安東伸昭ブログ

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飼料米“誘導”を問題視 転作助成で財政審

2018年04月26日 | 農林業
平成30年4月26日 日本農業新聞

 今後の動向が気になる記事です。
全国一律 見直し提言
 飼料米“誘導”を問題視 転作助成で財政審

財務省の審議会が25日、米政策の見直しで提言をまとめた。
飼料用米に対して国が全国一律に措置する助成金について、飼料用米による転作を過度に誘導していると課題を提起。
野菜や麦など需要がある作物の増産が各産地で進むよう、飼料用米を含む転作作物の助成単価について、都道府県が決められる仕組みを検討するよう求めた。
財務相の諮問機関の財政制度等審議会が、同日の会合でまとめた。


提言では、農水省が水田活用直接支払交付金で措置する、飼料用米への10アール最大10万5000円の数量払いなど、全国一律の助成金について、産地の適地適作を阻害しているとした。
例えば、飼料用米は茨城県や栃木県などで作付けが多いが、こうした消費地に近い産地は、本来ならば野菜の生産に適していると問題視。
飼料作物でも特に畜産県では、飼料用米より生産費が低いトウモロコシを伸ばすべきだと指摘した。

 その上で、都道府県が産地の特性を踏まえた転作の計画を作り、計画達成へ、国の交付金を元手に、自ら転作作物の助成単価を決められるようにすることが必要だと提言。
野菜や飼料用トウモロコシをはじめ、供給不足状態にある麦などを、都道府県の裁量で伸ばすことができる助成体系の検討を求めている。

 主食用米でも、飼料用米への転換を主因に生産量が減り、価格が上昇している点を懸念。
多収品種の導入で生産費を削減し、業務用や輸出用米の需要に積極的に対応するよう求めた。
野菜や麦による転作を拡大するため、排水施設の整備など水田の畑地化を推進することも提言した。

同審議会は2016年には飼料用米の助成単価の削減を提言しており、今回も飼料用米への財政支出に引き続き厳しい目を向けている状況だ。
一方で主食用米は、今年産から産地主体の需給調整に転換したばかりで、需給安定には、飼料用米をはじめ転作作物への転換を着実に進めることが不可欠。
転作の助成制度の見直しには慎重な対応が求められる。

<解説> 単価下げ 懸念なお
 財務省の財政制度等審議会が25日に出した米政策に関する提言は、懸念されていた飼料用米助成の単価引き下げには直接触れなかった。
だが、飼料用米助成が手厚過ぎるという強い問題意識がにじみ、近い将来、引き下げに切り込んでくる懸念はくすぶっている。

 提言では飼料用米の問題点を指摘する記述が目立った。
同省は試算により、米の販売収入に占める国の交付金の割合が、他の作物に比べて高いと指摘。
特に交付金が手厚い飼料用米では、最大6割弱に上ると強調した。
米価変動リスクが小さい飼料用米に生産が集中し、業務用米を中心に主食用米の価格上昇を招き、消費者がしわ寄せを受けているとしている。

 提言の結論では全国一律の単価を改めるよう求め、単価引き下げには直接言及しなかった。
今年度は米政策改革の初年度で、これを乗り切るのが政権の至上命題。
厳しい提言を出し、生産現場に混乱が広がるのを避ける思惑があるとみられる。

 転作をけん引してきた飼料用米の単価が引き下げられれば、生産が失速し、順調な生産調整に水を差す。
政府が閣議決定した食料・農業・農村基本計画では、飼料用米を110万トンに増やす目標を掲げ、必要な支援を行うと約束しており、これにも反する。

だが、今回の提言を見る限り、同省が依然、飼料用米の単価引き下げに照準を合わせていることは明らかだ。
実際に一昨年の財政審では、飼料用米の支援引き下げを求める提言を出した。
今後の予算編成に、引き続き目を光らせる必要がある状況に変わりはない。

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