安東伸昭ブログ

安東伸昭の行動日記

都道府県財政課長・市町村担当課長会議

2019年12月27日 | 地方自治
令和元年12月27日 iJAMP

林崎理総務省自治財政局長の発言要旨
都道府県財政課長・市町村担当課長会議

本日は新年度に向けて予算編成作業をはじめとした準備で忙しい中、参集していただきありがとうございます。
来年度の地方財政運営上の重要な留意点について伝えるので、しっかり聞いてもらいたい。

 まず、最初に2019年度の地方財政対策についてだ。
課題としては、一般財源総額の確保、とりわけ地方交付税総額の確保、それから臨時財政対策債を抑制すること、また幼児教育無償化等の新たな政策にかかる財源を確保すること、さらに頻発する災害によりさまざまな被害が生じているので、そういった災害に対応できるよう、防災減災対策を充実・強化することが課題だと考えた。

その中で一般財源総額についてだが、前年度から0.6兆円増となる62.7兆円を確保できることとなった。
地方税が増収基調という中で、地方交付税も前年度を0.2兆円上回る16.2兆円を確保でき、12年度以来7年ぶりの増額となったわけだ。

 こういった財政環境を背景に、臨時財政対策債の発行額は前年度から0.7兆円減の3.3兆円と大幅に抑制することができた。
また、地方の財源不足についても6.2兆円から4.4兆円に縮小し、いわゆる折半対象の財源不足について08年度以来、11年ぶりに解消することができた。
地方財政の健全化は一定程度進めることができたと考えている。

次に個別の課題だが、
まず幼児教育の無償化についてだ。
全国市長会をはじめ地方側からいろいろ意見をもらったが、関係府省と地方3団体の代表者による協議を経て、国と地方の負担割合等について合意できたところだ。
幼児教育無償化の実施に必要となる財源については、地方の負担軽減にも配慮しつつ、国と地方で適切な役割分担をすることを基本として国と地方の消費税の増収分を活用することにより確保することとなったわけだが、具体的には、国の負担割合を引き上げる方向で見直した上で、19年度については地方消費税の増収分が収入として入るまでタイムラグがあるので、わずかとなる。
そのため臨時交付金を創設し、地方負担分も全額国費で対応することとしている。

 その事務費についても20年度までの間、全額国費で対応するとともに、特に新たに対象となる認可外保育施設等も、23年度までの間、国費で対応することにした。
なお、その後、実施の2年目に入る20年度以降についても、マクロでは地方財政計画に地方負担の全額を計上し、一般財源を増額確保した上で、ミクロの個々の地方団体の負担分について交付税の算定だが、全額を基準財政需要額に算入し、そして地方消費税の増収分の全額を基準財政収入額に算入し算定する方針だ。これにより各地方団体の財政運営に支障が生じないよう対応することにする。

 各地方団体は、これらの措置が講じられることを踏まえ、今年10月からの無償化の開始に向けて、苦労は多いと思うが、事務の実施、予算の対応についてしっかり取り組んでもらいたい。
なお今回の無償化の制度化に伴い、既にこれまで努力して、先行して取り組んでこられた地域や団体があると思う。
財政面で充実することになるわけだが、そういった財源も活用してもらい、一層子育て支援の充実に努めてもらいたい。

 次に、環境性能割の臨時的軽減という報告がある。
消費税率引き上げに伴い、需要の大変動が議論されてきたが、その需要の平準化のための対応として、19年度税制改正で、自家用乗用車にかかる環境性能割の税率を19年10月から1年間1%分軽減することとされた。
この臨時的軽減による地方税の減収分は地方特例交付金で全額国費で補填(ほてん)することになった。

 次に災害対応だが、重要インフラの緊急点検が行われ、これを踏まえ、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3カ年緊急対策が講じられることになった。
3カ年緊急対策に基づく補助事業については地方財政計画に適切に計上するとともに、地方負担について地方財政措置を講じる。
また、併せて地方単独事業についても補助事業等と連携しつつ実施する防災インフラ整備を推進するため、地方財政計画に新たに緊急自然災害防止対策事業費の名目で3000億円を計上している。
これに対する地方財政措置も充実したものを講じることとしている。
地方団体においては、こういった事業を活用してもらい、多発する災害に備えた取り組みを積極的に行ってもらいたい。

 この他にも、重点課題対応枠として地方財政計画の一般行政経費に計上しているが、森林環境譲与税を財源として実施する森林整備等の経費200億円を新たに計上し、重点課題対応枠というものを2700億円に増額することとした。

 また、公共施設の適正管理についても長寿命化事業というのがあるが、その中に新たに橋梁(きょうりょう)、都市公園施設などの対象を拡充する。
それとともに22年度までを事業期限とする市町村役場の緊急保全事業があるが、それについては経過措置として、20年度までに実施設計に着手した、実施設計に着手したものを、20年度以降に工事が行われるとしても同様の地方財政措置を講じることとした。

