令和4年4月13日
財務省
自治体基金増との関連指摘=コロナ交付金、重点化へ検証を
財務省は、財政制度等審議会財政制度分科会に、新型コロナウイルス対応のため自治体に配分された地方創生臨時交付金に関する分析資料を提出した。
自治体の規模別に見ると、人口が少ない団体に手厚く配分され、こうした団体ほど基金残高の増加幅が大きくなっていた。
同省は、交付金が基金増加につながった可能性があると指摘。
感染状況などに応じ、本当に必要な団体に重点的に配分されているのか検証すべきだと主張した。
国の2020年度第1次から第3次補正予算までに計上された臨時交付金のうち「地方単独事業分」について、
各団体への交付限度額を基に、同省が住民1人当たりの額を算出した。
都道府県は、人口1000万人以上の団体が0.6万円だったのに対し、300万~1000万人は1.1万円、
150万~300万人は1.5万円、150万人以下は2.3万円。
人口が少ない団体ほど住民1人当たりの額が多かった。
一方、各団体の決算を基に20年度末の基金残高を調べたところ、人口1000万人以上の団体は19年度末と比べて住民1人当たり2.74万円減った。
逆に、1000万人を下回る団体は19年度末よりも増え、増加幅は300万~1000万人が0.13万円、
150万~300万人が0.23万円、150万人以下が0.45万円と、人口が少ない団体ほど大きかった。
市区町村でも同様の傾向が見られ、住民1人当たりの交付金の額は特別区が0.4万円、政令市が1.1万円だったのに対し、政令市以外の市は1.6万円。
町村は最も多く3.5万円だった。20年度末の基金残高は19年度末と比べ、特別区が0.15万円、
政令市と政令市以外の市がいずれも0.09万円、町村が0.62万円増加した。
こうした実態を踏まえ同省は、コロナと無関係とは言えないものの、本来なら一般財源で実施する事業に交付金が充てられ、
結果として一般財源が節約され、基金の増加につながった可能性があると判断した。
コロナ対応のための臨時交付金は、20年度の第1次補正予算で創設され、21年度補正までに計上された総額は15兆1800億円に上る。
内訳は、営業時間の短縮要請などに伴う協力金の財源に充てる「協力要請推進枠等」の8兆6100億円が最も多く、
次いで地方単独事業分の4兆8500億円となっている。