猛威を振るう新型コロナウイルスは、現在も終息の気配がない。もう誰にも止められないのか。強気の姿勢を崩さなかった米国のトランプ大統領も13日、とうとう国家非常事態を宣言した。
また16日、「感染拡大は7月か8月、もしくはもっと続く可能性もある」とのトランプ大統領の発言から、感染拡大による景気悪化に対する懸念を強め、株式市場は大荒れとなった。昔から「米国がくしゃみをすると日本は風邪を引く」と言われてきたが、今や風邪どころか重症の肺炎を罹患したかのようである。
いつになったら終息するのか。昨今、感染源を巡って米中間では貿易戦争に加えてウイルス戦争が起こっているらしい。ならば、どちらが先にワクチン開発に成功するか、国家の威信をかけて争ってくれればいいのに…ネ。
この新型コロナウイルスは非常に厄介なウイルスらしい。先日、わが購読紙に「新型コロナ感染症」について、岡山・川崎医科大学の齊藤教授が分かりやすく解説していた。専門的な難しいことは知らなくても、おおよそのことは知っておくべきだろうと思う。(一部抜粋)
①ウイルスって生物ですか?
学術的にはウイルスは生物とはみなせない。生物と同様の遺伝子はもっているが、自分だけでは増殖できないからである。私たちの体の細胞はもちろん、微生物の最近は真菌(キノコやカビなど)にも細胞膜があり、内部に遺伝子やタンパク質を作る工場をもつが、ウイルスにはそうした構造はない。ウイルスは他の生物の細胞にとりつき、その“生産工場”を乗っ取って自分の遺伝子やタンパク質をコピーし、増殖していく。極めて巧みな寄生戦略といえる。下図はウイルス増殖のイメージである。
②なぜ発熱や呼吸器の症状が起こるの?
ウイルスに乗っ取られた細胞は、勝手に“生産工場”を使われ、タンパク質などを大量に合成されることで、大きなストレスがかかる。また増殖したウイルスが出ていく時、とりついた宿主の細胞膜を引きはがし自分の膜にしてしまう。呼吸器にある多数の細胞が乗っ取られ、破壊されるとせきや発熱、肺炎が起きてしまう。
③マスクでウイルスの侵入を防げるか?
ウイルスは細胞や細菌と比べて桁違いに小さく、新型コロナウイルスなどは細胞の100分の1くらいである。一般的なマスクのフィルターは花粉は防げるが、ウイルスは隙間から容易に侵入する。
マスクは基本的に、感染者がウイルスの混じった唾液やたんを飛び散らさないためのもの。新型コロナウイルスは無症状の感染者もいるとされ、気付かないうちにウイルスを排出する危険性があるので、マスクを着ける合理性はある。
④細菌ではないけれど、アルコール除菌は効果があるか?
コロナウイルスの膜は脂質でできており、アルコールに溶ける。アルコール除菌剤などで膜を失ったウイルスは感染力がなくなる。ノロウイルスなど膜を持たない種類では、通常のアルコールはあまり効果がない。
除菌剤を使わなくても、生体の外にいるウイルスは、時間の経過とともに感染力を失う。インフルエンザは2~8時間くらい、コロナウイルスはそれより長く、2日間程度活性があるとされているが、新型についてはよく分かっていない。
⑤新型コロナウイルスは空気感染しないというが、換気する意味はあるの?
新型コロナウイルスの主な感染経路の一つは、唾液などが霧のように微小な水滴になった「飛沫」だ。空気感染とは異なるが、飛沫も空気中で少しの距離を浮遊してから落下する。集団感染例を分析して「換気の悪い密閉空間」の危険性が指摘されており、換気しないよりした方がはるかによい。
⑥新型コロナウイルスは根絶できるか?
ウイルス感染から回復したり、ワクチンの接種によって免疫を獲得したりする人が増えていけば、やがて集団の多数の人が免疫を持つようになる。例えば、あるウイルスが1人の感染者から3人にうつす力があるとして、3人のうち2人が免疫で防御できれば1人しか感染しない。つまり、感染の拡大が抑制される。こういった状態を「集団免疫」といい、大規模な流行は止まり、症状の軽症化も期待できる。
新型コロナウイルスが根絶できるかどうかはこれからの取り組みにかかっているが、感染しても無症状の人がおおければ、完全に封じ込めることは難しい。将来的には「新たな風邪ウイルス」の仲間として付き合っていくことになるかもしれない。
結局は、1日も早くワクチン開発の成功を待つしかないということだろう。果たしていつになるのか、朗報が待ち遠しいね。
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