そうそう国民もバカではない。こんどばかりは国民も１票の重さを真剣に考えているはずである。
　議員削減が叫ばれている折でもある。与野党共に少数精鋭を前提に、将来を見据えて有能な新人を発掘してもらいたい。そうでなくては現存する古狸が大きな顔をしている時代が続く限り、日本は何も変わりはしないだろうから…。