つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

“憂国の士”は神戸海上保安官だった!・・・

2010-11-11 | やりきれません
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突の映像流出事件の“犯人”が自分から名乗り出たという。“犯人”というには少々気の毒だが、海保が容疑者不詳で刑事告訴しているのだから、いずれ逮捕され犯人となるだろう。この“犯人”について、巷では英雄視する声も聞かれるそうだが、公務員という立場を考えれば懲罰の対象になっても仕方のないことである。
 詳しいことはまだ明らかにされていないが、読売テレビの取材に応じた保安官は、1日に一部の国会議員だけに7分程度の映像が公開されたことに危機感を募らせ、「このままでは国民がこの映像を見る機会を失う」と決断した理由を話したという。さらに、動機について、「あれを隠していいのか。私がこういう行為に及ばなければ、闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまうのではないか」と…。映像にアクセスした状況は、「海上保安官であれば、見ようと思えばいつでも見られる状況にあった。国家機密という扱いには全くなっていなかった」と延べ、「同僚や上司には大変申し訳ない。職を失うことは覚悟している。倫理に反するものであれば甘んじて罰を受ける」とも語ったという。

 やはり“憂国の士”であったのか。保安官の釈明を聞けば、それなりに覚悟の上での所業であることは分かる。が、こういうやり方は賢明ではない。今朝のテレ朝の番組で、ジャーナリストの鳥越氏も言っていたが、一般的に、テレビ・新聞が「独占スクープ情報」、「独占入手」として発信しているニュースのほとんどはリーク情報によるものであるという。各メディアはそのリーク情報を公表すべきものであるかどうか判断の上、放送するのであるが、そこには、国民の知る権利に応えるための「報道の自由」という大義名分があり、罪に問われることはない。しかし、今回のように一個人が通信メディアを使って公表した場合は「内部告発」ということで、それが公務員ともなれば刑事告訴は免れないようである。この保安官もテレビ・新聞に匿名で映像を送っていれば、情報源は明かさないという取材の鉄則から、案外、ばれずにすんだかもしれないのに…。

 ここまで事が大きくなったのは政府の責任で、この“憂国の士”1人を処分しても問題解決とはならないのではと思う。なぜこの映像を公開しなかったのか、日中間の外交カードとして温存しておきたかったのか、政府がその理由を明らかにしない限り、野党の追及は収まらないだろうし、そうしなければ“憂国の士”に対する処分もしにくくなりはしないだろうか。
 しかし、中国が意外と静かなのが不気味である。映像を見て船長の行動に非があると認め、頭の上を嵐が通り過ぎるのを待っているのだろうか。それならばいいのだが、今朝の新聞に、オバマ大統領が「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だ」と対外的に公言するよう決定したというニュースがあった。これまで米国は中国に配慮して明言しない方針だったが、レアアースの輸出規制をきっかけに、中国の強硬路線に対し対抗姿勢を明確にする狙いだという。これでまた、日中、米中関係がややこしくなりはしないか。菅首相も頭の痛いことであろう。あれやこれやで批判の的になっている菅首相だが、総理である限りはどうでも踏ん張ってもらわねばなるまい。決して、「辞ーめた」なんて、言わないでくださいよ。 
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2 コメント

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おはようございます (おくだっち)
2010-11-12 08:26:52
処分は止む終えないでしょうね。

でもこの流出に関して、例えば私の会社のセキュリティーシステムから考えれば、実はありえないことなのです。

わが社では、共用であれ個人用であれPCにデータを入れた時点で暗号化され、持ち出しファイルにパスワード設定を管理者にしてもらわないと外には絶対持ち出せない、持ち出しても開かないシステムとなっています。

一般企業でやっていることが、情報機密に関して厳重でなければいけない保安庁などでされてないとすると、まことにお粗末なことです。
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Unknown (オールドレディー)
2010-11-12 09:44:26
♠おくだっちさま
この保安官1人だけの仕業ではないような気がしますね。

なかなか逮捕に至らないのは世論を見極めてというのもあるのでしょうか。でも、「内部告発」の名のもとに何でも公表が容認されるようでは、それこそ世の中がひっくり返るようなことも出てくるかもしれません。

やはり公務員である限り規律は守るべきだと思います。

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