 このように、19年度の地方財政、交付税をはじめ一般財源総額を確保した上で、地域の課題に積極的に対応してもらえるよう充実できた。
今回の地方財政対策を踏まえ、積極的に地域の課題解決に向けて取り組みを進めてもらいたい。

 石田総務大臣が話をされているが、最近は革命的な技術がどんどん実用化されつつあるわけで、ソサエティー5.0という言葉も広がっているが、今までと全く違う社会の在り方を促すような、そういう技術が実用化されつつある。
そういうソサエティー5.0時代の地方ということで総務省も情報発信している。
大きな時代の流れは間違いなくそういう方向に動きつつあるので、ぜひそういう点にも注意を向けていただいて、そういった新しい技術を活用した地域課題の解決にも積極的に取り組んでもらいたい。

次に19年度の普通交付税の算定に関連する話だ。
消費税率の引き上げに伴い、社会保障充実分、および人づくり革命分の地方負担額については、基準財政需要額に100%算入することとしている。
また地方消費税率の引き上げにより、団体間の財政力格差が拡大しないようにするために、地方消費税率の引き上げに伴う増収分は、地方消費税交付金も同様だが、増収分は基準財政収入額に当面100%算入することとしている。
ただし、人づくり革命分の幼児教育無償化は19年度に要する経費の地方負担分は臨時交付金で全額措置することとしているので、これは算入しない。

それから地方特例交付金の関係では、環境性能割の臨時的軽減による減収を補填する地方特例交付金については、基準財政収入額に新たに75%を算入することとししている。
こういった19年度の地方財政対策などを講じるために地方交付税法の一部改正を今通常国会に提出する予定で、今言ったような19年度地方財政対策が4月から実施され、その効果が予算、施策を通じて、住民に行き渡るには法案の年度内の成立が必要なので、総務省として最大限努力するし、各団体においても、関係方面にその必要性を積極的に説明し、理解を求めるようご努力いただきたい。
よろしくお願いします。

その他、関連する個別事項についていくつか申し上げる。
偏在是正の関係だが、新たな是正措置として、地方法人課税について、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系を構築する観点から新たに講じられることになった。
19年度与党税制改正大綱においては、偏在是正措置で生じる財源については、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地方財政計画に計上するなど、その全額を地方のために活用するとうたわれており、これについて今後検討を進めていくことになる。
まだ19年度の地方財政計画ではなく、その次になる。
そこに向けて検討を進める。

 公共施設の適正管理の関係だが、各団体においては個別の施設計画について引き続き20年度までの策定に向け取り組んでもらうとともに、施設の集約化、長寿命化等々、具体的に進めてもらいたい。
併せて公共施設等の総合管理計画だが、個別計画を見直す、策定すると内容を反映する必要があるので、総合管理計画についても中長期のインフラ維持管理、更新費の見通しなどを精緻化したり、適正管理に取り組むことによる効果額を示すなど21年度までに見直し、充実を図ってもらいたい。

 次に公営企業の関係だが、急速な人口減少、施設の老朽化への対応で経営環境が厳しさが増すことが見込まれるので、経営基盤を強化することと、財政マネジメントの強化を図ることが必要だ。
このため経営戦略の策定や抜本的な改革などの取り組み、公営企業会計の適用拡大などに向け頑張ってもらいたいと思う。
そういう取り組みを通じて見える化の取り組みを進めてもらいたい。

 具体的には、経営戦略は遅くとも20年度までに策定し、中長期的視点に立った計画的、合理的経営に努めてもらいたい。
それから、水道、下水道事業についてはなかなか将来に向け厳しい状況があるので、広域化、あるいは着実な更新投資、これを一層推進しないといけない状況だ。
特に広域化は各都道府県で、22年度までの計画の策定をお願いする。
広域化の推進と着実な更新を図るため地方財政措置も講じたので積極的に取り組んでもらいたい。

 もう一つ、公営企業の適用があるが、19年度から23年度までを新たな集中取組期間としたので、さらなる取り組みを進めてもらいたい。
各都道府県において、市町村間の調整、技術的にも難しいところもあるので、そういった市町村への支援の体制を各都道府県でも構築してもらい適切な助言を行ってもらいたい。

 最後に宝くじだが、地方の貴重な自主財源だが、20年ぶりに8000億円の大台を切り、17年度では7866億円といった形の売り上げになったので、非常に厳しい状況ということで、売り上げ回復策の一環として、昨年10月からはインターネット販売を本格的に導入した。
各団体も売り上げの回復に向け、これまで以上に危機意識を持って取り組んでもらいたい。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和の出来事(津山朝日新聞) | トップ | 北村誠吾地方創生担当大臣の... »
最新の画像もっと見る

地方自治」カテゴリの最新記事