片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

6/12 林真理子『李王家の縁談』読了

2024-06-12 10:57:38 | 読書

 梨本宮の伊都子妃が第一王女子方子(まさこ)を朝鮮の李王家李王世子垠に嫁がせる工作をするところから始まる。伊都子が残した日記をベースに話を膨らませたようだ。

梨本宮家は明治になってできた宮家で当主守正は二代目、伊都子との間には二人の女子しかおらず、宮家の婿養子は認められていないので守正が最後で家は終わる。

方子は後の昭和天皇裕仁の妃候補だったが、大正天皇の貞明皇后が反対で成立しなかったようだ。理由は新婚の大正天皇が鍋島家の姫だったころの伊都子が気に入りえらく執着していた。これが不快だった貞明が首肯しなかったとされている。伊都子はこのためなんとしても天皇家に次ぐほどの家系に嫁がせたいと考え、李王家の垠が候補に挙がった。娘の幸せのためなどと言いながら、己の見栄と満足を追い求めていく母親像だ。

 方子を嫁がせ、妹の縁談もまとめ、李垠の少し精神障害のある妹も嫁がせる。家柄だとか格だとか彼女のこだわりが描かれる。

彼女ほど高貴な出ならもう少し上品であったのではないかと思われるが母親なるものは上も下もそれほど違いがないのだろうか。

 方子の最初の子、生まれたばかりの晋を連れて朝鮮に滞在した時晋が毒殺される。このことは方子にとって大きなショックであった。私の祖父は当時李王職で方子たちの近くで勤めていた。同じ年に父が生まれたことも方子は知っていて、よく子供の様子を尋ねられたという。できるだけ子供の話題にならないように祖父は気を使っていたと聞いている。

昭和に入って一年以上のヨーロッパ歴訪から帰国した李王垠と方子、右から二人目に祖父の顔。

 

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